ポケモン救助隊 エルドラク=ブレイブ ―緋龍の勇者―







小説トップ
第四章 不可視の予兆
第二十三話 峡谷の紫烏……後編
 その後、フェルガナが「この山の、頂上が、『精霊の丘』だ」と教えてくれたのは、さらに二つの山を越えた後のことだった。
 中天に達していた太陽は地平線へと近づき、雲一つない紺碧の空は薄紫へとその色を変えようとしている。夕刻になると、茜色の空と赤土の大地が渾然一体となり、地を歩いているような空の中を歩いているような感覚に見舞われる。この峡谷を訪れてから二日間、リュウ達はそんな不思議な感覚を味わいながら寝床を探し、夜が訪れるのと同時に就寝という名の休息をとっていた。日の出と共に活動を始め、日の入と共に眠りにつく。夜行性を除き、自然に近しい存在であるポケモンにとって、この生活サイクルは当たり前のものなのだ。
 無論それは、ネイティオも例外ではない。『精霊の丘』はこの峡谷の中で最も高い山の頂上にあるためすぐにたどり着くことはできないが、夜中に眠っているであろうところを叩き起こして話を聞くわけにはいかない。なるべく日が沈む前に到着したいところだ。

「フェルガナさんは、ネイティオの知り合いなんですか?」
「……あぁ、そうだ」

 急斜面を歩いていると、キトラが顔を上げてフェルガナに問いかけた。当のフェルガナは自力で歩けないため、リュウの頭に止まって運んでもらっている。爪が食いこんで地味に痛いしフェルガナ自体が重いので首もそれ以上に痛いのだが、先程のように勝手にほっつき歩かれるよりはずっとましだ。

「ネイティオって、どんなポケモンなんですか?ボク達、文献で読んで知ったから、容姿とかあんまり知らなくて」
「……そうだな。少なくとも、この大陸において、ネイティオという種族は、非常に稀な存在だからな。エスパーと、飛行の属性を持つ、鳥のような、ポケモン。そして、過去を見抜き、未来を予知する能力を、持っている」

 過去と未来を知る能力。この旅の主たる目的であるこの言葉を聞いて、リュウの心はざわついた。キトラが見つけたあの書物に書かれていたことは、ますます間違いではないように思えた。

「一個人のみならず、この世界の来し方行く末を、知ることもできる。それ故に、ヒトはネイティオに、『時の精霊』という二つ名を、与えたとも、言われている」
「『時の精霊』……」

 確かめるように復唱するリュウ。現実味のない言葉だが、存在自体が御伽話と大差ないポケモンが実在すると知った後であるせいか、その二つ名にはあまり違和感を覚えない。もっと詳しく知ってみたいと、今度はリュウが質問を投げかけようと口を開いた。すると、

「うわわあああ!な、何だ?」

 口から出るはずだった疑問は地揺れによって悲鳴へと変わった。地面から何かがつき出るような縦揺れにリュウもキトラも立っていられなくなり、思わず地に手を付けて座り込んでしまう。しかし、ここは切りたった高山が乱立する峡谷。遠からず崖崩れや落石が発生する恐れもある。
 このまま座っていてはどのみち危険だ。ここを離れなきゃ――リュウは頭にフェルガナが止まっているのを確認すると、キトラに一先ずの下山を促そうとした。一方のキトラは黄色い顔面が真っ青な状態で、何か言いたげに口をわなわなさせながらただただ前方を指差している。

「どうしたんだよ、キト――」
「ま、まま、前、前!」

 前見るよりまず下山だろと思いつつも、リュウは揺れに耐えながら上半身だけを背後に向ける。が、その目に飛び込んできたものを認識した瞬間、地に手を付けていたその体勢をクラウチングスタートのそれに切り替え、キトラと共に下山に向けて見事なスタートダッシュを決めた。

