ポケットモンスターインフィニティ
















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第九章 反逆の旗を掲げ
第70話 ぶつかり合う力
 見上げれば、空は一面橙色に澄み渡っていた。太陽はエイヘイ地方の中心に聳える巨大な城の陰へと沈み、ヤミカラス達は空の彼方へと飛び急ぐ。
 穏やかに凪いだ水面には射し込む夕陽がきらきらと煌めき、緩やかな風が頬を撫でる。
 アゲトジムから徒歩数分。此処アゲト湖畔の、夢を見ているかのように過ぎていく暖かな景色とは対照的に、向かい合う彼らの闘志は静かに、熱く燃えていた。

「鬱陶しい、此処まで来てお前の相手をすることになるとはな」
「いつかに言ったよなツルギ、お前に勝って、オレ達の強さを証明するって。今でもその想いは変わっちゃいないさ」

 呆れたように吐き捨てるツルギに対し、ジュンヤは帽子をかぶり直して威勢良く紅白球を突き付ける。
 かつて二度の大敗を喫した最大の宿敵ツルギ。幾度と対立し、しかし決して相容れることの無かった彼と……三度の決戦の機会が訪れた。

「諦めろ、お前は俺に届かない。信頼の力か……下らん、そんなもので差を埋められる程甘くはないんだよ」
「お前がどう思っていたとしても、オレがここに居るのは、強くなれたのはみんながいてくれたおかげなんだ。だから……全力で行くぞ!」

 腰を落として、右腕を振りかぶると全力でモンスターボールを放り投げる。勢い良く宙に投げ出された紅白球が境界から二つに分かれると、内から溢れ出した赤い閃光が一つの形を象っていく。

「任せたぜファイアロー!」

 力強く羽撃たく疾風の翼、扇のように広がった尾、下半身は灰色に覆われ斑に火の粉模様が散っている。全身を包む光を払って現れたのは始まりを告げる最速の鏑矢、真紅の隼ファイアロー。

「相も変わらず言うことだけは立派だな。だがその程度では俺に及ばない、俺の力を見せてやろう」

 少年は姿勢を変えずに軽く腕を薙いでモンスターボールを放ると、球は二つに割れて閃光が迸る。

「出てこいフーディン!」

 長い耳に突き出した鼻、身体に不釣り合いな大きな頭で鋭い目付きに長く伸びた髭。両手には超能力で形成したスプーンを携えており、瞼を伏せて佇む空狐フーディン。

「お互い出撃可能なポケモンは六体、先に全てのポケモンを倒した方の勝利となります。それでは……バトル開始!」

 遂に決戦の火蓋が切られた。譲れない想いを守り抜く為に、目障りな相手をねじ伏せる為に、……勝利を手に入れる為に。

「ファイアロー、ブレイブバード!」

 お互いの持てる力全てを奮い本気をぶつけ合うフルバトル、その口火を切ったのは瞬閃の嚆矢だ。
 まさに疾風の翼。両翼を折り畳み流線型を為した隼は頭上から矢の如く放たれ、瞬く刹那の超高速で低空から空狐へ向けて突き進む。

「受け止めろ!」

 相手は未だ瞼を伏せたまま動かない。ファイアローを遮るものは何も無く……容易く折れてしまいそうな程に細いその胴に嘴がめり込む。

「やったぁ! さっそくファイアローの先制攻撃だよ!」
「ファイアロー、その調子で果敢に攻めましょう! ジュンヤさん、ファイトです!」
「……いや」

 決まった、ノドカとエクレアがそう思い声をあげたがジュンヤの表情は苦々しい。

「……っ、フーディンは、目を閉じている時に最大のサイコパワーを発揮する。離れろファイアロー!」

 ……皮一枚で、鏃は届かなかった。見事に直撃したかに思えた嘴は、隼の全身は、標的の寸前で顔を歪めながら標本のように静止してしまっている。

「ねえ、スワンナ。ファイアロー、なんだか苦しそうよ……」

 ノドカの心配する通りだ。フーディンは余りに強い神通力の為に、常に念力が身体から溢れ出していて、傍に居るだけで頭痛がしてしまうと言われている。 
 痛みに堪え、必死に足掻きもがいてみせるが、やはりその超能力は並大抵ではない。火炎袋を燃やして、全身を駆動させても身動ぎするのが精一杯だ。

