ポケットモンスターインフィニティ



















小説トップ
第五章 強さの意味は
第35話 黒竜蹂躙、抗う炎
 信頼と指針の街オプスシティを出発し、210番道路を通り抜けジュンヤ達は新たな街、モークタウンへと辿り着いていた。
 オプスシティの寂莫とは打って変わって人々が活気に溢れ、ポケモン達が躍動している。そんな当たり前でかけがえの無い光景に強く感銘を受けながらも、ジュンヤはポケモンセンターの裏手、バトルコートで特訓に明け暮れていた。

「いくぞライチュウ、全力で放電するんだ!」

 ライチュウが両手を高く翳して威勢を込めて頬の電気袋から溢れんばかりの稲妻を迸らせる。辺りには焦げ臭い匂いが漂い、バチバチと鳥の鳴くような音が高く轟いた。

「そのまま走り出せ、突進だ!」

 ライチュウも頬から放電しながら頷いて、地面を蹴って走り出す。だが集中力が保てないのだろう……走り続けると電気はたちどころに勢いを落とし、標的となるサイホーンに辿り着く頃にはただの突進へと成り下がってしまっていた。

「……ダメか。じゃあもう一度行くぞ! ライチュウ!」

 それでも諦めるわけにはいかない、もっと強くならなければ……誰より強くならなければ、オレ達には何も成し遂げられやしない。
 ……悔しいけどツルギの言う通りだ、オレ達は「大切なものを守る」なんて言いながら、誰かに守られてばかりだ。それどころか目の前のポケモンを愛する一人を救うことすら出来ず……。
 ツルギの他を顧みない強さを認めたくはない、だけどあいつらの強さは本物だ。気持ちだけが先行して実力の伴わないオレ達とは違う……ツルギ達には力がある、少なくともオレ達なんかよりは……ずっと。
 だからオレ達も強くならなければならない、ようやく一矢報いることが出来たのに突き放されては堪らない。強くなって、大切なものを守る為に。

「ライチュウ、まだやれるよな。……よし、行くぞ!」

 必ずボルテッカーを習得してみせる、そう意思を固めてライチュウと頷き合った時……何かが爆ぜるような、盛大な轟音。振り返ればけたたましく崩れ落ちていく瓦礫に、暫時は何が起こったかを処理出来なかった。

「この光景……前にも」

 ポケモンセンターの外壁が発泡スチロールのように脆く抉れている、そしてその中から現れる制服の男達。それは見事にかつての経験とデジャヴしてしまった。
 シトリンシティで起こった、オルビス団による強襲。あまりにも突然で、あまりにも荒々しく、あまりにも理不尽な襲撃。これはあの時の襲撃と同じだ。

「っしゃあー! 来いよお前ら、おれ達がお前らのポケモンを根こそぎ奪ってやるぜぇーっ!」
「だぁーっ! うっせうっせ! お前いちいち大声出すなっつーの!」

 制服の二人は言いながら威勢良くポケモンを繰り出し辺りの人々を襲わせていく。流石はバトルコートだ、皆も果敢に応戦していくが彼らには敵わないらしい。

「させるか、オレ達が相手だ! 行くぞライチュウ! サイホーン!」
「私も! 行ってドレディア!ラッキー!」

 だからと言って逃げるわけにはいかない。この場にソウスケがいないことが悔やまれるが……それでも、戦うんだ!

「……悪いなノドカ、いつも付き合わせて」
「ううん、好きで付き合ってるだけだもん。行くよ!」

 ……オレ達にはまだノドカやみんなを守るだけの力はない、情けないけど頼るしかない。
 ノドカは嫌な顔一つしないで付き合ってくれる、彼女の為にも……絶対一緒にこいつらを倒す!