「どうやら彼奴等が、この騒ぎの、原因のようだな。声から察するに、ドードーの、群れか」
「合ってます正解です!ていうかなんでそんなに冷静になれるんですかぁっ!」

 キトラのツッコミ兼返答は半ば泣き叫んでいるようにも聞こえた。
 山頂付近から怒涛のように駆け下りてきたのは、丸い頭と長い首をそれぞれ二つ持つダチョウのような容姿をした、ドードーというポケモンの群れだった。もちろんこのポケモンも初めて見るものではないのだが、何度見てもそのシュールな見た目は慣れたものではない。これまで出くわしてきたのは五、六の少数で構成されたグループであったが、今リュウ達を追いかけているこの群れはその何倍、否何十倍もの規模だった。この細い山道のせいで何体かがあぶれ、崖下へと転がり落ちていくのが見える。
 キトラ曰く、ドードーは本気を出せば時速百キロを超えるスピードを出すことができるらしい。人間はもちろんたとえポケモンの身でもそんなスピードなぞ出せるわけがない。あれよあれよという間にリュウ達とドードーの群れの差は一メートルもなくなってしまった。

「くそっ、キトラ!ここは迎え撃つぞ!」
「ほ、本気?すっごい数だよ、このドードーの群れ!」
「言われなくても見りゃ分かるよそれは!どのみちもう時間がないんだ、行くぞ!」

 キトラの了解どころか返答も待たないまま、リュウは振り向きざまにまずは一発、すぐ後ろに迫っていたドードーの腹部へと蹴りをお見舞いした。そのまま蹴り飛ばすわけではなく、周囲への巻き添えも狙ってドードー諸共群れへと飛び込む。目論見通り、リュウが蹴りを入れたドードーに接触した者達は、まるでボウリングのピンのように方々へと宙を舞った。無論ストライクどころかスペアともいかず、吹き飛ばされた後の空間を埋めるように他のドードー達が雪崩れ込んでくる。
 背後で巨大な閃光が迸ったと思いきや、結局キトラも大量のドードー相手に善戦を繰り広げていた。相性の関係上、不利な電撃技をくらったドードーはほぼ一撃で気絶するかリュウの時より遥か彼方へと吹き飛ばされていく。
 だがこれだけの大技を目の当たりにしても、ドードー達は逃げるどころか怯むこともなく次から次へと駆け込んでくる。リュウ達のいるこの「大いなる峡谷」も「不思議のダンジョン」の一つ。故にそこに住むポケモンは災害の影響で我を失っており、恐怖を感じる余裕すらないのかもしれない。このご時世そう考えるのが最も妥当なのだろうが、戦いながら窺ってみるとドードー達の目は、これまで嫌というほど戦ってきた我を失ったポケモン達のそれとは微妙に違う。それに彼等はリュウ達に襲いかかってきているというより、ただただ我先にと前へ向かって走っているようにも見える。

「はぁ、はぁっ……こ、これじゃキリがない……!」

 もう少し観察したいところだが、リュウ達の体力はすでに限界を迎えていた。そもそも戦闘に入る前は全速力で山を駆け下りていたのだから、その時点でスタミナは切れる寸前だったのだ。炎を吐く予定だった口は少ない酸素を摂取するのに精一杯、足はもう立っているのがやっとだったため、足、炎に次ぐ第三の武器である爪を使う技“きりさく”で応戦しようとするものの、名の通り相手を切り裂くというよりはヒト混みの中をかき分けている状態になっていた。足がもつれて転びでもしたら、ドードー達から文字通り踏んだり蹴ったりをくらってしまう。

 ――リュウ、聞こえるか?

