暗闇より


















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11〜20
13.宝石戦隊キラメイジャー
 普段は明るい公園広場が、今は暗黒に包まれていた。その中心、回転遊具の頂上に淡いピンク髪の女性が立っている。相対する場所には、赤髪の男がいた。だらりと落ちた右腕からは、止めどなく血が流れていた。

「目を覚ませ、ピンクコーラル!」

 女性が鼻で笑う。「戯れ言を。私は炎の悪魔の仲間、ファイアピンク!」朗々と告げるが、二重写しのように色濃い苦悩が滲んでいた。赤髪の男がハッとする。彼女の心を凍らせ、この場を去った炎の悪魔の言葉が甦った。(「ふふふ……仲間同士、仲良く殺し合ったらいい」)
 負けてなるものか――血が滴る右腕に力を込め、拳を無理矢理に持ち上げた。「違う、お前は、俺達の仲間だ!」その言葉に女性が顔を歪める。

「わたし、は……くっ! うるさい! お前なんて知らない! ――変身!」

 ファイアピンクがバシャーモを繰り出した。「シャモー!」一匹と1人が闇に染まった光に包まれる。瞬きの内に女性は、バシャーモそっくりの仮面を被った赤いライダースーツへと変身していた。赤髪の男がボールを構えた。

「戦うしかないのか……ならば――変身!!」

 モンスターボールを放つ。「たまー!」飛び出したタマザラシと男が青の光に包まれ、その姿はみるみるうちに、タマザラシそっくりのフルフェイスメットを被った、青のライダースーツへと変身した。ファイアピンクの全身から炎が噴き出す。臆することなく、赤髪の男――レッドルビーが高らかに宣言した。

「来い、ピンクコーラル! 本当のお前を取り戻してみせる!」





 大きなテレビ画面を、赤毛の男の子が食い入るように見つめていた。

【次回! 敵に洗脳されてしまったピンクコーラル! そうささせない、彼女の心、取り戻してみせる!】
【第12話 正しき心 お楽しみに!】

「ぴ……ピンクコーラルー!」

( 2021/06/06(日) 12:43 )