02
「……よし、準備完了!」
リュックの中に旅に必要な物を詰めこんで、何も忘れてないのを確かめた。
モンスターボールはベルトにちゃんと6つ全部ついてるし、ポケモン図鑑もポケットに入ってる。バッチシだ!
最後にトレードマークの帽子をかぶって、またしばらく空けることになる自分の部屋を見回す。
オレの部屋は、旅に出る前とほとんど変わっていなかった。
変わったことと言えば、母さんが部屋をキレイに片付けてくれていたこと、棚の上にトウシンリーグ優勝の証のトロフィーが飾られたこと、その隣に立てかけてあるコルクボードに旅の途中で撮った写真がいくつも加わって、収まりきらなくなっていることくらいだ。
……オレとリョウジのバトルにとうとう決着がついて、ポケモンリーグは終わった。
そして帰ってきたんだ。オレ達の故郷、コキヒタウンに。
その日は町の人達がすれ違う度におめでとう、と祝福の言葉をかけてくれたり、ポケモンを見せてって頼まれたり、リーグやバトル、旅のことについて聞いてきたり、……まあ、何か女の子との出会いが無かったか、なんて聞かれることもあったりしたけど、それは置いといて。
みんな、歓迎モードで出迎えてくれた。
家に帰ってもそれは同じで、オレの家に着いたらオレの母さんと一緒にカナエとダイスケの両親、それにアオズリ博士まで待っていて、入るなりみんなからクラッカーを鳴らされて驚いたよ。
そして昨日の夜はオレ達の好物ばかりが並んだ豪華な夕食と優勝記念の大きなホールケーキを食べながら、みんなに捕まえたポケモン達のこと、この旅で起こった様々な出来事や出会ったたくさんの人達のこと、とにかく色々なことをいっぱい話した。
やっぱり故郷は、心も体も落ち着いた。
……だけど、この町にいつまでも留まっているわけにはいかない。
まだ見たことのないポケモン達や、見たことのない景色がオレ達を待っているんだ。
アキトは少しの間故郷、コキヒタウンへの想いに浸っていたが、やがて静かに扉を開けて部屋を出た。