ポケットモンスターインフィニティ



















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第七章 絶望の中で
第57話 大切なものを守る為に 後
「だめ! 逃げて、ゴーゴート!」

「やめろレイ……!」

 無情にも振り下ろされてしまったゾロアークの影爪が喉元へ届かんとしたその瞬間……少年の、低く力強い、はっきりとした声が廃工場の中へと響き渡る。

「フライゴン、ドラゴンダイブ!」

 天井を突き破り、ゾロアーク目掛けて群青の隕星が降り注ぐ。
 黒狐の眼が紅く瞬き、間髪いれずに飛び退ると隕星は地上寸前で急停止して、纏っていた粒子が晴れ翠緑の"せいれい"が姿を現した。

「へえ、相変わらずかっこいい登場じゃんツルギくん! もしかして隠れてタイミング見計らってたんじゃない?」

 ジュンヤの背後に立つ臙脂色の上着を羽織った彼……ツルギに対して、レイがからかうように話し掛ける。だが彼は眉一つ動かさず冷静に対する敵を見据え、「ストーンエッジ」と指示を飛ばした。

「っと、危ない危ない」

 眼前で競り上がる大牙の連なりに、地を蹴り嘲笑うように空から見下ろす。

「逃がさん、ドラゴンクロー!」

「わあ、怖い怖い! ……でもその言葉、そのまま返してあげるよ!」

 翠竜は群青に瞬く光爪を形成し、宙の標的へ飛び掛かる。だがゾロアークの眼が真紅に瞬いて体を翻すと、寸前でいなしてすれ違い様に影爪を翳した。

「シャドークロー!」

 悪戯な笑みと共にフライゴンの背中を深く切り裂き、地面へ一直線に叩き落とす。凄まじい痛みに、それでも歯を食い縛りながら必死に翅撃たき無理矢理制動する。
 瞭然たるレベルの差に、ツルギが僅かに歯を軋めながら次の指示を出そうとしたところで……呆れたようにレイが嗤った。

「ムリムリ、キミ程度じゃあボクのゾロアークには逆立ちしたって勝てないよ! だってボクはオルビス団という大木の幹を成す中枢の一人、最高幹部のレイなんだからさ!」

「生憎俺も、敵の実力を見誤る程愚かではない。まだだ、着地を狙え!」

 フライゴンが、超低空飛行で落下する標的へと接近していき、

「あくのはどう!」

「避けろ!」

 漆黒の螺旋を旋回で躱すと、竜爪を翳して鬱陶しく笑みを浮かべる化狐を切り裂いた。

「だからムダだってば、懲りないなあ!」

 奴の言う通りだ、ゾロアークは寸前で身を逸らして傷を最小限に留めている。だが……狙いは攻撃ではない、振り抜いた竜爪は地面を穿ち、勢い良く振り上げると一斉に砂利が噴き上げられた。
 視界は舞い上がる砂塵に覆われて、本命はこっちか、とツルギの目論見をすぐさま悟る。

「でも甘いよ、ナイトバースト!」

 ……っ、直撃すれば最悪瀕死もあり得ない話ではない。最高速で急上昇して、漆黒の半球が収まるまで待機する。

「いやあ、でもよくこの場所が分かったね! あれ、少し息切れしてるみたいだけど……見張りのポケモンにてこずったのかな?」

「……黙れ。街で貴様の部下を見かけたからな、しらみ潰しに探しただけだ」

 ゆっくりと降りてくるフライゴンを見やって、レイが高らか笑いかける。

「そうなんだ、キミってば相変わらず粘着質だね! でもやるじゃないか、キミのお父さんと違ってけっこー強いんだね! 驚いたよ!」

 その瞬間、僅かにツルギの眉間に皺が刻まれる。

「……って言っても、研究職の人に強さを求めるのも酷かもだけどね」

「それは挑発のつもりか」

「くく、それにしても勝てると思っていたのかい?」

 父への侮辱に、彼が無言で睨み付けると、彼は茶化しながらも話を続けていく。

「敵の実力を見誤る程愚かではない、って言ってたけど、どう見てもキミの敗北は必至だ。なのに何故来たか、……まさかキミの目的はボクを捕まえることじゃあなかったりして! なーんて思ったんだけど……どうかな?」

