ポケットモンスターインフィニティ
















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プロローグ
忌まわしき記憶
 見えるのは、影。橙色の光に照らされた、四つの影。否、それは光では無い。触れるもの全てを飲み込み、自身の力に変えて、己をさらなる高みへと昇華させる破壊の象徴。
 ゆらゆらと揺らめくそれは、炎。自分達と影とを隔て、辺りを忌まわしい橙に染めている。
 熱い、息が苦しい、怖い。だがそれ以上に恐ろしいのが、炎の先の一つの影。切れ込みの入った背鰭、両腕の先に鈍く輝く爪を携えた竜が、仮面の男の指示の下、二つの最愛の影に破壊の火炎を浴びせる光景だった。
 走った。ただただ、走った。泥濘るんだ地面に足を滑らせても。天が震え、怒りの咆哮を轟かせても。身体を、矢のような鋭い豪雨に射られ続けても。
 劫火に包まれ崩れ落ちていくかつての安息の地を背にして、一人と一匹は、行くあても無く闇雲に走り続けた。

せろん ( 2014/09/28(日) 00:10 )