「サイコカッター」

 おもむろに瞼を開いたフーディンは、悠然とした佇まいを崩さず、ファイアローを一睨すると握っていたスプーンを天へと翳した。
 虚空に三日月の形をした薄桃色の刃が無数に具現を始めていく。それは思念を実体化させた心の刃、念力が強ければ強い程その威力は高く……だからこそ、更に激しく身体を燃やす。

「今だファイアロー、上昇しろ!」

 フーディンのサイコパワーは瞼を伏せた時に最大限の力を発揮する。ならば、開いた今ならあるいは。 ファイアローと視線を交わして指示を送り、直後に無数の刃が標的目掛けて放たれた。
 四方八方から迫るサイコカッターは、しかし僅かな隙を見て束縛から解き放たれた疾風の翼を捉えるまでには至らない。超高速で大空を駆け回り、縦横無尽に天を舞えば総てが後塵を拝してしまう。

「行くぞファイアロー、ブレイブバードだ!」

 真紅の隼は高く鳴き、再び翼を折り畳む。フーディンが匙を翳して瞼を伏せるがもう遅い、放たれた矢が直撃し、衝撃で砂塵が舞い上がった。

「今度こそジュンヤの先制攻撃が決まった!?」
「いや、喜ぶのは早いと思うよノドカ。ジュンヤの相手はあのツルギだ。僕には、彼がそう易々と攻撃を食らうとは思えない」

 ソウスケが訝しげに戦場を睨み、ツルギが眉一つ動かさずに指示を飛ばす。

「サイコカッターだ」
「……まずい、避けてくれファイアロー!」

 攻撃は命中した筈だ、確かに手応えはあった。だが……。ファイアローが離脱を図り砂塵の中から飛び出すが、追い掛けて現れた思念の刃を避けきれない。慌てて半身を切って翻るが時既に遅し、左足の付け根を切り裂かれてしまう。

「……っ、大丈夫か!」
「急所を外したか、まあいい」

 幸い傷はそこまで深くない、直ぐ様体勢を立て直したファイアローは振り返って力強く頷くと、晴れた景色の中に立つフーディンを見下ろす。

「やっぱり、攻撃の寸前にリフレクターを貼っていたのか……!」

 佇む空狐は、敵の攻撃を遮るかのように四方に展開する光の壁に覆われていた。
 それはあらゆる物理攻撃の威力を半減する技“リフレクター”。恐らく攻撃の寸前に壁を貼ることで威力を軽減、そのおかげで渾身の一撃にも怯むこと無く直ぐ様攻撃態勢に移ってサイコカッターを放てたのだろう。

「続けてみらいよち!」

 フーディンが両の眼を深く閉ざし、握り締めたスプーンを翳すと空間に僅かな歪みが生まれた。
 その技は念力の塊を虚空に設置し、間を置いて発動する時限爆弾。特に相手は強力なサイコパワーを放つ難敵、迂闊に攻め入れば餌食となるのは避けられない。だが……。

「……そうか。そうだな、ファイアロー」

 ちら、とファイアローがジュンヤを見遣り、信頼と自信の込められた眼差しを瞬かせた。

「ツルギ達は尻込みしていて勝てるような甘い相手じゃない、ここは一気に切り崩そう!」

 とはいえフーディンは凄まじい知能を誇り、一度記憶した出来事は二度と忘れないと言われている。ならば……。

「来ないならば此方から行かせてもらうぞ。サイコカッター!」
「正面突破だ、はがねのつばさ!」

 ここで一気に勝負を決める!
 鈍く輝く白銀の翼を翻すと、襲い来る思念の刃を躱し、反らして、弾きながら飛行速度を緩めることなく滑翔をして匙を翳すフーディンの眼前へと躍り出た。

「甘いな、サイコキネシス」

 だが……残りたったの数センチで再びその瞼が伏せられ、同時に発動した強力な念力によって身体の自由が束縛されてしまう。

「いいや、ここからさ! 今だファイアロー!」

 たとえ身動き一つ取れなくとも、内から溢れ出す気炎までをも縛ることまでは出来ない。
 これまでの闘いで熱く滾っていた火炎袋が、更に激しく燃え盛る。闘志が漲り、鼓動が高鳴り、全身が力強く駆動を始め。……遂に、身体が灼熱の炎に覆われた。

