01
「さて、3回戦は誰だろう」
アキト達が今回も観客席から大きなモニターを見る。
表示された人の中から自分を探すのは、最初に比べれば人数も減っておりたやすかった。
「あった!」
「えっと、ぼくの相手は……。あっ、アキト君!」
「次はシンヤか!」
隣同士、間にダイスケを挟んでいるが、2人は顔を見合わせる。
「お前とは今のところ1勝1敗だからな。負けないぜ!」
「ううん、それは出来ないよ。勝つのはぼくだからね!」
「いや、オレさ!」
「そうそう。シンヤ、こいつは強いぞ。そう簡単には勝てないっていうかおれが情けなくなるから勝ってほしい」
「おれも同感! せめてベスト8かそれ以上いってくんなきゃこいつに負けた自分が悲しくなる!」
アキトとシンヤが火花を散らす間にタカオが割り込んできて、さらにダイスケも加わる。
「アキトさん、絶対勝ってくださいね! 優勝するって約束したんですから!」
「まあツボミちゃんの分も戦うとは言ったけどさ」
ツボミも、カナエを挟んで話に入ってきた。
「アキトもだけど、シンヤ君もがんばってね」
「もちろん!」
「カナエちゃん……! 良かった、誰も応援してくれなかったら悲しかったよ。ありがとう!」
カナエが2人の顔を順に見て応援すると、シンヤはすごく明るい顔に変わる。
「気をつけろよシンヤ。こいつお前に気つかってるだけでほんとはアキトに勝ってほしいって思ってるからな」
「それは……」
「カナエちゃん、なにその反応……」
だがダイスケが笑いながら言い、彼女が困ったような反応を見せ彼は暗い顔に、いや、あきらめたような顔になった。
「お、オレは応援してるぜシンヤ!」
「そうそう冗談だって。おれもダイスケもツボミちゃんだって、みんなちょっとはお前を応援してるぜ」
「ちょっとは……。まあいいか、ありがとう。じゃあアキト君、あらためて負けないよ!」
「ああ、オレも負けないぜ!」
タカオのフォローに彼は安心したように胸をなで下ろして言い、アキトもそれに左手を握りしめて返す。
「よし、じゃあ親睦を深めるためにも、みんなで飯食いに行くか! 腹減っただろ?」
「そうですね。僕ももうお腹ペコペコです!」
「おれもおれも!」
タカオの言葉にまずアキトとダイスケが反応を示し、続けてカナエ達がそうですね、と相づちをうった。