80.マグマ団
マグマ団の目的は、陸を増やすこと≠ナある。その為に海を埋め立てたり、火山を噴火させたりと手段を選ばない。
ウミは頭が回る事を買われ、幹部の一人に預けられることとなった。アチャモを腕に抱き、対面した幹部は大柄なマシュマロボディに、糸のように細い瞳をしていた。
「これはリーダーマツブサ。こちらのチャイルドはどうされたので?」
「先だってのマグマ団のアジト作りを邪魔をした子供だ」
「ウヒョ! あぁ、ミナモシティの……なんとも生意気なチャイドルですねぇ」
ずずいとホムラの顔が近づき、ウミを覗き込んだ。腕の中のアチャモがむいっと対抗するように顔を突き出す。ほぉう、とホムラがアチャモに視線を落とすと、小さな嘴がカパッと開いた。
「うひょ?」
「ちゃもー!!」
火の粉が飛び、間一髪で避けたホムラの髪に掠った。チリチリと髪の先が燃え出す。
「うわちゃちゃちゃ!!」
「シャモ!!」
「ちゃもちゃもちゃも!」
アチャモを慌てて抑えるウミに、興奮気味に威嚇するアチャモ。「攻撃しちゃ駄目だ!!」「ちゃもちゃも……!」アチャモの嘴を無理矢理抑えるウミへ、マツブサが冷ややかに言った。
「従うのではなかったのかね?」
「――っシャモ!!」
強く咎めるように名前を呼ぶと、アチャモがビタッと止まった。狼狽えるようにウミを見上げる。ぎゅっと抱きしめる力を強め、ウミはホムラとマツブサへ跪いた。深々と頭を垂れる。
「申し訳ありません、アチャモにはよく言って聞かせます。どうか、無礼をお許しください」
9歳とは思えないほど丁寧で自然な謝罪の動作に、ホムラは毒気を抜かれた様子だった。攻撃への怒りよりも、その言動が自然な理由を察し、哀れみの籠もった目を小さな頭へ向ける。
「……なんともまぁ、出来たチャイルドですねぇ」
「この子は我々の理想に心から共感し、是非仲間にして欲しいらしい。キサマが仕事を教えてやれ、ホムラ」
「分かりましたよ、リーダーマツブサ」