「サイホーン、ロックブラスト!」
「ドレディア! エナジーボール!」



 一二、一二。呼吸を合わせて皆で走るというのはやはり気持ちのいいものだ。様子見がてらに振り返れば皆が瞳を輝かせて同じく走り込みに励んでいる。

「いいぞ皆、少し調子を上げようか!」

 走りながら襟元を正して腕を下ろす。現在ポケモンセンターが襲撃されているなどとは露知らず鍛練に勤しむソウスケは、今日も額から頬を流れ、顎から零れ落ちる雫に鍛えているということを実感していた。
 そうして暫く走り続けていると、少し不穏な声色が耳を掠める。失礼ながらもそばだたせてみるとその内容に愕然とした。
 ポケモンセンターが襲撃された、二人の少年少女の活躍により撃退出来たが、今度は同時多発的に新たな手勢が現れたらしい。

「……一度、ポケモンセンターに帰ろう」

 ダルマッカ達を振り返ると衝撃的な光景が目に飛び込んで来た。

「……っ、あれは! レアコイル、10まんボルト!」

 悪意に満ちたエネルギーの奔流が背後で放たれ、それは大地を削りながら一匹のポケモンとそのトレーナーに迫っていた。
 一瞬ではあったがその技が速度を緩め、彼らは跳躍して直撃だけは免れたようだ。爆風に煽られ地面を滑るが、相手を睨み付けながら立ち上がった。

「大丈夫かい、レンジ!?」

 襲われていたのはレンジとコドラだ。そして彼らに悪意を持って手を下そうとしていたのが……。

「はぁー……。さっさと死ねよぉ、めんどーくせぇなぁー……」

 男は退屈そうに溜め息を零した。裸に青いジャケットを羽織り、だぼだぼのズボンを穿いている。
 恰幅は大きく顎もがっしりとしていていかにも力強い大男といった雰囲気を纏っているにも関わらず、目尻は下がり、髪もぼさぼさととっ散らかっており表情からも気だるげな印象を与えられる。
 そしてその隣で対照的に好戦的な印象を与えるのは、三つ首の竜。
 漆黒の花が咲くように開いた黒毛の先から凶悪な面構えの青い顔が覗き、両手の先も同様、そして背には三対の黒く細い翼が生え、退化したように貧相な足。

『サザンドラ。きょうぼうポケモン。
動くものに反応して襲いかかり三つの頭で食らいつくす恐ろしいポケモン』

 サザンドラ、それはチャンピオンの相棒であるカイリューにも匹敵する程に強大な力を持ったドラゴンポケモン。
 それがあの気だるげな男の相棒だろう、顎で使われ技を繰り出してくる。

「危ない、皆は戻ってくれ!」

 先程と同じだ、悪意に満ちた力。あれは"あくのはどう"あくタイプの技。
 レアコイル達をモンスターボールに戻してダルマッカと共に跳躍、地面を穿った衝撃で飛んで来る礫に突き刺されながらも肝心の顔は防御し、レンジ達の元へと駆け寄った。

「レンジ、コドラ。君達が無事のようで安心したよ」
「何しに来たんだよ……! 黙って逃げりゃいいものを、てめえ馬鹿じゃねえか?!」
「かもしれないね、さあコドラを戻して逃げよう!」
「……無理だ。あいつから逃げられるわけ、ねえだろ」

 彼。レンジに尋ねると、眼前でサザンドラを従える男は名をアイクというらしい。
 気だるげで敵意も感じられないというのに、僕の中で恐怖と不安と焦燥と……諦め、それにも似た何かが渦巻いているのがよく分かる。
 彼は突如として現れ、オルビス団の幹部を名乗り……いきなりサザンドラを暴れさせ始めたとのことだ。

「……っぜー、早く消えろよぉー……。おらぁ、やれぇ」

 またもあくのはどう、それはコドラではなくレンジ本人を狙って放たれる。

「……くっ、ダルマッカ! ほのおの……いや、ニトロチャージ!」

 ダルマッカが跳ねて炎を纏って突撃するが、しかしそんなものでは太刀打ち出来る筈がない。容易く弾かれてしまい……レンジに直撃するかと思われたが、間に鋼鉄の塊が割って入ってそれを遮った。

