04
「……ありがとうございました。アキトさん、カナエさん。もう大丈夫です」
しばらくして、目を真っ赤に晴らしたツボミがぺこりと頭を下げた。
「ツボミちゃん」
「そろそろアキトさんの試合始まっちゃいますよ。もう行った方がいいです」
「え?」
アキトを遮り、彼女が言いながら自身の腕時計を見せてくれた。
「ほ、本当だ、ありがとうツボミちゃん! じゃあオレはもう行くよ。絶対勝って、ツボミちゃんの分も戦う! じゃあね!」
「ツボミちゃん、またね!」
なんとすでに試合開始の15分前だった。アキトとカナエは慌てて会場に入り、振り返って別れを告げた直後自動ドアがしまった。
「アキトさん、ありがとうございました。頑張って下さい」
残されたツボミも、1人つぶやいてから会場に入った。