01
「おい! 起きろアキトー!」
宿泊用の部屋で、ダイスケが寝ているアキトに顔を近づけ叫ぶ。
「もう、どうしたのダイスケ……?」
その声に、隣のベッドで寝ていたカナエが目を覚まし、眠そうに目をこすりながら起き上がる。
「あ、わりいカナエ。まあいいや、起きろアキト! おれとバトルだ!」
「う〜ん、まだ食べれるー……」
だが、肝心の彼は全く目を覚まさない。
「このねぼすけさんめ……!」
ダイスケが、思わず拳を握りしめ歯ぎしりしてしまう。
「あはは、アキトはなかなか起きないよね」
「いや、起こす! 出てこいニョロモ!」
カナエが微笑んでいる横で、ダイスケがモンスターボールからポケモンを出す。
「ええ? ちょっ、ダイスケ?」
「起きろアキト! ニョロモ、あわ!」
ダイスケが彼の顔の前に自分の相棒ニョロモをかざし、ニョロモが口から泡をはく。
さすがにそれはやめた方がいいよ! って止めようとしたけど……。間に合わなかった。ごめんね、アキト。
「ぶわ、うわあ! な、なんだ!?」
驚いたアキトは、慌てて飛び起きた。
ダイスケは、してやったりといった顔をしている。
「お前か……! いきなりなんなんだよ!」
「アキト、おれとバトルだ!」
いい夢を見てたのに! 彼は安眠を妨害され食いかかるが、ダイスケはそれを無視してバトルを申し込む。
「バトル?」
アキトは単純だ。怒りは既にどこかへいってしまったらしい。
「ああ、おれとバトルだ!」
「もちろん、受けて立つぜ! 着替えるから、ちょっと待ってて」
バトルとなれば話は別だ! 彼は挑戦を受け、勢い良く返してから服に手を伸ばした。