「……オーバーヒート!」

 瞬間、全てが一つに収束していく。一点集中された全力全霊の焔は極大光線となってファイアローから噴き出した。
 眼前に立っていたフーディンには回避も、防御も間に合わない。総てを燃やし尽くすかのように迸る熱線に空狐は呑み込まれていった。

「よし、決まった……良いぞファイアロー!」

 熱線が次第に縮小し、噴き出していた焔は勢いが弱まり収まっていく。
 熱線の晴れた後に残っていたのは、焼け焦げた匂い、立ち込める黒煙、赤熱した大地。その中に立つ空狐は凄まじい熱に灼かれ、全身に焼けるような痛みを覚えながらも……尚、体勢を崩すことなく立ち尽くしていた。

「やっぱり、これでも倒せないか……!」

 フーディンは高い特防を誇る。その上ツルギが徹底的に鍛え上げており……流石の強さだ、文字通り捨て身で放った大技だというのに倒せないなんて。

「うそ、あんな強い攻撃を耐えるなんて……」
「ツルギさん、ホントに強くポケモン達を鍛え上げているんですね……!」

 観戦していたノドカも、まさか耐えるとは思っていなかった。エクレアと口を揃えて唖然としている。

「だけどこれも予想していたさ。一気に畳掛けるぞ、ブレイブバード!」

 相手はこれまで幾度と邂逅し、しかし到底敵わなかった強敵だ。いくら皆が強くなったといってもそう簡単に倒せるとは思っていない。だから……なお押すだけだ。
 ファイアローの特性ははやてのつばさ、誰にも追い付けない最速の風。技の反動は大きく全身に負荷が圧し掛かるが、それでも闘志を奮い立たせ、翼を折り畳んで弾かれるように超低空から突撃する。

「ああ、この程度は想定の範疇だ」

 ツルギが顔色一つ変えずに呟いた。フーディンも理解しているらしい、眼前に迫り来る敵へ向けて握ったスプーンを翳すと瞼を伏せて。

「サイドチェンジだ」

 その瞬間、フーディンの姿が掻き消えて、 先程まで空狐が佇んでいた筈の場所にファイアローが突如現れて紅隼がいた筈の位置に空狐が立っていた。
 サイドチェンジは自身と相手の位置を入れ換える技、そしてその直後に空間が局所的な爆発を起こし……。

「ファイアロー!?」

 その爆発は……先程みらいよちによって仕掛けられていた念力の時限爆弾だ。ツルギはこうなることを読んでいて、サイドチェンジで入れ替わる予定のフーディンの位置に技を置いていたのだろう。
 爆発が直撃してしまったファイアローは首を持ち上げ、翼で地面を押して必死に起き上がろうとするが……オーバーヒートの反動とこれまでのダメージが合わさり、身体が言うことを聞いてやくれない。

「……っ、戻ってくれ!」

 このままではサイコカッターを食らってやられてしまう。慌ててモンスターボールを投げると迸る閃光が地に堕ちた隼の全身を呑み込み、内に収まっていくと紅白球は手元に戻ってきた。

「いや、お前のせいじゃないさ、オレがツルギの手を読めなかったのが悪いんだ。ありがとう、よく頑張ってくれたな、次の出番が来るまでゆっくり休んでいてくれ」

 ボールの中から申し訳なさげに見つめてくるファイアローにこちらこそ、と頭を下げて、感謝と労いの言葉を送った。
 今度こそ活躍してみせる。未だ収まらぬ闘志を燃やしながらもファイアローは今は羽休めに専念をすることにして、ジュンヤはそれを見届けるとベルトに再び装着した。

「ファイアローは誰にも追い付けない速さがあるけど、パワーでは一歩劣ってしまう。なら、次は……」

 相手は高い反射神経と強い念力が取り柄だが、物理的な攻撃力には強くない。ならぱ、次は……。

「サイドン、お前に任せた!」

 投擲された紅白球から溢れた閃光、そこから飛び出したのは全身を溶岩すら通さぬ非常にに分厚く固い鎧のような皮膚に覆われ、鼻の先には一突きで高層ビルを破壊するドリルの角を携えた大柄の二足歩行。ドリルポケモンの岩犀サイドン。

