第二章 『修行 〜挫けそうになっても側にいる〜』
第12話 時の歯車


〜トゲトゲ山前〜

「ワタシハ、ジバコイルノ『イサイル』トイイ、コノチイキノ ホアンカンデス。」

「「………」」

二匹…カズヤとフィルミィは固まっていた。
リリを助け、リリを連れて山を降りてきたカズヤ達の前に現れた、イサイルと名乗るジバコイルの保安官、らしいのだが……

「……どうしよう、フィルミィ……言葉が凄く聞き取り辛いんだけど……」

「うん…私もだよ……」

イサイル保安官の言葉の聞き取り辛さに、二匹は完全に困っていた。
そんな二匹を見て、イサイル保安官は……

「……アノー、モシカシテキキトリヅライデスカ?」

「え、あ、いやぁ、まあ……」

多少言い辛そうに、そう答えるカズヤ。
すると…

「分カリマシタ。
デハコレデドウデショウカ?」

「(…?変わった、ような……気が……しない…でも無い…)」

「(う、う〜ん…?違う…のかな……?)」

カズヤとフィルミィは、何とも言い難い難しい表情になる。

「スミマセン、昔カラコノ声デ……デモ最近ハ漢字ヲ使用出来ルヨウニナリマシタ。」

「は、はあ…」

「そ、そうなんだ?」

二匹とも、正直困ったような表情をしている。

「エー、コノ度ハ、オ尋ネ者逮捕ニゴ協力イタダキ、アリガトウゴザイマシタ!!賞金ハ、ギルドニ送ッテオキマス。デハ。」

と、凄く聞きにくい声で言うと、イサイルはエゾロに目を向け、

「サア、クルンダ。」

「トホホ…」

そう言い、エゾロを連行していった……。
こうしてエゾロはイサイルに連れていかれ、無事お尋ね者逮捕は完了した。



「リリ!」

話が終わるのを待っていたリルダが、リリに駆け寄る。

「お兄ちゃん!!」

それに答えるように、リリもリルダへ飛び込んで行く。

「リリ!良かった……」

「お兄ちゃ〜〜〜〜〜ん!!怖かったよ〜〜〜〜!!」

今まで溜まっていた涙が、リリの目から溢れ出す。

「リリ、大丈夫か?怪我は無いのか?」

「うん…大丈夫。」

鼻をズビッズビッ、とさせながら、そう答えるリリ。
「良かった・・・本当に良かった・・・!」

そう言い、リルダはリリを抱き締める。
そんな二匹の様子を、カズヤとフィルミィは微笑ましそうに眺めていた。

「…はは…兄弟水入らずって奴かな…?」

「うん!…えへへ、なんだか自分の事みたいに嬉しい…!」

ある程度終わり、リルダはカズヤ達の方へと向き直る。

「これもカズヤさんとフィルミィさんのおかげです!このご恩は忘れません!ありがとうございました!…ほら、リリも。」

兄にそう促され、リリもカズヤ達の方へと向き直る。

「助けてくれてありがとうございます!!」

「本当に、本当にありがとうございました!」

二匹揃って、小さな体で精一杯のお辞儀をする。

「お礼なんていいよ、と言いたいところだけど今回は素直に受け取っておこうかな。ね、フィルミィ。」

「うん!あ、でも…君達を見てたら私達も嬉しくなっちゃったし…お互い様かも?」

「確かにそうかも。」

そう笑顔で二匹は言う。

「カ、カズヤさん…!フィルミィさん…!ありがとう…ございます!!」

カズヤとフィルミィは、最後に二匹に満面の笑みを送り、リルダとリリもそれに同じく満面の笑みで返し、二匹楽しそうに帰っていった…




「……ねえ、カズヤ。」

「ん?」

二匹の姿が見えなくなった頃、フィルミィはカズヤに声を掛ける。

「……ごめんね…?」

「…へ?」

謝罪されるとは思っていなかったらしく、間の抜けた声を出してしまうカズヤ。

「……私、カズヤが見た映像の話、…信じなかったよね……」

そう、フィルミィは、トレジャータウンでカズヤがエゾロとぶつかった時に見たと言う映像を、信じなかった。
しかし、実際にはその映像通りの事が起こってしまったのだ。
と、言っても、フィルミィにとって重要なのはそこでは無く、あの時カズヤを信じられなかった事だった。