「……コドラ!?」

 コドラ、レンジの相棒がレンジを庇ってあくのはどうに派手に吹き飛ばされ……遠くで首を落として倒れたのが確認出来た。

「うっぜぇなぁー……。ったく、めんどくっせぇ……。あくのはどう」

 間延びした声でアイクが退屈そうに頭を掻き、あくび混じりに指示を出した。……もし、これを食らえばレンジがどうなるか分からない。最悪、死ぬかもしれない……。

「阻止するんだダルマッカ! 顎にかわらわりを叩き込め!」
「はぁー? あーなるほど、うっぜぇー……」

 炎を纏い加速する、そしてサザンドラの顎に集束した黒い渦が解き放たれる寸前に真下から拳を叩き込み、その大口が閉じられる。

「いいぞダルマッカ、その意気だ!」

 あくのはどうは口内で暴発、よほど威力は高かった筈だがサザンドラは平然と佇んでいる。……あくタイプにあくタイプの攻撃は効果が今一つ、ということだろう。こちらもこの程度で怯んでくれるなんて思っちゃいない。

「……あーあー、サザンドラが怒っちまったぁ。俺は知らねえぜぇ……」

 アイクが退屈そうに横になりながら、言ったその言葉の通り、サザンドラはわずかに俯いてから高く吠えた。
 外傷など微塵もない、先程のあくのはどうだって傷にすらなっていないだろう。恐らくあるのは屈辱だ、圧倒的力量差のある相手にしてやられたことが相当頭に来たのだろう。
 その紫紺の瞳は、ただダルマッカのみを映していた。

「……いいぞ。ニトロチャージで攪乱するんだ!」

 この技は使う度に火炎袋が燃え盛り、自身を活性化させ速度を上げていく。悪意の籠った黒渦が降り注ぎ、地が抉れ飛び自分もダルマッカも衝撃で吹き飛ばされるが、直撃さえしなければ一撃でやられはしない。

「さあ、今のうちに逃げてくれ! コドラを連れて、早く!!」
「……言ってんだろうが、逃げらんねえよ」

 だが力の差は歴然、こんな時間稼ぎが保てる筈が無い。せめて彼だけでも……と思っていたが、レンジの様子がおかしい。

「……っ、かわらわり!」

 レンジの頭上に崩れ落ちたビルの瓦礫が迫っていた。それを蹴り砕いて反動で方向転換、あくのはどうを間一髪回避する。

「分かっただろうレンジ! ここに居ても危険なだけだ、逃げてくれ!」
「……なんなんだよてめえ!? わっけわかんねえ! こいつから逃げれるわけがない! おかしいだろ、自分も死ぬかも知れねえっつーのになんでそこまでやれるんだよ!!」

 ……振り返れば、彼は声も足も歯も腕も、全身をみっともなく震わせて怯えていた。だが、それは僕だってそうだ。……僕の足もがくがくと馬鹿みたいに小刻みに振動し、ダルマッカの膝だって先程からけたけた無邪気に笑っている。けれど、それがなんだって言うんだ。

「僕は死なない。前に言ったろ、諦めない心を持つものは最後には必ず勝利するって」
「てめえホンモノのバカだな、どっかおかしいんだよ!何が僕は死なない、だ、ふざけやがって!」
「かもしれないね、しかし僕はどうせバカなら見てるだけのバカより踊るバカが好ましいよ」
「……はは、ったく、わっけわかんねぇ」

 どこか頭を打ってしまったのか、それとも恐怖でおかしくなったのかレンジがとうとう笑いながら立ち上がった。早まるな、と言おうと思ったが彼の所作から僕の認識が間違いであったと気付く。
 コドラもようやく目を覚ましたようだ、がしゃがしゃ金属の重たい音を立てながらレンジに駆け寄り、二人はサザンドラに震えながらも向かい合う。

「レンジ、コドラ、君達……」
「いいぜ、やってやるよ! どうせなんもしねえでも死ぬんだ、だったら最後まで足掻いてやるよ!」
「……その通りだ、行こうダルマッカ! レンジ! コドラ!」