 ドードー達の甲高い喧騒とは別に、つい最近聞いたような声が頭の中で響いた。

「そ、その声、フェルガナさん?」

 ――そう、だ。声が、聞こえたと、いうことは、まだ体力は、残っているな。

 周りはドードー達の鳴き声で鼓膜が破れそうなほどうるさいのに、脳に響くこの言葉はしっかりと理解できる。これがテレパシーというものか。
 そして声の主であるフェルガナは、リュウが暴れているにもかかわらず平然とした顔で器用にバランスをとり、未だ尚彼の頭の上にとどまっている。バランスを崩しては踏ん張ろうとする度に頭頂部に彼女の重圧がかかり、それを支えるリュウの肩や首は悲鳴を上げていた。

「正直……すでに、ヘトヘトですッ!」

 隠した苛立ちを拳に乗せて、一体の後頭部に渾身のチョップを叩きこむ。

 ――この混戦を、切り抜けたくば、私の声に、耳を貸せ。これより、時を三つ、数える。三つ目の時を、唱えた瞬間、お前は、頭上に向かって、火を放つのだ。いいな?

「ひ、火を吐けば、いいんですか?」

 ――質問に、答えている、時間はない。行くぞ。一、二……

 こちらの待ったも聞かず、フェルガナは数を数え始めた。わけも分からないまま、とりあえずリュウはせめて頭上が見えるよう、一層腕に力を込めてドードー達をかき分ける。砂埃のせいだろうか、一瞬見えた夕空は、登山前に見たものより少しかすんで見えた。

 ――三!

 この声が聞こえたと同時に、リュウは死に物狂いで顔を真上に向け、あらん限りの威力を秘めた火球を打ち上げた。

「うおぁっ!」

 ぼん!という特大の破裂音が、幾重にも連なり耳を劈く。リュウが放った火の玉は中空に達すると、突然その体積を何十倍にも膨らませ大爆発を起こしたのだ。
 打ち上げ花火がすぐ真上で上がった時のそれによく似た破裂音に、リュウ達は思い思いの悲鳴を上げた。それはドードー達も例外ではなく、その大半は気が動転したのかその場ですっ転んで気絶してしまった。かろうじて意識の保っている者達もわずか五メートル真上で起こっている爆発から逃れようと四方八方に逃げ出している。
 実のところリュウも疲弊している上に突然の出来事で眩暈を起こして倒れそうになったが、絶え間ない爆発音と悲鳴がかえって意識を繋ぎとめてくれた。頭に乗せたフェルガナを三度の無礼を承知の上で小脇に抱えると、先程よりはまばらになったドードー達の洪水に巻き込まれて崖下に転落しないよう、なるべく姿勢を低くして山道の内側、岩壁に向かって走り出した。


 ようやく爆発が収まり、辺りを支配していた砂埃は唐突に吹きつけてきた突風によって一気に晴らされた。フェルガナを小脇に抱えたまま壁に張り付くように蹲っていたリュウは、空いた片手で顔に付いた砂を払いながら辺りを見回す。
 騒動の主犯であるドードー達は皆一様にして目を回して倒れていた。爆発で気絶した者もいれば、誤って崖下の急な坂を転がり落ちて伸びている者もいる。山頂から新たに群れが駆け下りてくることもなさそうだ。そう確認したところで、

「そうだ、キトラ!キトラ!どこにいるんだ?」

 戦いの中でフェルガナと会話していたおかげで、すっかり存在を忘れていたキトラの捜索を始めた。なるべくドードー達を起こさないよう控えめにして呼びかけていると、程なく少し離れた岩陰からここだよと声が上がった。戦闘の後とは思えないほど元気良く、キトラがぴょんと岩に飛び乗る。リュウと同じく全身砂まみれだが、多少の引っかき傷があるだけで目立った外傷はないようだ。ひとまず安心である。