「……ああ、その事か。別に気にしてないよ?」

「で、でも……」

『別に気にしてない』、そう言うカズヤだが、フィルミィとしては信じられなかったショックが大きかったのか、中々食い下がらない。

「別に良いってば。それに、フィルミィは僕の事信じてくれたしね。」

「えっ?」




………



「今度は…僕を信じてよ。」

「……!…分かった。
カズヤを信じる!!」



………




「エゾロとの戦いの時、僕は君を信じて、君は僕を信じてくれた。それで充分だよ。」

そう言って、笑って見せるカズヤに対し、フィルミィは顔を赤らめていた。

「……うん。」

フィルミィは、照れた顔を隠すように頷く。

「さ、帰ろう。」

「そうだね。」

こうして二匹はギルドへと帰っていった。が、その道中、フィルミィが嬉しそうに尻尾をぱたぱた振っていたのには、カズヤも、フィルミィでさえも、気付いてはいなかった……








〜ギルド地下一階〜


「イサイル保安官からお尋ね者の賞金を頂いたぞ♪お前達よくやったな♪これは今回の仕事の報酬だ、取っておいてくれ♪」

カズヤ達はお尋ね者に掛けられた賞金、3000ポケをペリクから貰った…と思ったが………その内2700ポケはギルドの取り分なので……その分は差っ引かれ……その結果カズヤ達は……残り300ポケしか貰えなかった!

「やった!!300ポケ…って少ないよ!!」

まさかのノリツッコミである。

「こ、これしか貰えないの!?」

流石のフィルミィも驚きの声を挙げる。

「……当たり前だ。」

先程までのご機嫌な表情はどこへやら、真顔でそう言い切るペリク、と思ったら、再びご機嫌な表情へと戻り、

「これが修行という物だ。明日からまた頑張るんだよ。ハハハハハッ♪」

そう言いペリクは去っていった……

「………」

「あぅ……」

黙り込むカズヤに、息を漏らすような声を出すフィルミィ。

「…この分け前何とかならなかったのか…?」

「そうだよね……」

溜め息をつく二匹。

「……ま、いっか。リリを助ける事が出来たしね!」

「…うん、そうだね!」

なんだかんだで結果オーライ。
二匹は、向き合って笑顔になった。と、その時、

『ぐうぅ』

「あっ……////」

フィルミィのお腹が鳴る。

『ぐうぅ』

続けてカズヤのお腹も鳴る。

「あ、僕も。」

「え、えへへ…」

少し恥ずかしそうにするフィルミィ。

「そういえばお腹空いたな。リリ達を助けるのに必死で気付かなかったけど。」

「そ、そうだね。」

「ご飯食べに行こうか!」

「うんっ!」

意気揚々と食堂に向かうカズヤとフィルミィ。
幸いにも、夕御飯の時間はすぐだった。
いつもより頑張った二匹は、いつもより食べる量も多かったと言う……








〜ウィングズの部屋〜



『ゴロロロ…』

外は雷が鳴っていた。どうやら今夜は嵐のようだ。

『ピシャアアン!!』

「きゃあっ!!」

突然の轟音に、思わず跳び跳ねるフィルミィ。(技じゃないよ!)

