第02話 対決、ヨウタとミツキ
「技の確認はいいよな」
「もちろん!」
「えっと、じゃあ審判は私が努めさせてもらいます! 使用ポケモンは一体、先に相手のポケモンを戦闘不能にした方の勝ちとなります!」
博士の研究所の裏庭でヨウタとミツキが向かい合い、アカリがそれを見ながら各地にあるトレーナーの実力を試すジムなどの公式の試合での審判の真似をしている。
「さすがジムリーダーの娘、様になってるね」
「とは言っても、たまに見るくらいだから合ってるか自信は無いんだけどね」
彼女の父は隣街アサノハシティのジムリーダーだが、毎日ここヒガキタウンから自分のジムに通っているためあまり彼のバトルを見る機会が無いのだ。
たまに見るものの物真似ということで自信が持てず、ヨウタの褒め言葉にも控えめな笑いで返した。
「じゃあ早速! ひのこ!」
「でんげきは!」
最初は、互いに牽制するかのように炎を、電気を放った。
二匹の間でぶつかり合うが、威力は互角らしくどちらも弾けて消えてしまった。
「だったらほのおのパンチ!」
「かわしてでんげきは!」
「もう一発!」
ブビィは接近して炎を纏わせた右拳を突き出すが、コリンクは後ろにピョンと下がって電気を放とうとする。
しかしブビィに今度は左の拳を突き出されて直撃、思わず技も中断してしまう。
「行け! クロスチョップ!」
「でんこうせっか!」
さらに両手を振り下ろそうとしたが、目にも留まらぬ速さの突進でそれを阻止。
「続けてスパークだ!」
その攻撃に怯んだ隙に、電気を纏って突進する。
「ほのおのパンチ!」
「もう一度スパーク!」
ブビィは山なりに宙を舞ったが、着地するとすぐに拳を構えて駆ける。
コリンクも迎え撃つように電気を纏って突進し、二つの技がぶつかり合う。
だが、コリンクの特性は相手が同性だと技の威力が上がるとうそうしん。鍔迫り合いはコリンクが勝った。
そしてそのまま押し切って、スパークを決める。
「ブビィ!」
「ブビィ、戦闘不能!」
ブビィは再び飛ばされたが、今度はべしゃりと地面に叩きつけられ立ち上がらなかった。
「わりいなブビィ、休んでくれ」
「良くやったなコリンク! 僕達の勝ちだ!」
ミツキは頭を撫でてあげたかったが、触れたら火傷では済まない。
差し出しかけた手をそっと戻して、ブビィをボールに戻した。
ヨウタはコリンクに駆け寄り、屈んで頭を撫でている。
「ヨウタ!」
「え?」
「次は負けねえぜ! 覚悟しとけよ!」
彼はヨウタをビッと指差し宣言すると、去ってしまった。恐らく研究所の中に戻ったのだろう。
「ヨウタ君、おめでとう!」
審判を務めていたアカリと、スボミーが駆け寄って来た。
「うん、ありがとうアカリ。じゃあ、僕達も戻ろうか」
「そうだね」
そうして二人も、足元に相棒を携えたまま研究所に戻った。