「……分かっているなら話は早い」

「ま、そうだね、別に答えてあげてもいいや。そう、キミが聞きたいのは……いや、"確認"したいのは、捕まえたポケモンをどうしているか、ということでしょ?」

 確認とはどういうことだ、ジュンヤとノドカが頭に疑問符を浮かべるが、彼らの間では既に承知の内容のようだ。触れることなく話が進む。

「きっとキミの予想通りだよ!」

「随分余裕の態度だな、『今更手遅れ』とでも言いたいのか」

「ふふ、残念だけどね、その通りなんだ! だって既に終末の時計は動き出しているんだ、もはや誰にも止められないのさ」

 本当に何の話をしているんだ……? 既に手後れ? 誰にも止められない?
 さしものツルギも眉間に皺寄せ苦渋を浮かべ……その瞬間、どこからか陽気な、太鼓を叩くような旋律が奏でられ始める。

「この音は、まさか……」

 その場にいた誰もが、一人の少年の姿を思い浮かべる。そして同時に周囲の温度が途端に上がったような感覚を覚えて……。

「フライゴン、ドラゴンダイブ!」

 恐らく今が好機だ、ツルギが誰より早く動き出す。
 翠竜は躯に群青に輝く光子を纏い、飛び立つとさながら流星の如く尾を棚引かせる。

「ヒヒダルマ、フレアドライブ!」

 どこからだ、見渡していると頭上から堪えられない程の凄まじい熱気が迸ってくる。見上げれば太陽を背に灼熱球が隕落していた。
 そして工場の入口ではソウスケが気合い十分に構えている。

「……これは、食らったらちょっとやばいかも。みき──」

 眼前からは流星が、頭上からは恒星が迫り、初めてレイが焦燥を浮かべた。ゾロアークの眼が真紅に瞬き、窮地をなんとか抜け出そうとするが……彼がそれを許さない。

「フェイントで潰せ!」

 途端に全身を覆っていた光子を脱ぎ捨て、握った拳で化狐の頬を捉える。
 恐らく読まれていたのだろう、完全に発動を潰されてしまい、"フレアドライブ"はすぐ間近まで迫っている……!
 既にフライゴンはその飛行速度によって離脱している、だがゾロアークは回避が間に合わない。ならば……あまりこういうことはしたくないけど、真正面から迎え撃とうかな!

「……っ、ナイトバースト!」

 頭上を見上げながら腕を地面に叩き付ける。そして漆黒の波動はゾロアークを覆うように半球に拡がり、熱球と衝突すると激しくエネルギーを迸らせて鬩ぎ合う。

「流石は幹部だ、まさかこの一撃を凌ぐとはね……!」

「さっすがソウスケくん、そんなこと言いながらすっごい楽しそうじゃん……!」

 大層悔しそうに笑むソウスケに、レイも呆れ半分に微笑んだ。
 火花が飛び散り、闇が弾け、──永く刹那の拮抗の果てに抑え切れない力と力が臨界を越えて、耳をつんざく轟音を伴い盛大に爆ぜた。

「……無事かヒヒダルマ!」

 衝撃で辺りに黒煙が吹き荒び、舞い上がった砂塵が視界を覆いつくす。
 皆が息を呑んで見守り、暫時の後にゆっくり晴れていく景色の中で……ヒヒダルマは、一人反動に痛みを堪えながら佇んでいた。