 並び立った僕達がサザンドラとの実力差を覆せるはずがない、しかしそれでもやらなければならない。
 思いの刃を固めて歯向かおうと声を掛けた瞬間、僕の相棒が突然全身から発光を始めた。

「……ダルマッカ、まさか!」

 彼は蒼白の燐光に包み込まれて、その丸い体型の影は徐々に徐々にと変化されていく。
 達磨のような体はそのまま大きくなり、小さかった腕は見違える程に発達していく。
 やがて光が晴れると、ついにその容姿を確かに捉えられた。
 眉毛は炎となって燃え上がり、大きな口は歯が剥き出し、背中には波状の模様がある。

『ヒヒダルマ。えんじょうポケモン
激しい戦いで傷つくと岩のように固まり 、黙考して心を研ぎ澄ませるのだ』

 他には 体内で千四百度の炎を燃やすことでダンプカーをパンチで破壊するほどのパワーを作る、とも記述されている。
 だが、今はそこはどうでもいい。それより新しく覚えた技だ。

「レンジ、サザンドラは僕とダルマッカ……ヒヒダルマを狙っている。一瞬でいい、彼の気を引いて時間をつくれるかい?」
「それでどうするつもりだよ、自分だけ逃げようと思うならやめとけよ」
「違うさ、可能性に賭けるんだ」
「……分かった、感謝しやがれ」

 この技ならばあるいは可能性がある。これか……最後の望みだ。

「行けぇコドラ、もろはのずつきだぁっ!」

 レンジの叫びを聞いた瞬間サザンドラの対象が変更された、その大きな悪意の塊をコドラに向けて放っている。今だ、逃げられないんだ、やるしかない!

「ヒヒダルマ、はらだいこだ!」

 そう、新しく覚えた技の一つはこれだ。
 ヒヒダルマがのけぞり、腹を太鼓のようの打ち鳴らして戦いのリズムを奏でていく。
 この技を使うと心が高揚して力が最大限まで上昇する。……だが、代償として体力を大幅に削られてしまう。元から激しく消耗しているヒヒダルマは意識の保てる限界まで体力を削り……それでも必死に持ち堪えて、最後の一撃に想いを乗せる。

「さあ行こうヒヒダルマ、期は熟した!」

 視界の端でコドラが吹き飛ばされるのが見えた、今度こそ正真正銘戦闘不能となってしまっただろう。
 彼らの想いを無駄にはしない、この技で……一矢報いて、必ず僕らは生き残ってみせる!

「フレア……ドライブだぁ!!」

 ヒヒダルマ、その全身から爆発的に炎が溢れ出して辺りを橙色に染めていく。天を貫く怒髪天のように煌々と耀き燃え上がる灼熱は、まるで小型の恒星のごとく。
 最大限以上に火炎袋を燃やし。炎の槍が一瞬の閃光となってサザンドラの心臓を貫いた。
 世界が静止したかのような静寂が訪れ、しかし直後には盛大な爆発と共に三つ首を携えた悪竜は猛烈な勢いで吹き飛ばされ、ビルに激突して崩れ落ちた瓦礫の下敷きとなった。

「や、やった、か……?」

 攻撃の反動で、ヒヒダルマはとうとう限界を迎えたようだ。駆け寄ったソウスケに抱き抱えられる中、静かにその瞼を伏せた。

「……ありがとう、ヒヒダルマ。本当に……ありがとう」

 それ以上は何も言わずに相棒をモンスターボールに戻して立ち上がった。このままここにいては、相棒の努力を泡に返してしまうことになる。

「……んぁ? あいつ、派手にやったなぁー……」
「行こうレンジ、逃げるぞ!! 早く!」
「おう! コドラ達の努力を……無駄にしてたまるかよ!」

 眠たそうに目元を擦りながらあくびを漏らすアイクに背を向け、ソウスケとレンジは駆け出した。
 ……その後ろでは、瓦礫が弾けて悪意に満ちたエネルギーが放たれているのも気付かずに。

