ポケットモンスタータイド


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ポケットモンスタータイド
第22話 戦いに備えて
キクビシタウンを出て次の街、ハナビシシティへと続く道、36番道路。
そこでヨウタ達は、一時休憩して自分のポケモンと戯れていた。
「はい、モココはこれで終わり。次はトゲピーね」
アカリはモココの首もとや頭の毛をブラッシングして、その後ポケモン用のお菓子、ポフィンをあげていた。
だがもう十分あげた為、ボールの中のトゲピーと交替をした。
「はいよしよしトゲピー、かわいいね! トゲピーは赤ちゃんだね!」
と親バカ全開にして彼女はトゲピーを撫で回している。
「よしよし! ふふ、ここが気持ちいいの? かわいいねトゲピー。じゃあポフィンを食べよっか!」
今度はトゲピーにポフィンをあげる。
一つを四口程で食べ終わり、次はまだかと両手を伸ばしている。
その動きに応えるようにアカリは再びポフィンを与える。
「えへへ、かわいいー」
一生懸命ポフィンを食べる姿に彼女が微笑みを漏らした次の瞬間、トゲピーがいきなり光を放ち始めた。
全身を包む光は徐々に形を変え、光が晴れた時にはすっかり姿が変わっていた。
真っ白い体、細長い首、柔らかく手触りの良さそうな羽。
「トゲチック。しあわせポケモン。
ほとんど羽ばたきもしないのに少しばかり浮きながらトレーナーの後をついてくる」
まるで天使のようなそのポケモンは、トゲチックというらしい。
そのポケモンとアカリとの触れ合いをしばらく眺めていたら、ヨウタのポケットの中から電子音が鳴り出した。
ポケギアだ。すぐに取り出し、耳に当てる。
「私だ」
「お、ヨウタ。今どこにいる?」
ヨウタは出来るだけ声を低くして電話に出たが、無視されてしまった。
少し落胆しながらも、現在位置を伝える。
「そうか、オレは今ハナビシシティだぜ! ここまで言えば分かるよな?」
「……バトル?」
「正解! じゃあ待ってるぜヨウタ!」
電話越しでも彼がワクワクしているのが伝わってくる。恐る恐る返すと、彼は元気にそれだけ言って通話を切ってしまった。
「お兄ちゃん、なんだったの?」
「ミツキが、バトルしたいから次の街で待ってるって」
「え、ミツキさんが!? やった!」
相変わらずミツキのことが大好きなルミは、無邪気に喜んでいる。……けど。
「ごめんルミ、ミツキとのバトルの前にやることがあるんだ」
「ええ!?」
言いながら彼は、以前ヒロヤからもらったつきのいしを取り出した。
「ああ、なるほど」
「出てこい、ニドリーノ」
「……じゃあ私も」
続けてボールからニドリーノを出す。
ヒロヤは納得したように頷き、アカリはヨウタと同じ動作をする。
彼女が出したのも、以前ヒロヤからもらったつきのいしと、ニドリーナだ。
「??」
「ミツキとのバトルに備えて、ポケモンを進化させるんだろ。まあアカリは、せっかくだから自分も、と思ったんじゃね」
「じゃあ行くぞ、ニドリーノ」
「行くよ。ニドリーナ」
ワケが分からず首を傾げるルミにヒロヤが説明している間に、ヨウタ達は進化の石を使った。
三匹はどんどん姿が変わっていく。
「ニドキング。ドリルポケモン。
石のように硬い皮膚と長く伸びたツノが特徴。ツノには毒もあるので注意」
「ニドクイン。ドリルポケモン。
硬くて針のようなウロコが体を覆っている。興奮すると針が逆立つ」
「すごいぞニドキング、強そうだ!」
「ニドクインも、たくましくなったね!」
進化した自分のポケモンを褒めると、どちらも嬉しそうに笑ってくれた。
「ねえ、早く行こうよ!」
「そうだね、ミツキも待ってるんだ。じゃあ戻ってくれ、ニドキング」
「あなたも戻ってね、ニドクイン」
しかしルミに急かされた為、二人はポケモンをボールに戻し、四人は次の街ハナビシシティへと向かった。


■筆者メッセージ
いただいた感想にあったあのポケモンの手持ち加入ですが、ヨウタの次に捕まえるポケモンや今後の展開が既に大体決まっている為、遅くなってしまうと思います。
まことに申し訳ございません
せろん ( 2014/04/03(木) 13:43 )