暗闇より


















小説トップ
61〜70
68.情報交換
 ポケモンセンターは回復と宿泊施設を兼ねているので、自然とトレーナー達が集まり、交流が始まる。ガイドマップやニュースでは知ることの出来ない情報を交換するのが目的だ。
 リーグを目指すトレーナーの間でもっとも話題となることは――ジムの攻略。傾向は、対策は、注意点は。ジムがある街は、サイカ、ゴート、カザアナ、ナギサ、トモシビ、ルーロ―、ミズゾコ、シラユキ。ジムバッジの数のよって相対するジムリーダーのポケモンのレベルも変わってくる。ジムバッジの数は、実力の証だ。

「何処のバッジ持ってる……?」
「3つ。サイカ、ルーロ―、シラユキ。君は?」
「まだ2つ……ミズゾコとナギサ……」
「ミズゾコ!?」

 片方の少年が目を丸くした。「あのジムリーダーをどうやって捕まえたんだよ!」気の弱そうな少年がぼそぼそと答えた。「ジーとダイビングしてたら……向こうから声をかけてきた……」

「人嫌いって噂だけど、ミズゾコのジムリーダー。そうでもないのかな?」
「いや、声をかけられたのはジーだけ」

 気の弱そうな少年が腰のモンスターボールを見せた。

「おれのジーは、2mくらいあって、おっきいんだ。たぶん目立ったんだと思う」
「でかっ!!」
「でけえ!!」

 もう一つ、声がハモった。首を突っ込んできた3人目はあちこち跳ねた赤毛をしていた。話していた片方の少年が突っ込む。「誰だよお前!」

「俺? 俺はヒナタ! それよりジーランス見せてくれよ!」
「サニサニ!」

 ヒナタの足下のサニーゴも興味津々だ。気の弱そうな少年が、わぁ、とサニーゴを嬉しそうに見下ろした。
 
「君のサニーゴ……とても綺麗な珊瑚だね……」
「サニ?」
「おっ分かるか!?」

 気の弱そうな少年は嬉しそうに頷いた。「……君、強いね」続いた言葉に、ヒナタがニヤッとする。片方の少年が好戦的に問いかけた。「――お前、バッジいくつ?」

「5つ!」

■筆者メッセージ
ポケモンセンターの日常だけで話が書けそうな気がしてきた
( 2021/08/08(日) 11:11 )