「……なっ、あれを食らって尚力が有り余っているのか!?」

 振り返った時にはもう遅い、三つ首の黒竜はまるで傷などわずかも負っていないかのように力強く飛翔し、背後で黒い波動が渦巻いていた。

「……ウソだろ、死ぬのかよ、おれ……」
「僕達の足掻きは、意味を為さなかったのか……!」
「ゴーゴート! まもるだっ!!」

 レンジとソウスケ、二人がとうとう諦めに苛まれた瞬間一人の少年が声高く叫んだ。
 レンジ達とあくのはどう、その間に飛び出した一匹の山羊が低く構えて結晶化した光の盾を展開する。

「……くっ、頼む! 持ちこたえてくれゴーゴート!」
「私も応援するよ! ドレディア、ゴーゴートにエナジーボール! 連発して!」

 光の盾に撒き散らされた黒い波動は、その絶対防御を崩さんと怒濤の勢いで流れ込むが……。ゴーゴートの特性はくさタイプの技を受けると自身が強化される"そうしょく"、ノドカとドレディアの補助を受け耐え続ける彼を、惜しくも崩すまでには到らなかった。

「間一髪……。間に合ったな、ゴーゴート」
「あぶなかったね〜……!」

 ……本当に危なかった、ノドカとドレディアが居てくれなければまもるは恐らく砕かれていた。

「……た、助かったよジュンヤ、ノドカ」
「……しゃーねえなあ、一応礼は、言っといてやるよ……」

 安堵に胸を撫で下ろして振り返ると、ソウスケもレンジも余程安心したのか、深く深く息を零して地面にへたり込んだ。

「サザンドラ、なにやってんだぁ……」

 黒い三つ首の竜……サザンドラ、その奥で男が気だるげに立ち上がった。
 青いジャケットを羽織った大男、ソウスケ達に聞くと、アイクという名のようだ。
 アイク、その名には聞き覚えがある。レイがいつかオレ達の前に現れると警告していた、オルビス団幹部。
 ……確かに、相当危険な男のようだ。見回すと辺りのビルや電柱、街路樹などが砕けてひしゃげてぐちゃぐちゃになってしまっている。地面ですらいくつもの大穴が穿たれ……まさに暴れ回っていたというのが見て取れた。

「こいつが……アイクか」
「あぁーん? 俺のこと知ってんのかぁー? ……ま、どーでもいいかぁ。消えろ、あくのはどう」
「……っ、ゴーゴート! もう一度」
「消えるのは貴様らオルビス団だ。ファイアロー、ブレイブバード!」

 まもる、ジュンヤの出そうとした指示に被せて空から青年が飛び降りて来た。そしてその隣を駆ける隼は、空を裂いてサザンドラの背中に突き刺さった。そしてようやく、サザンドラが痛みを堪えるように顔をしかめた。

「よっと! あんたはオルビス団幹部アイクだな! これ以上の狼藉はこのぼくルークが許さねえぜ!」

 ルーク、ブロンドの髪に緑のチュニック、ヒノヤコマにつばめがえしを教えてくれた男。チャンピオンスタンさんの知り合いという彼だが、何故この街に……?

「数時間前に匿名で通報があったんだ、この街がオルビス団に襲われてるってな。さあ、速く逃げろ! 巻き込まれてもぼく達には責任が取れないぜ!」
「……あぁー、めんどくっさそぉーなやつが来やがったぁ……! ……行くぜぇサザンドラァ、こいつはめんどくせえやつだろうからなぁー……!」

 数時間前……? どういうことだ、オルビス団はそんな前から居たわけじゃ……。

「……いや、今は考えてる時間はない。ノドカ、お前は足が遅いからゴーゴートに乗ってくれ! 行くぞ、走るんだ!」

 彼らの事情は分からない、だけどオレ達が居たところできっと足手まといにしかならない。
 ルークさんの言うままに走りだし、ソウスケ達のポケモンを回復させるために、ポケモンセンターへ向かって駆け出した。

せろん ( 2015/10/15(木) 22:02 )