第27話 アカリがゲット、六匹目の仲間
再び37番道路を通ってハナビシシティに戻り、そこを北上する38番道路。
ここでアカリは、あるポケモンを探していた。
「ダブランどこかなあ」
ダブラン。エスパータイプで、サイコショックやシャドーボールなどの技を覚えるポケモンだ。
これから先挑む予定のジムにはエスパータイプやどくタイプがある為、その二つの技でどちらにも弱点を突くことが出来るポケモンを捕まえておきたかったのだ。
ここ38番道路に出るらしいとポケモン図鑑に載っていたのだが、なかなか見つけられない。
「こうなったら……。お願い、トゲキッス!」
全然目的の相手が見つからないことに諦めの心が芽生えてきたアカリは、もう空から探してもらうことにした。
それから数分するとすぐにトゲキッスが戻ってきた。
必死に探した自分の努力はなんだったのだろうと思わなくもないが、今日の失敗は明日の成功、とモチベーションを保ちながらトゲキッスについていく。
トゲキッスが止まり、一点に視線を注ぐ。
自分もそこを見ると、緑色の特殊な液体に包まれた球体のポケモンがこちらに背を向けていた。
「間違いない、ダブランだよ。お疲れ様トゲキッス、戻って」
草むらの中に潜む対象は、まだこちらに気づいていない。
「ダブラン。ぶんかつポケモン。
分裂した2つの脳みそで同じことを考えるとだせるサイコパワーは最高となる」
アカリは図鑑説明を聞いてから気づかれないようにそっと腰のモンスターボールに手を伸ばした、が……。
「あ」
手が滑ってしまい、ボールを落としてしまった。
向こうもそれで彼女に気づいたらしく、こちらを振り向いた。
「……行って、コジョフー!」
発見されてしまいアドバンテージを得られなかったのは少し残念だが、しかたない。
すぐに気を取り直してボールを拾い、ダブランの目の前に投げた。
「ねこだまし!」
ボールからコジョフーが飛び出した瞬間。
コジョフーが先制でねこだましをして、ダブランは怯む。
「続けてストーンエッジ!」
さらに追い打ちで降らせた岩の雨も、全段命中する。
「やった! 下がってストーンエッジ!」
だが相手が野生のポケモンだからといって攻め込みすぎても反撃の可能性もあり危ない。
跳んで後ろに下がり、再び岩を飛ばすもサイコパワーで止められて、投げ返されてしまった。
「危ない、跳んで!」
一転して自分に向かってくる岩を高く跳躍して避けたが、そこに実体化した念波の球が襲いかかる。
「コジョフー!」
空中に居ては避けられない、全段命中してしまう。
しかしコジョフーもまだ戦えるらしく、華麗な着地を見せた。
「うん、接近して!」
再び接近するコジョフーはサイコショックに迎えられるが、易々避けて目の前に迫る。
「今よ、ストーンエッジ!」
今度は向こうも技を使ったばかりで岩を止められなかったらしく、直撃だった。
さすがに堪えたらしく、体が大きく傾いた。
「よし、行って! モンスターボール!」
アカリが投げたボールは狙いから外れたが、コジョフーが蹴りで軌道を変えて命中する。
ボールは少しの間揺れたが、すぐに静止した。
「やった、ダブランゲット!」
そしてそれを高く掲げて、コジョフーとともに喜んだ。
その後ヨウタ達と合流して、彼女達は38番道路を進んだ。