ポケットモンスタータイド - ポケットモンスタータイド
第14話 アカリが挑戦、二番目のジム
「行けコリンク、スパーク!」
ここギョウギシティのギョウギジム。
ヨウタのコリンクの攻撃でジムリーダーのポケモン、バルキーは倒れた。
そして直後コリンクを光が包む。
「コリンク、君もなのか!?」
君も。そう、今倒れたはジムリーダーの二匹目だ。
一匹目はムックルで倒し、その時ムックルはムクバードに進化を遂げた。
そしてその時と同じようにコリンクを包む光は形を変え、光が晴れると見違えた姿になっていた。
「ルクシオ。でんこうポケモン。
鋭いツメの先には強い電気が流れており、ほんの少しかするだけで相手を気絶させる」
ヨウタはポケモン図鑑をかざして説明を聞き、終わるとポケットに戻した。
「よし、行ける! 勝利の感覚が見えるね、ルクシオ!」
一人と一匹はさらに士気を上げ、最後の一匹との戦いに望む。
彼らは勢いづいている。彼の言葉の通り、もう勝利は目前だろう。



「最後は私の番だね」
アカリが以前父からもらったポケモンのタマゴを撫でながら言った。
ヨウタが無事勝利を収め、彼らは宿泊施設の一室に戻ってきていた。
ヒロヤもすでにジム戦で勝っていて、ヨウタとジムリーダーのポケモンの回復まで時間もある為ルミとともに買い出しに出かけている。
今この部屋にいるのは二人だけだ。
「そうだね、応援してるよ」
「ありがとヨウタ君」
「ううん、当然じゃないか」
そうして二人で話していると、アカリがいきなりひゃっ、と声をあげ驚いたようにタマゴを見た。
「どうしたの?」
「今、タマゴが動いたの!」
言われて見つめていると、本当にタマゴが小さく震えた。
「ほら、また!」
そしてそれはどんどん震える感覚が短くなってきている。
次第に揺れ方も大きくなってきた。
「え!?」
さらに見ていると、タマゴにヒビが走り始めた。
殻の一部が崩れ落ち、ヒビがついに全体を覆い、弾けた。
殻の中から現れたのは、タマゴのカラ。
そこから短い手と足が飛び出し、鳴き声とともに顔を出した。
「このポケモンは……」
「トゲピー。はりたまポケモン。
幸運のシンボル。カラの中には幸せがたくさんつまっているという」
「タイプはフェアリーで、覚えてる技は……」
図鑑をかざして説明を聞き、次に高さと重さ、覚えている技の確認をした。
「がんばってねアカリ!」
「うん!」
彼女はヨウタの応援に、ぎゅっと拳を握りしめて返した。



「よろしくお願いします!」
そしてアカリのジム戦だ。
向かいあうのは黒い短髪に胴着の男性、ジムリーダーのテツグロ。
「こちらこそよろしく。ゆけっ、ワンリキー!」
彼は礼儀正しく一礼してからポケモンを出した。
現れたのはワンリキー。かくとうタイプのポケモンで、小さな体だがとても力持ちなポケモンだ。
「私は……。行って、トゲピー!」
「見て見てお兄ちゃん! アカリちゃんが知らないポケモンを使ってるよ!」
「ああ、あのポケモンはトゲピー。二人が買い出しに行っている間にタマゴから孵ったんだ」
「センサイおじさんからもらったあのタマゴ?」
「うん」
「いいなあ、かわいい! でもチルットの方がかわいいよ、チルット!」
「じゃあまずは! バルキーだ!」
相手の一匹目はバルキー。先ほどのヨウタとのバトルで覚えている技は二つ確認している。
「バレットパンチだ!」
やっぱり。
先ほど使った技はバレットパンチととびひざげり。
「跳んで!」
トゲピーがジャンプでかわす。
先ほどのバトルでも同じ流れがあった。
「とびひざげり!」
「マジカルシャイン!」
上にかわしたところにとびひざげりを食らわせる。
なにも知らなければアカリも同じ手にはまっていただろう。
だが彼女は知っていた。
知っていた為、早めに技を繰り出しカウンターを狙ったのだ。
トゲピーが強力な光を放ち、バルキーがその中を突き進む。
膝蹴りを食らわせたが自身のダメージも大きい。
互いに着地し、バルキーは一瞬片膝をついたがすぐに立ち上がった。
「もう一度マジカルシャイン!」
「バレットパンチ!」
トゲピーが再び強力な光を放とうとしたが、先にバルキーの素早い拳が決まる。
トゲピーは宙に投げ出されたが、そこから今度こそ光を放って反撃した。
「バルキー、戦闘不能!」
「良くやったバルキー、休むんだ。次はマクノシタだ!」
「トゲピー、一度休んで。次はニドラン♀、お願い!」
次に出て来たのはマクノシタ。
これまでのダメージもあり、アカリもトゲピーを戻した。
そして続けて出したのはニドラン♀。
どくタイプが入っている為有利なポケモンだ。
「ニドラン♀、にどげり!」
「ねこだまし!」
ニドラン♀が技を使おうとした寸前、マクノシタに目の前でパン、と強く両手を合わせられた。
その音に驚いて思わず技を中断してしまう。
「もう一度よ!」
しかし今度こそ二連続の蹴りを決める。
「ちきゅうなげ!」
だがお腹に蹴りの二発目を入れた直後に足を掴まれた。
マクノシタはそのまま跳んで、地面に思いきり投げつける。
「ニドラン♀!?」
心配したが、後一撃は耐えられそうだ。
ニドラン♀はフン、と強く鼻息を吐いて気合いを入れ直す。
「どくバリ!」
「避けて接近しろ!」
次にニドラン♀はツノからどくの針を発射したが、相手はサイドステップで避けて近づいてくる。
「ちきゅうなげ!」
「跳んで! 背中ににどげり!」
そして掴もうと両手を伸ばした、がそれは虚しく空を切った。
すでにそこにはニドラン♀の姿は無く、気づいた時には背中に衝撃が走っていた。
「やれ、マクノシタ!」
しかしマクノシタは勢いで倒れそうになるのをなんとかこらえて、すぐに振り返り空中にいた相手を追いかけて掴んだ。
そして先ほど同様地面に投げつける。
「ニドラン♀、大丈夫?」
さすがにアカリも心配になり声をかけると、ニドラン♀は勇ましい声とともに頷いた。
「じゃあ、行くよ! にどげり!」
「受け止めてちきゅうなげ!」
そして最初と同じ流れになる。ニドラン♀のにどげりを受けたマクノシタが、反撃のちきゅうなげをした。
「ニドラン♀、戦闘不能!」
「ごめんねニドラン♀、ありがとう。きっと勝つからね。行って、スボミー!」
そしてアカリが三匹目を出した。
マクノシタはこれまでのダメージは大きいが、ジムリーダーは交替が許されていない為戻すことが出来ず続投だ。
「マクノシタ、ちきゅうなげ!」
「スボミー、はっぱカッター!」
マクノシタが接近してきたが、スボミーが尖った葉っぱを飛ばして直撃させた。
「マクノシタ、戦闘不能!」
やはりダメージが堪えていたのか、たった一度の攻撃でマクノシタは倒れた。
「後一体、がんばろうスボミ……ー!?」
アカリが声援を送りつつスボミーを見ていると、その体がいきなり光り始めた。
光に包まれたスボミーはどんどん形を変え、光が収まった時には全く違う姿に変わっていた。
「進化したんだね、ロゼリア!?」
言いながら、両手に綺麗な花を咲かせたそのポケモンにポケモン図鑑をかざす。
「ロゼリア。いばらポケモン。
栄養満点の湧き水を飲ませたロゼリアは美しい花を咲かせる。花の香りは敵を油断させる効果」
「あ、新しくマジカルリーフを覚えてる!」
彼女は説明を聞きながら技の確認をした。
どうやら進化して新しく技を覚えたらしい。
「最後はダゲキだ!」
そして彼も三匹目、最後の一匹だ。
「ロゼリア、一度戻って。トゲピー、お願い!」
アカリは交替してトゲピーを出す。
「ダゲキ、じしん!」
ダゲキが勢いよく地面を踏みつけると、地面に衝撃が走った。
「トゲピー、跳んでマジカルシャイン!」
「ならばかわらわり!」
トゲピーはそれをジャンプで避け光を放とうとするが、ダゲキのチョップで地面に叩きつけられてしまう。
「もう一度じしんだ!」

