4.バトルアイドル大会・その後
リクとソラが強制テレポートで消えた後、ステージには何食わぬ顔でアイドルキングが現れ、全ての疑問をかっさらっていってしまった。客席はいっとう爆発するような歓声と熱気が充満し、アイドルキングが残った3人の手を引いて、弾けるようにダンスが始まる。コダチは涙が止まり、ライカは疑問を抱きつつも参加し、ユキノは――ステージが終わるまで、刺すような視線をアイドルキングに向けていた。
コダチのポケナビが、ステージ中に鳴り響いた。彼女は慌ててステージから飛び出していき、終わっても戻ってこなかった。
ステージが終わり、舞台袖でユキノは汗を拭いながら言った。
「お前、どうする?」
ライカは肩で息をしながら答えた。「あの2人が消えたことやろ。なんかあるんやろうな」
「直接訊きに行くぞ」
「は、」
「それは出来ないTalkですヨ」
バリトンボイスが割り込んだ。舞台袖に入ってきたアイドルキングが涼しい顔で続ける。「MeがするのはGym Battleだけです」ステージ上、もっとも動いていたにも関わらず、汗ひとつ、疲労ひとつ見えない。
「あらいやだ。出来ない≠じゃなくて、しない≠ですわよね。ジムリーダー≠ウん?」
「HAHAHA!」
アイドルキング――ビュティ・ニコニスが笑った。「それはどういう――」ライカが口を開くが、その肩に手を置いた。
「心配せずとも街は守りますし」
有無を言わさぬ圧に、ライカがぐっと口を閉じた。
「このGreatでSpecialな像も、Youのものですヨ」
爽やかな顔で優勝トロフィーを差し出した。瞳の青水晶がキラリと光る。ぐい、と無言で押し返したユキノに、更なるパワーで押し返す。そうして、ウインクを残して颯爽と去っていた。
「俺のじゃねぇよ……」
後ろ姿を見送り、半眼でユキノが呟いた。