「ってリュウ、その様子だと今までボクのこと忘れてたでしょ?」
「え?い、いやいや。そんなわけないじゃないか。ハハハ……」

 ものの見事に言い当てられたことに対する動揺を隠そうと、リュウは目線だけ右上を見ながら笑顔ではぐらかした。

「……おい」

 すぐ横で声がすると思ったら、フェルガナを抱えたままだった。

「いい加減、降ろしてくれないか。……あと、どこを、触っているのだ……」
「わ!すみません、今降ろします!」

 慌てていたせいで言葉の最後の方は耳に入らず、リュウは一先ず言われた通りフェルガナを降ろした。キトラのジト目が気になるが、それよりもすっと気にかかることがある。

「フェルガナさん、さっきの爆発って……」
「貴方達に、馴染みのある言葉で、言うならば、粉塵爆発、だ」
「ふんじん……ばくはつ?」

 「馴染みのある言葉」とフェルガナは言ったが、きょとんと当惑しているキトラを見る限り、ポケモンの世界ではあまり馴染みのない単語のようだ。リュウも実際に見るのは初めてだが、言葉だけはなんとなく知っていたのでその知識をキトラに教えた。空中に浮遊している可燃性の粉に炎が引火して起こる粉塵爆発。人間世界にてこれに関する事故は少なくない。

「粉が爆発するなんて……ボク、初めて知ったよ」
「普通の粉塵爆発は、今回のとは比べ物にならないほどの、大規模なものだからな。“どくのこな”が、少なかったのが、幸いしたな」
「ど、“どくのこな”?」

 叫んだ直後に大口開けている場合じゃないだろと脳に叱咤され、リュウは慌てて両手で口を覆った。そんな物騒な粉が漂う中でどうして平然と呼吸などできようか。急いでこの場から離れようとするリュウ達だが、フェルガナが伸ばした翼によって止められた。

「逃げる必要は、ない。爆発と、その後の強風で、“どくのこな”は粗方、吹き飛んだはずだ。普通に呼吸しても、害はない」
「そ、そうですか。でも、どうしてこんなところに“どくのこな”が?」

 辺りを見回しても、その技が使えそうな草や虫タイプのポケモンはいない。しかしフェルガナは、ゆっくりと頭を振っていた。

「貴方達が、あの粉を見るのは、今日で、二回目のはずだ。違うか?」

 リュウとキトラは顔を見合わせ、各々この日にあった出来事を振り返ってみた。今日の峡谷探訪で、粉を見た時といえば。

「……もしかして、あの時のラフレシア?」
「その通り、だ」
「ええええええええ!」

 再び絶叫してしまい、今度ばかりは目を覚ましてしまったのか、今まで気絶していたドードー達があちらこちらで二つの首を持ち上げ始めた。また騒ぎを起こされては面倒だ。リュウ達三人は結局そそくさとその場から離れ、これまで通り歩きながらフェルガナの話に耳を傾けた。
 あの時ラフレシアが護身用に噴き上げたのは“どくのこな”だった。フェルガナ曰く、その粉は風によって運ばれ、なんとそのまま峡谷の山々を巡り巡ってここまでたどり着いたらしい。リュウ達も目撃した雲のような粉の塊に比べればその濃度は格段に薄くなっていたが、それでも小規模の粉塵爆発を起こすには十分すぎるほどだった。リュウが火を放つ前に見たくすんだ夕焼け空、あれは“どくのこな”が作り出したものだったのだろう。

「信じられない……だって、ボク達ここまで結構な距離を歩いてきたんだよ?そんなに長い間粉が風に運ばれるなんて」
「今日は、特別風も、強かったからだろう。結果的に、ドードー達を退ける、一手となったが、場合によっては、この場にいる全員、気付かないうちに、粉を吸い込み、毒にやられていたのかも、しれない」

 十分ありうる可能性に恐怖したのか、キトラが目に見えて縮み上がる。リュウも恐ろしいと思わなかったと言えば嘘になるが、それよりも別のことで思案に耽っていた。
 ラフレシアの“どくのこな”がリュウの炎によって爆発する。どこかでそれに似たフレーズを聞いたことがある。