「たしかに、サイドンのパワーと防御力ならばあるいは行けるかもしれない。良い判断だね、ジュンヤ」

 ソウスケの言った通り、サイドンは全体で見ても高水準の攻撃力と物理耐久を誇っている、このポケモンの鎧ならばサイコカッターも通さず闘いを有利に進められるはずだ。
 着地の衝撃で砂埃が舞い上がる中に現れたサイドンは、対峙するフーディンを睨むと激しく角を回転させながら咆哮を上げた。

「ああ、勿論だサイドン。ファイアローの分まで戦ってフーディンを倒そう!」

 先程の闘いを見ても臆することなく対峙するサイドンは、ジュンヤの言葉に振り返って頷いた。
 あらためて「よし」と気合いを入れ直し、どちらともなく指示を出す。

「サイドン、ロックカット!」
「フーディン、サイコカッターだ」

 風を切るように幾重にも思念の刃が放たれるが、サイドンの鎧には傷一つ付かない。

「サイドンの鎧は頑強なんだ、そう簡単には傷付けられないぜ!」

 大地を殴り付けるとサイドンを取り巻くように砂塵の旋風が巻き起こり、その分厚い皮膚の表面が砂の粒子によってたちまち磨かれていく。
 砂嵐が晴れると自らの身体を磨いて空気抵抗を減らし、身軽になったサイドンが低く腰を落として構えていた。

「行くぞ、アームハンマー!」
「迎え撃て、サイコカッター!」

 およそ本来鈍重な種族とは思えぬ高速でサイドンが眼前に躍り出て、巨大な鎚のように重く力強い拳を振り翳す。
 フーディンが思念の刃を顕現させて振り下ろされた拳を受け止めるが、全体重を乗せた一撃を耐え切るには硬度が足りなかったようだ。鎚に打たれた結晶のようにサイコカッターは粉々に砕け散り、がら空きとなった胴体を巨大な拳が殴り抜けた。

「……フーディン!」

 空に投げ出されながらもツルギの呼び掛けに小さく頷き、ここでフーディンの周囲を覆っていたリフレクターが維持を出来なくなったらしい、たちまち崩壊を始め、粒子となって消え失せた。

「もう一度リフレクターを貼られたら厄介だ、追うんだサイドン!」

 きっと相手は再びサイドチェンジを使ってくるだろう。だから……それでも避けられないように目線で合図を送りサイドンはフーディンの真下から跳躍して拳を構える。

「アームハンマー!」
「来るぞフーディン、構えろ!」

 自身の身体に念力を纏い、天上で構える金色の空狐。それに向かって跳躍し迫る岩犀。二匹の距離がぐんぐんと縮み、ある程度詰められたところで……案の定、銀の匙が翳された。

「サイドチェンジ!」

 二匹の位置が入れ替わった。見上げるフーディンと見下ろすサイドン、先程はこの技で手痛いしっぺ返しを食らったが……今眼下に構える相手を守るものは何もない。

「みらいよちだ!」
「……アームハンマー!」

 流石に発動を防ぐことは間に合わなかった。再び空間に歪みが生じ、戦場の何処かに時限爆弾が設置された。
 だが……もう逃がさない。発動の為にスプーンを構えていたフーディンに向けて全力全霊で拳を振り下ろし……。

「今だ、フーディン」

 フーディンの右手に握られていたスプーンが、次の瞬間には手のひらに収まるほどの小さな箱に変わっていた。その箱の天面には、赤いボタンが備えられていて。


「……しまった、だっしゅつボタンか……!」

 フーディンがボタンを押すと、一瞬の閃光の後にはその姿が掻き消え居なくなってしまった。

「な、なになに? いきなりフーディンが消えちゃったよ!?」
「あれは、フーディンのもちもののこうか……です」

 困惑を隠し切れないノドカにサヤがたどたどしく返事をして、ジュンヤが唇を噛みながら悔しさに固く拳を握り締める。
 サイドンの拳が空しく虚空を振り抜けて、力無く着地すると衝撃で砂埃が舞い上がった。
 今作動したのは「だっしゅつボタン」、一度きりの使い捨てだが作動させると一瞬でバトルフィールドから離脱してモンスターボールの中に戻るアイテムであり……。

「残念だったな、ここまで見せなかったことでその可能性を捨てていたか」
「……っ、ごめん、サイドン」

 彼の、ツルギの言う通りだ。持ち物が脱出ボタンである可能性が最初から頭に無かったわけではないが、ここまでの闘いで……オーバーヒートが真正面から直撃してしまうような局面ですら僅かも使う素振りを見せなかったことで選択肢から除外してしまっていた。
 結果むざむざと逃がしてしまっただけではなく、「みらいよち」という置き土産まで残されてしまった。完全に二手も三手も先回られたことで意気を削がれ掛けていたが……。