「あ、あれ、ゾロアークは……?」

 呆けた顔でノドカが呟くが……確かに彼の姿は見えない。どこだ、と見渡すと屑鉄の頂で平気そうに毛繕いをしている。

「……なあソウスケ、どうしてここに」

 オレはレイに言われた通り、誰にも告げずにこの廃工場へ訪れた。なのに何故、と頭に浮かんだ疑問符に彼は一瞥で答えてくれた。

「彼が案内してくれたのさ」

 振り返ると、一度は逃げ出したシャワーズが申し訳なさそうに顔色を窺ってくる。ありがとう、と頭を撫でると、レイに怯えながらも心底嬉しそうに頷いてくれた。

「ああ、けれど惜しかったな……!」

「それにしても意外だなあ、ソウスケくんはバトルに横槍を入れないタイプかと思ってたんだけど」

 口惜しげにひとりごちる彼に、レイが素直にそう尋ねるが、存外平然と返してみせる。

「む、なに、遠い地方ではバトルロイヤルもあるみたいだからね。たまには変則ルールもどうかなと思っただけさ」

「……そ、それすっごいへ理屈じゃん!?」

「へ理屈も理屈……っていうのは駄目かな」

「明らかにボクだけ狙ってるよね!? ま、べつに全然良いけどね? だってボク負ける気がしないし」

 言ってくれるな、そう言われると尚更勝ちたくなってくる。心に点った闘志を一層熱く滾らせて、ヒヒダルマと視線を交わして気合いを入れ直す。

「協力はしないぞ」

「勿論さツルギ、君に期待するほど僕は馬鹿じゃない」

「そうか」

 視線を交わして短いやり取りの後に、対峙する敵を見据え改めて臨戦態勢を取る。余裕の態度で構えるレイとゾロアークに、口火を切ったのはソウスケだ。

「行くぞ、アームハンマー!」

 掲げた拳を握り締め、跳躍すると鎚のごとく力強く振り下ろす。

「っぶな! 普通に怖いよ!」

 などと口では言いながらも嘲笑うように軽やかに跳躍、衝撃で陥没した地面に多少驚きつつも難なく回避してみせるが、

「ドラゴンクロー!」

 狙い澄ましたように頭上に躍り出たフライゴンの尖爪が振り翳された。

「おっとざーんねん、あくのはどう」

 振り下ろすより僅かに早く、突き出された掌の先から漆黒の螺旋が放たれる。腹部を穿たれた翠竜は勢い余って天井までぶつかり、

「フレアドライブだ!」

「みきり、続けてシャドークロー!」

 全身に炎の鎧を纏い、繰り出した渾身の大技も紅く瞬く眼光によって容易くいなされすれ違い様に背中を一閃切り裂かれる。
 既にはらだいこによって体力を大幅に削っている彼にこの一撃はあまりに重い、着地も出来ずに地面を転がり、相当悔しそうに歯軋りをする。

「あははっ、キミたちけっこーがんばるね、すごいすごい! でもね、ほら、ボクってば幹部だけあってすっごく強いんだ」

「黙れ、ドラゴンダイブ!」

「だから申し訳ないんだけど、加減にも限界があるんだよねえ。というわけで、そろそろ終わりにさせてもらおうかな!」

「……やめろ、レイ」

 その瞬間、レイの声色が凍り付き、身に纏う無邪気な雰囲気が一転する。
 ……駄目だ、駄目だ、駄目だ!! うまく言葉では表せないが、凍り付く程の底知れぬ悪寒に誰ともなく弱々しく漏らし……しかし、ジュンヤの声が届くことはない。

「やめろ、やめてくれ……やめてくれ!!」

「ありがとね、ちょっと楽しかったよ。……ゾロアーク、ナイトバースト」

 眼前に迫る群青に棚引く流星と、起き上がることすら出来ずに転がっている達磨、それから方々に臥しているジュンヤのポケモン達に一瞥を送ると、歪んだ笑みを浮かべながら"最後"の指示を送る。

「……っ、ゴーゴート!!」

 ゾロアークの掌の先で、空間すら歪める程にどこまでも禍々しい純黒の波動が逆巻いて……解き放たれた闇の衝撃波は、地面を抉り、光までをも呑み込みながら半球状に拡がっていく。
 ……レイは本気だ、恐らくオレ達がどうなろうと構わないのだろう。
 このままではノドカも、ソウスケも……そんなのは嫌だ! オレはもう……何も失いたくない……!

