三話ラント・アクア
〜1〜
ーー視点ルークーー
「大変よ!」
「えっ…?」
俺は目の前にいる……えっと…種族は“イーブイ”立ったか? とにかく、そいつの名前を聞こうとしていたんだが、誰かの声でかきけされてしまい。しかも、俺たちの目の前でウロウロしている“バタフリー”が居るな。きっと…何かあったのか?
「あ!バタフリーさん」
「あ!アビスさん。大変よ!私の子供のキャタピーがダンジョンに落ちてしまったの。あぁーどうしょう!」
「!?なんだって」
子供ポケモンの“キャタピー”がダンジョンに落ちてしまったのか…。ん?というよりなんだダンジョンって、よくわからないな。それよりも目の前にいる“イーブイ”はアビスという名前なんだな。しかし、さっきから思ったんだが、俺は何故ポケモンになったんだ?そして名字は何だったか覚えていねぇ…。
「バタフリーさん。キャタピーちゃんが落ちてしまったダンジョンは何処?」
「確か…小さな森よ。今は夜だから、もう心配で」
バタフリーというポケモンはかなり心配しているみたいだ。そりゃあ心配になってしまうよな。アビスは何かしら考えている顔になっているな。なんか…嫌な予感がする…。
「分かった。私達がそこのダンジョンに行って、キャタピーちゃんを助けにいってくるよ」
「えっ…?お願いします…」
「ちょっと待って!まさか…俺もか?」
「うん」
「はぁぁぁぁあ!?」
ちょっと待って!この“イーブイ”は何を考えているんだ?しかも、俺は技の出し方なんか知らないというのに…。
「だって、放っておけないからね?こんな夜中だけど。それにチャンス立ったりするし…」
「ん?最後なにかいったか?」
「え?な、なんでもないよ!」
なんでもないと話しても、明らかに何かを話していたよな?小さい声だったから、よく分からないもんなんだよな。
「とにかく、小さな森のダンジョンは行ったことがあるから、夜でも行けるよ。じゃ…走るよ」
「ちょ…ちょっと待って!」
俺はとめたつもりだったが、アビスはもう走り出してしまっていた。こんな夜中に走るなんて危険なことをわかっていないのか?
ん?それよりも何故俺はこの事をわかるんだ?完全に記憶が失っていないということなのか?
ドカ!
「「痛い!」」
こうして考えている間に、アビスは誰かにぶつかってしまったようだ。……やはりな。夜は辺りがよくわからないからな。急ぎたい気持ちもあるが、走る過ぎるのはよくないぞ?
「あ!えっと…ごめんなさい」
「いや、これはオイラのほうが悪いよ。ごめんなさい…」
う〜ん…どちらかと言えば、俺は不注意のアビスが悪いような気がするな。それよりも相手の一人称は“オイラ”ということは、男の子ということになるな。
しかも、種族は夜だからよくわからないが、恐らくは“マリル”だな。
「あれ?よく見たら、ラントじゃん」
「えっ…?じゃ…アビス?」
「そうだよ。元気にしてた?」
「う、うん」
どうやら、恐らくは種族は“マリル”の名前はラントという名前みたいだな。しかも、偶然にも知り合いみたいだな。
「アビス…。その隣にいる“ポッチャマ”は?」
「うん?あ!彼の名前はルークだよ。名字は言わなかったから分からないけどね?」
「へぇ…そっか…。あ!オイラは、マリルのラント・アクア…」
「ラント・アクアな。そう言えば、アビスにも名字はあるのか?」
「あるよ?私はアビス・ナハレッジ!」
ちゃんと…アビスにも名字はあったみたいだな。それよりも彼女は自己紹介するときに、バタフリーの声でかきけされてしまっていたし。もしかしたら、バタフリーが居なかったらあのままいっていたかもしれないな。
「ねぇ…ルークの名字はなに…?」
「ん?あ!確かに…私も気になる!」
「う〜ん…何だろうな」
「分からないの?」
「今のところな」
「そうなんだ…。名字が思い出せないポケモン…」
「ラント?」
「あ!いや、な、何でもないよ…。それよりもガイルを呼んでくる?」
「どうして?もしかして、私がダンジョンいきたいことが分かったの?」
アビスの質問にラントは黙って頷いていた。どうしてダンジョンにいく話をしていないのに、ダンジョンいくということを分かったんだろうな?エスパーじゃないというのに…。
ん?それよりも一体ガイルは誰なんだ?
「アビス。ガイルって誰だ?」
「う〜ん…軽く話して、私の仲間だよ」
「ちょっと癖がある“ヒコザル”なんだ…。じゃ…行ってくる…」
ラントはそれだけを話して、東の方を歩いていったな。しかし、あいつは何だったんだ?
「あれ?」
俺がラントのことをかんがえていると、アビスが疑問を声を出していた。急に…一体なんなんだ?
「急にどうしたんだ?」
「だって、ラントははじめて会うポケモンには打ち明けるのは難しいんだよ?それなのに、ルークとはすぐに打ち明けたし、どうしてなのかな?と思っただけ」
そうか。確かに、はじめて会うポケモンには打ち明けるのは難しいのはラントか。だけど、俺とはすぐに打ち明けた。一体どういうことなんだ?ますます…謎が残るポケモンだな…。
「ラントのことを考えると、俺が可笑しくなってしまいそう」
「でも、悪いポケモンじゃないんだよ。ただ…今は記憶喪失で…」
「記憶喪失?」
「うん。川で助けた時にはわかっていたのは名前だけ。それに何処から来たのかもわかっていない状態なの」
「……」
まさかの俺と同じ記憶喪失か…。しかも、何処から来たのかわかっていない状態なのか。ラントとしてはこの状況は辛くないのだろうか?
「あ!ラントのお話していたら、キャタピーちゃんのことを忘れていたよ」
「お、おい!忘れるなよ」
「ごめん!でも、今度こそ行くよ。小さな森に」
「だから、アビス!夜に走りは危険だぞ!」
全くアビスが走るから、俺まで走ることになってしまったんじゃないか。とにかく、今は誰もぶつかることがないことを祈るしかねぇ。コイツと一緒に行って、これからの俺は大丈夫なのだろうか?不安が一杯だ…。