「うわっ…これは酷い天気だな…」

「今夜は嵐みたい…」

「だね……」

「……そういえば!」

何かを思い出したのか、フィルミィはカズヤの方へと体を向ける。

「カズヤと会った日の前の晩も嵐だったんだ。」

「そうなんだ。」

「どうかな?この天気見て何か思い出せない?」

「(…………)」

カズヤはなんとなく思い出そうとしてみる。

「どう?」

「……いや……やっぱり駄目だ。思い出せないよ。」

やはり思い出せないようだ。

「そっかぁ…でもまあ、少しづつ思い出せればいいよね!」

「だね。」

そんな会話をしながら、二匹は少し眠くなってきた。

「今日はもう寝ようか。」

「…そうだね…」

そんな訳で、横になる二匹だった。










「(……しかしあの目眩は一体何だったんだろうか…未来が見えるなんて…そんな能力聞いた事無いよ…それとも、僕が知らないだけとか…?)」

と、カズヤが思考にふけっていると、

「……ねえ、カズヤ……まだ起きてる?」

案の定起きていたフィルミィが、カズヤに声を掛けてくる。

「あ、やっぱりフィルミィ起きてたんだ。」

「あはは……分かってたんだ。」

くすくすと笑いながら、そう言うフィルミィ。「予想はしてたよ。」とカズヤは返す。

「……私思うんだけど…カズヤが見たっていう映像は、カズヤ自身の事と深く関わってるんじゃ……」

「あの映像と…僕が…?」

「その映像の内容じゃ無いよ?映像が見えるっていう現象自体の事。」

「……」

「なんとなくなんだけど…でも未来が見えるヒトカゲなんて聞いた事無いから……人間が突然ポケモンになったっていうのも、私が知る限りは前例が無いし……」

「だからその二つが大きく関わっている……?」

「そう。」

可能性はあるだろう、そう思うカズヤ。只、いまの段階では、憶測に過ぎないのも事実だ。

「…私、人間だった時のカズヤの事は知らないけど……絶対いい人だったと思う……それにカズヤのおかげで悪いポケモンを捕まえる事も出来たし……」

「…はは…そうかな…?そうであってほしいとは思うけど……」

そんな事を言いつつ、内心そう言ってくれるフィルミィは、とても優しい子なんだと思っていた。

「悪いポケモン…か………そういえば、前ペリクが言ってたよね?悪いポケモンが増えたのは時が狂い始めた影響だとか……あれはどういう事なの?」

ここで、カズヤは以前ペリクが言っていた事を思いだし、フィルミィに質問を投げ掛ける。

「そういえばまだ説明してなかったよね。えっとね、世界各地で少しづつだけど時が狂い始めてるんだよ。何でかは分からないんだけど……皆が言うには…【時の歯車】が影響してるんじゃ無いかって。」

「時の…歯車…?」

何となく頭に引っ掛かった気がしたが、今はそれは置いておく事にした。

「そう、時の歯車は世界の隠された場所、例えば……森の中とか…湖や鍾乳洞…火山の中とか……そんなような場所にあるって言われてるんだ……そしてそこに時の歯車がある事で、それぞれの地域の時間が守られているって言われているの……」

「ふ〜ん……じゃあ、時の歯車を取っちゃったらどうなるの?」

「それは……私にも分からない……でも……時の歯車を取っちゃったら……多分その地域の時間が止まっちゃうんだと思う……だから皆絶対触らないようにしてるの。皆怖がって時の歯車だけは触ろうとはしない。どんなに悪いポケモンでも……」

そう言い、フィルミィはそこで説明を区切る。

「そっか……色々教えてくれてありがとう…。」

「フフ…役に立てたなら、嬉しいな。」

そう言い、寝る前だと言うのに、フィルミィは顔をニコニコさせる。

「さ、今日はもう寝よう……」

「うん………カズヤ。」

「ん?」

「カズヤの事、ずっと信じるね…!」

「……僕も、信じてるよ…フィルミィ……」

お互い信頼を確認し合ったところで、明日の為にも、二匹は眠りに着いた……

























〜???〜

雨が降り注ぐその森の中を駆け抜けて行く、一匹のポケモン……こんな時間にここにポケモンが出てくる事は普通はあり得ない。

「………」

ひたすら、無言で走り抜けていくが、目的地に着いたのか、その足が止まる。

「………初めて見たが……これが……」

そのポケモンは鋭い眼孔で『それ』を見る。

「遂に見つけたぞ……時の歯車……まずは…一つ目。」
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■筆者メッセージ
………すいません………

前回の更新からどれだけ経ってるんだ、って話ですよね、ハイ……

失踪したと思って、見限った方もいると思います…
っていうか、これはもう失踪ですね、ハイ……

言ってしまえば、理由はモチベーションの低下です。ハイ…

何故モチベーションが低下したのかと問われれば、思い当たるところは自分でもあるのですが、言い訳になるので、やめておきます。

とにかく、申し訳ありませんでした!!

他にも言いたい事はあるのですが、書ききれないので、次の話を投稿する時にします。

それでは。
炎翼龍 ( 2014/03/21(金) 08:17 )