「……うおおああああ!! "まもる"だぁっ!!」

 半ば無意識だった、気付けば身体が動き出していた。
 ジュンヤが無我夢中になって叫び、それまで起き上がることも出来ずにいたゴーゴートが呼び声に応えるように立ち上がる。
 必死に一匹で闇の波動へ立ち向かっていたフライゴンの隣へ並ぶと……全身に茂る葉が眩く耀き、力強く大地を踏み締めると共に光子の結晶が展開していく。
 それは大切なものを守る為の力、心の生み出す極光の盾。

「……僕らもまだ戦える、そうだろうヒヒダルマ! フレアドライブ!!」

 更に、自分だけが見ているわけにはいかないと思ったのだろう、意を決したソウスケと共にヒヒダルマが火炎袋を滾らせて、全身を恒星の如く熱く、猛く燃え上がらせて激突する。

「……もう、だいじょうぶ、です。サーナイト、わたしたちも……ムーンフォース!」

「あ、ありがとうサヤちゃん……! 出て来てスワンナ、ぼうふう!」

 流星の剣が、極光の盾が、灼熱の槍が、月光の虹線が、吹き荒ぶ暴風が拡散する闇の波動へと放たれる。

「……ハハッ、ようやくだね、待ちくたびれたよ! ゾロアーク、みきり!」

 "ナイトバースト"は僅かも譲らず激しく逆巻き、彼らの大技を凌ぎ続ける。
 負けるわけにはいかない、必ず押し切ってみせる。そう皆が決意を固めて、相棒と意志を確かめ合った瞬間……しかし、途端に闇は収束をして消え去った。
 ゾロアークの切れ長の眼が真紅に煌めき、嘲笑うように離脱して主の足元へと着地する。
 皆が技を中断して一斉にレイとゾロアークを振り返ると、彼らはこれまでで一番愉快そうに、先程までの無邪気さを取り戻して声高らかに笑っていた。

「どういうつもりだ」

 ツルギが不快げに問うが、彼はまったく聞き入れない。

「いやあ、一本取られたよ! ノドカちゃんが解放されるなんてなあ!」

「理由などはどうでもいいが、奴へ意識を向け続けていた貴様の油断が原因だ」

「アハハ、それを言われちゃ敵わないや!」

 ちら、とジュンヤを一瞥し、レイも恥ずかしそうに頬を掻く。

「まあいいや、そんなことよりおかしいなあ、ジュンヤくんってばあれだけ怖がってたのにさっきゴーゴートに指示を出せたんだ!」

「……自分でも驚いてるよ、気付けば身体が動いていた。ただ……今でも戦うのは怖いさ、仮面の男への恐怖だって拭えちゃいない」

 確かめるように拳を握り締めて、相棒と視線を交わして頷き合う。

「じゃあ逃げたらいいんじゃない? 九年前のあの日みたいに、大切な仲間を見捨ててさ!」

「いいや、そんなことは出来ない。だってオレは……それ以上に怖いことがあるんだ」

 ……今になって、ようやく心から理解出来た。そして分かったよ、自分が何の為に戦えばいいのか。

「お前の言う通りだ。オレはどうしようもなく臆病で、これまでずっと大切なものを失うのが怖くて……今も、それは変わらない」

 そうだ、だからオレはずっと大切なものを守りたかった、強くなりたかったんだ。

「だからこそ……もうあの時みたいなことを繰り返させない。ノドカと約束したんだ、だから……オレは戦う」

 九年前、絶望の淵に沈んだ自分を救ってくれた彼女へ誓ったんだ。もっともっと強くなると、何があっても守り続けると。
 ずっと鞄にしまっていた、赤い帽子を取り出す随分と久し振りにかぶりなおした。

「憎しみじゃあない、斃す為じゃあない……大切なものを守る為にだ! オレが必ずみんなを守る!」

 ゴーゴートのモンスターボールを突き出して、泣きそうな顔のノドカへと、未だ警戒を解かずに耳を傾けるソウスケへと、無邪気に微笑むレイへと、九年前に死んだ父さんや母さん、育て屋のみんなへと……そして誰でもない、自分自身へと宣言する。

「へえ、言うねえジュンヤくんってば! ナイトみたいでかっこいいじゃん!」

 馬鹿にしたように嘲笑うレイは、しかし、

「……良かったよ」

「え?」

 ……何を言っていたかは聞き取れなかったが、なにか小さく呟いていた。

「さて、それじゃあ出ておいでオーベム」

 ぴん、とレイは腰に装着された紅白球の一つを弾いて、紅い閃光が走ると共に小柄で大きな頭のポケモンが姿を現した。

「……どういうつもりだ、レイ」

「あれ、最初に言ったじゃん、ボクは遊びに来ただけだって! ま、ノドカちゃんももう自由になっちゃったしね。ありがとねみんな、久しぶりにすごく楽しかったよ! ああ、最後にもう一つ」