 ――毒の風が、流れていく……いずれ、あの風は、赤き花を咲かせ、再び牙を、むくだろう……

 フェルガナと初めて会った時、彼女が呟いていた言葉だ。あの言葉がまさに先程、現実のものとなったのだ。
 単なる偶然と言ってしまえばそれまでなのかもしれない。しかし、最初に“どくのこな”に気付き炎を放つようリュウに進言したのもフェルガナだし、そもそも“どくのこな”が繰り出された原因も少なからず彼女が関係していたはずだ。
 もしかしたらフェルガナは、この事態が起こることを前から知っていたのかもしれない。あるいは、この事態を意図的に引き起こそうとしたのかもしれない。
 だとしたら、彼女は――

「ちょっとフェルガナさん!そっち崖ですってば!」

 またしても崖に向かって堂々と歩くフェルガナを、キトラが引っ張って連れ戻している。そんな光景を見、一先ず今しがた浮上した疑念は脇に追いやることにした。なんだか、考えるだけバカバカしい気がしたのだ。


 あれから戦闘もなく、山の中腹から山頂へと続く上り坂の洞窟を抜けると、開けた地にたどり着いた。

「ここが、『精霊の丘』だ」

 言われるまでもなく、リュウ達も確信していた。眼前の崖のはるか向こうで沈みゆく太陽は、半分だけ顔を出して山々の陰にその身を隠している。茜色一色だった空にはもうほとんど夜の帳が降りていたが、地に広がる峡谷の山々はまだ名残惜しそうに夕日を浴びてその山肌を赤く染めていた。この雄大な景色を一望できる地「精霊の丘」。「サルベージタウン」から長い旅路を経てようやくたどり着くことができたのだ。だが……

「あの、フェルガナさん。ネイティオはどこにいるんですか?」

 そう。目的地にたどり着いても、肝心の尋ねビト――ネイティオの姿が何処にもないのだ。フェルガナの返答を待っている間、リュウとキトラは一先ず辺り一帯を探してみた。先程抜けてきた洞窟付近や岩陰、少し怖かったけど崖の下。しかしどこを探しても、ネイティオどころか他のポケモンの影すら見つけることができなかった。

「ネイティオは、ここにいる。ただ、今の貴方達には、『見えない』だけ」

 フェルガナからは、謎かけのような返答しか来なかった。一部助けてもらったとはいえ、ここまで来て騙してましたなんて言われたらこちらの堪忍袋も黙っていられない。どういうことなんですかと、半ば強気な口調でリュウは食って掛かろうとした。

「クワ――――――ッ!」
「うひゃああああああ!」

 突然、初めて会った時と同じような咆哮が上がり、リュウ達もあの時と同じように悲鳴を上げて尻餅をついた。
 大きく翼を広げたフェルガナの腹部から光が溢れ、瞬く間にその光は彼女をすっぽりと包みこんでいく。夕日よりもなお強い光で身構えることもできないまま、リュウもキトラもその目映さから目を守るので精一杯だった。
 閉じた瞼の向こうで光が収まったのを何となく感じ、リュウは恐る恐る目を開いた。チカチカと明滅する視界が治った後も、目の前の光景を受け入れるのに少々の時間を要した。

「驚かせて、すまなかったな」

 その声は確かにフェルガナの声だった。先程の光の残滓がまだその周囲に残っていることから考えても、眼前にいるのはフェルガナであるはずだ。しかし、その姿にヤミカラスの面影は全くない。
 シルエット自体はヒト型であり、その大きさはリュウの一回りも二回りも大きい。目も人間のそれと酷似しているが、口にあたる部分からは黄色い嘴が伸びているので恐らく鳥ポケモンだろう。緑色の丸い頭からは二本の赤く細長い飾り羽が生えている。先端が黒と赤に染まった一対の白い翼を持っているが、普通の鳥ポケモンのように体の横で畳んでいるのではなく、人間の丁寧な姿勢のように慎ましく体の前に揃えていた。

「改めて、自己紹介しよう。私の名は、フェルガナ。――ネイティオの、フェルガナだ」


橘 紀 ( 2015/04/19(日) 20:23 )