「……ありがとう、みんな」

 サイドンが振り返り力強く拳を振り上げる。腰に装着されたモンスターボールの中で、ゴーゴートやファイアロー達が激しく揺れる。
 まだまだ勝負は始まったばかり、闘いはここからだ。そう言わんばかりの皆に己の不甲斐なさを励まされ……。

「そうだ、これはフルバトル、ここから巻き返せばいいんだ。行こうサイドン、みんな!」
「勝負は気合いでどうにかなるほど甘くはない」

 一度手袋を引き絞め、頬をパン、と叩いて気合いを入れ直す。
 対峙するツルギは下らない、と言わんばかりに溜め息を吐くが、それ以上は何も言わずに新たなモンスターボールを構えた。

「出てこいケンタロス」

 軽く放り込まれた紅白球が二つに割れると、溢れ出した閃光が巨大な一つの影を象っていく。
 大きく逞しい胴体、力強く引き締まった四足の先には固い蹄が地面を踏み鳴らし、三本の角で己の身体を叩いて闘争心を激しく奮い立たせている。
 天を衝くように伸びた一対の角、短い茶色の体毛に覆われた全身は無数の傷痕が刻まれている。その姿には……確かな見覚えがあった。

「そのケンタロスは、スギルシティでお前が捕まえた……」

 かつて訪れた街で起きた、サファリゾーンのポケモン達の大脱走事件。その群れのリーダーだった一際体躯が大きくどのケンタロスよりも強かった個体だ。

「ああ、こいつは群れの長だけあって戦力に足るだけの強さがあったからな」

 鼻息を荒くした雄牛は、その巨体に見合った天まで届く程の低く力強い咆哮を轟かせ、大地までをも震わせる。
 ツルギに鍛えられたことでただでさえ抑えの効かない強さに磨きがかかったらしい、だが……今更臆するわけがない。

「負けないぜツルギ、オレ達の雪辱を果たしてみせる!」
「ハ、出来るものならやればいいだろう。もっとも、これまでもお前は大口を叩くばかりで実力が伴ったことは無かったがな」
「あの時とは違うんだ……この闘い、オレ達の全力をお前にぶつける!」

 大切なものを守るために。これまでの旅でポケモンと築いてきた絆を強さに変えて歩んできたジュンヤ。主との信じ合う想いを胸に闘うゴーゴート達。
 己の為すべきことの為に。これまでの旅で冷徹に強さを求めて戦ってきたツルギ。主の強さを信じて戦うフライゴン達。
 お互いの全力をぶつけ合う、長く険しいフルバトルはツルギの優勢で幕を開いた。未だ敗れて倒れたポケモンはおらず、可能性は共に等しい。
 勝利の女神は何れに微笑むのか、彼らの信じる強さがぶつかり合った先に何が待ち受けているのか。……この闘いの果てに、彼らは何処に辿り着くのか。その答えは、未だに誰も知り得ない。

■筆者メッセージ
ジュンヤ「……ついにツルギとの闘いだ。悔しいけど、やっぱりあいつは強いよ、ここまで全部あいつの読み通りに進んでいるはずだ」
ノドカ「た、たしかにそうかも。でも!ここから逆転すればいいのよ!ね、ソウスケ!」
ソウスケ「ああ、君は僕のライバルなんだ、そう簡単に負けてもらっちゃあ困る。全力で行け、そして勝ってくれ!」
エクレア「でも、改めてホントに強いんですね……ジュンヤさんや皆さんが連敗してるのもしかたないですもん」
サヤ「はい、ツルギは、つよいです。でも……ジュンヤさんも、応援してます。あなたもゴーゴートたちもノドカさんたちも、たいせつな友だちですから」
ジュンヤ「……ツルギは?」
サヤ「……友だち、になってくれたらうれしいです」
ジュンヤ「……あはは。けど、頑張らないとな。勝負は始まったばかりなんだ、巻き返してやるぞ!」
ノドカ「うん、その調子!イケるイケる!見てくれてありがとね、次回もよろしくお願いしま〜す」
せろん ( 2018/07/04(水) 13:36 )