02
「アキト、なにしてるの?」
「そうだ、早く行くぞ」
再び2番道路へと戻ってきたアキト達。彼は、サンダースの入ったモンスターボールを持って見つめている。カナエがそれを不思議に思い尋ね、ダイスケも彼女に続く。
「あのさ。サンダース、ボロボロだったよな?」
「え? うん……」
「オレ、なんであんな風になってたのか知りたいんだ。だから……」
彼は言葉とともに、ボールを放る。
「出てこい、サンダース!」
そして光とともに、黄色い身体が姿を表した。
そのポケモン、サンダースは、ボールから出て初めてアキト達を見るからだろう、こちらを向くなり全身の体毛を鋭く尖らせ警戒の態勢を取った。
「大丈夫、別にオレ達は悪いやつじゃないんだ。だから、まずは落ち着こうぜ……?」宥めようとするアキトだが、サンダースはうーうーと唸り全く警戒を解かない。
「ダメか……。やっぱり、まずは相手を知ることが大事なのかな」
アキトはポケットからポケモン図鑑を取り出し、サンダースをスキャンする。
「サンダース。かみなりポケモン。
怒ったり驚いたりすると全身の毛が針のように逆立って相手をつらぬく。」
すると、図鑑が電子音声で説明を読み上げる。
「えっと、高さは0.8m、重さは24.5kg、特性はちくでんで、覚えてるわざは……。
10まんボルト、シャドーボール、でんこうせっかにたいあたりか。レベルの割に強いわざを覚えてるけど、お前、もしかして誰かのポケモンだったのか?」
アキトが問いかけるが、サンダースは警戒を解かずにこちらを見つめるばかりで返事らしい返事はしない。
「アキト、よくそんなこと分かるね」
カナエが思わず感心する。
「まあな!」
と腰に手をやりふんぞり返って、鼻を高くして得意気に返事をするが、ダイスケに後ろから小突かれた。
「いた」
「ごめん、むかついた」
「……」
アキトは彼に若干不服そうな眼差しを向け、その後サンダースに視線を戻した。
すると、やはり警戒し唸っている。
「けど、どうしよう? 仲良くなりたいけど、こんだけ警戒されてちゃ……そう! ポケモンにはポケモンだ!
出てこいガーディ、ポッポ!」
彼は左手をグーにして、パーにした右手をポン、と叩きモンスターボールを上に投げ、2匹のポケモンを出した。
「よし、任せたぜ!」
ガーディとポッポはサンダースを安心させるためにゆっくりと歩み寄って、説得しようとしているのか2匹でなにかを言っている。
「オレ……じゃない、アキトはとても頼りになるトレーナーだから警戒しなくても大丈夫だよ!」
「ほ、ほんとかなあ……。でも確かに、言われてみれば」
「もう、なにやってるの? アキト」
「え? あ、はは……」
アキトが、ポケモン達がなにを言っているのか自分に都合がいいように解釈をしてアテレコしていると、遮るようにカナエからツッコミをされて彼は乾いた笑いを浮かべた。
「お、どうだった?」
足下に戻ってきたガーディ達に成果を聞くと、2匹とも申し訳なさそうな顔をしている……。
「……そうか、ダメか……。
ありがとう、戻ってくれ……」
アキトは地面に両手をつき分かりやすく落ち込んだ後、立ち上がり2匹をボールに戻した。
「アキト、どうするの?」
「……ああ、仕方ない。時間をかけてゆっくり仲良くなるしかない。
な、これから仲良くなろうぜ、サンダース。
うわっ!」
そしてサンダースにゆっくりと歩み寄り手を差し出そうとするが、足元に電気を撃たれてしまう。
「あ、危な……」
威嚇だったのだろう。当たりこそしなかったものの、彼は後方に下がり胸を押さえている。
「……今日はここまで、戻れサンダース! ……行こうぜ、二人とも」
これ以上刺激を与えると本当に電気を浴びせられかねない。
サンダースをモンスターボールに戻し、彼らは先に進むことにした。