 瞬間、再びレイの声色が凍り付く。

「ジュンヤくん、キミのご両親を殺したのはね……ボクなんだ」

「なっ……!?」

「アッハッハッハッハ! じゃあねみんな! また会おうかジュンヤくん、次に戦う時はオルビス団幹部として本気でいくからね!」

「どういうことだ、なあ!? 待てよ、レイ、おい!!」

 抑え切れない困惑を露にジュンヤが叫ぶが、レイとゾロアーク、そしてオーベムは関係ないと言わんばかりに忽然と姿を消してしまった。恐らく……テレポートを使ったのだろう。

「……ありがとうみんな、ゆっくり休んでくれ。あのさ、助かったよツルギ、ありがとな」

 どういうことだ、確かにオレは仮面の男が父さんと母さんを殺すのをこの目で見たはずだ。
 頭の中で整理がつかず、しばらく呆然と立ち尽くしていたが……気を取り直すように帽子を一度かぶり直して、未だ立ち上がれずにいたファイアローやライチュウ、サイドン、ゲンガー、更に恐怖を乗り越え戻ってきてくれたシャワーズへとお礼を言ってモンスターボールへと戻した。
 そして礼儀だからといったん帽子を脱いで、宿敵の少年へとお礼を告げる。

「俺には俺の目的があっただけだ。……やはり、俺の予想通りか。だとすればオルビス団の目的は……」

 しかし彼は相変わらずだ、興味無さそうに無感情に返事をすると、口元に手を当て何か考え込みながら真っ先に廃工場を後にした。

「あ、ま、まってくださいツルギ! あの、みなさん、ありがとうございます!」

「ううん、私こそありがとね!」

 追いかけてサヤちゃんも去ってしまい、後にはオレとノドカとソウスケ、その相棒達だけが残された。

「……ねえ、ジュンヤ」

「……ごめんノドカ、ソウスケ、それにゴーゴートにみんなも……長い間心配を掛けたよな。だけどもう大丈夫だ」

「そうか、待ち続けた甲斐があったよ、それなら安心だ」

 ゴーゴートの角を握って、真っ先に相棒へと決意を伝える。

「レイの言ったことの真意は分からない、だけどあいつは言った、『また会おう』って。だったらオレのやるべきことは一つだけだ」

 天井に空いた大きな穴から射し込んだ眩い陽光が、先程の喧騒など嘘のようにきらきらと綺麗に煌めいている。

「オレはもっともっと強くなる。そしてレイに勝って、あの言葉の意味を聞き出してやるさ」

 迷っている暇なんてない、いつか必ず"大切なものを守る"という願った理想を真実にする為に、誇れる自分になる為に、オレは今より強くなるのだと。
 爛然と輝く太陽へと腕を伸ばして、力の限り握り締める。胸に抱き続けてきた譲れない決意と共に、己の心に強く誓った。

■筆者メッセージ
レイ「ジュンヤくん!ずっと言いたかったんだけど、なんなのその体たらくは!?」
ジュンヤ「はぁ!?な、なんだよいきなり!」
レイ「なんだよってなんだよ!キミ仮にも主人公でしょ?なのにおよそ10話も凹んでるとかどんだけ豆腐メンタルなのさ!?主人公失格だよ!」
ジュンヤ「う、それは……」
ソウスケ「というか敵であるキミが言うんだ」
レイ「だって今でも友達だからね!」
サヤ「……いいですね、友達って。あの、ツルギ……」
ツルギ「お前は俺の道具だ、思い上がるな」
サヤ「うう……!」
ノドカ「わ、私はサヤちゃんと友達だって思ってるからね!」
ジュンヤ「ああ、オレもだよ」
サヤ「あ、ありがとうございます……!」
レイ「ボクも思ってるよ、ね、サヤちゃん!」
サヤ「え、……い、いいです……」
レイ「なんで!?」
ノドカ「でも、ジュンヤが元気になってよかった。それじゃあ次回もよろしくね〜!」
せろん ( 2017/05/30(火) 17:03 )