01
「よし、出てこいサンダース!」
21番道路、草むらの前に立ち止まり、アキトはモンスターボールを投げた。
出て来たサンダースは、周りに敵も居ないため不思議そうにしている。
「なあ、サンダース」
かがんで、目線を合わせて話しかける。
「お前、これからどうするんだ?」
なにをどうするのか、意味が分からず首を傾げている。
「もうシッコク団は倒した。お前をボロボロにしたウツブシとサザンドラも。もう、好きにしていいんだぜ」
サンダースは、アキトをじっと見つめている。
「まあオレは、よければこれからも一緒に居たいって思ってる。でも、無理にとは言わないよ。お前がホントに行きたいと思ったところに行ってくれ」
元々サンダースはバトルでゲットしたわけでも無く、あくまで傷つき倒れたところを保護し、これまでもシッコク団という敵と戦うために一緒に居たのだ。
そのボス、目的の相手を倒した今、ついて来る理由は無い。
「サンダース?」
サンダースが背後に回った。
そして腰についたボールを叩き、再び正面に来た。
「えっと、どういうことだ?」
ボールをつまんで目の前に差し出すと、スイッチを押すしぐさをして頷く。
「……一緒に、来てくれるのか?」
その言葉に、再び大きく頷いた。
「ありがとうサンダース! これからもがんばろうぜ!」
アキトが拳を握りしめ言うと、サンダースはフッと笑って眼前のボールのスイッチを押し、赤い光に包まれボールに戻っていった。
「よし、じゃあ行こうぜみんな!」
立ち上がって、振り返り言う。
カナエとダイスケは返事をして、3人は草むらへと足を踏み入れた。