02
バトルをするのはいいが、シノノメシティは建物ばかりでスペースが無い。
そのため3人は街を後にし、2番道路に来ていた。
木々は伐採でもされたのかあまり見あたらず、整備された道路が伸びている。脇には原っぱが広がっていて、遠方は手を加えていないのか木々が立ち並んでいる。
しかしそれは2人にとって好都合だ。広い原っぱで向かい合い、カナエはそれを見ている。
「え……? 待ってくれ、ダイスケ。あれって……」
「なんだよ」
「どうしたの、アキト?」
アキトが目を凝らしてダイスケの後方を見て、その方向に駆け出す。彼の様子を見てカナエ、ダイスケも彼の向いていた方向を見ると、草むらではないのに野生のポケモンの姿が見える。
だが、それだけならそこまで珍しいことではない。中には人間の食べ物を奪うために食事中に現れたり、いきなり現れてイタズラをするポケモンなども居るのだから。肝心なのは、そのポケモンの種類と状態だ。そのポケモンは四足歩行で黄色くトゲトゲの毛に、大きな耳で目つきは若干鋭い。
アキトの知る限りだとそのポケモンは、トウシン地方では野生で見かけることがめったに無いイーブイの進化形、サンダースそのものだからだ。
しかも倒れており、はっきりと分かるほどの傷が身体中についている。
「どうしたんだ、大丈夫か?!」
彼が急いで駆け寄り、2人もそれに続く。
「どうしてこんなに傷が……?」
カナエは思わず口を押さえながら、彼に尋ねる。
「分からない。けど、このまま放っておくわけには行かない」
アキトは数歩後ろに下がり、モンスターボールを手にして言った。
「なにすんだ?」
「捕まえて、ポケモンセンターに連れて行くんだ。行け! モンスターボール!」
サンダースは全く動かず、ボールは簡単にぶつけられた。人のポケモンだったらどうしよう、と不安だった彼だが、無事ボールに収まり胸をなで下ろした。
「よし、ポケモンセンターに行こうぜ!」
3人は、急いで来た道を引き返して走り出した。