そして起き上がるより先に衝撃波を食らい、
「トゲピー、戦闘不能!」
戦闘不能になった。
「ありがとうトゲピー、ゆっくり休んでね。行って、ロゼリア!」
とうとう互いに残り一匹。
ダゲキを倒せばバッジが手に入れられる。
「ロゼリア、マジカルリーフ!」
「避けてじしんだ!」
「跳んで!」
ロゼリアが葉っぱを飛ばして攻撃するが横に避けられ、反撃を放つ。
だがこちらは跳んでその衝撃波をかわし、ダゲキの背中には先ほど当たらなかったはずのマジカルリーフが次々と命中した。
「な、なんだ!? ヒロヤさん、今マジカルリーフ……曲がりましたよ!?」
避けられたはずのマジカルリーフは途中で軌道を変え、ダゲキに当たったのだ。
ヨウタは意味が分からず隣に座る彼を見た。
「ああ。マジカルリーフは必中の技。
避けられても相手を追いかけるんだ」
「そんな技もあるのか……」
彼はその説明に納得して、再びフィールドに目を向けた。
「もう一度マジカルリーフ!」
「叩き落としてかわらわりだ!」
再び葉っぱを飛ばすが、ダゲキは素早いパンチで全て叩き落とされてしまう。
マジカルリーフはそこで効力を失ったのか地面に落ちて動かなくなった。
ダゲキは接近してきて拳を振り下ろした。
一度は身を翻して避けられたが、左手でも攻撃され直撃してしまう。
「距離を取ってマジカルリーフ!」
「防げ!」
そして下がって葉っぱを飛ばすが、やはり叩き落とされてしまう。
「もう一度!」
「無駄だ、かわらわり!」
だが何度やってもマジカルリーフは通用せず、ついに二度目の接近を許してしまう。
「なにやってるんだアカリ!?」
「今よ、マジカルシャイン!」
ヨウタが焦って叫ぶが、アカリはニッと笑い、指示を出した。
ダゲキの拳が届く寸前強力な光を浴びて、ダゲキは弾き飛ばされてしまう。
「トドメのマジカルリーフよ!」
そして空中に投げ出されてしまってはダゲキもその技を防ぎきれない。
半分程は防げず食らってしまい、無抵抗に地に落ちた。
「ダゲキ、戦闘不能! よって勝者、ヒガキタウンのアカリ!」
「やったねロゼリア!」
ロゼリアがアカリに駆け寄り、アカリもロゼリアに駆け寄って抱きしめた。
そして頭を撫でていると、テツグロが歩み寄ってきて、バッジを差し出した。
結んだ帯を模した黒いバッジだ。
「ありがとうございます! うん、ベルトバッジゲット!」
これでアカリも二つ目のバッジをゲット。
その後彼女達はポケモンセンターに戻って、バトルで傷ついたポケモン達を預けた。

せろん ( 2014/02/02(日) 16:55 )