01
「やっと終わったなあ」
アキトが寝まきで思いきりベッドに飛び込み、寝返って天井を見た。
シッコク団アジトを出た彼らはリンドウを残してそこで別れ、ポケモンセンターの宿泊用の部屋に来ていた。
今日あったことをシンヤも一緒に4人で話しながら食事を取り、部屋に戻ってから備えつけの風呂に入ってたった今アキトが出てきたところだ。
ダイスケはすでにベッドに寝転がり、自分のバッジケースを眺めてにやけている。
カナエはいつも結んでいる髪をほどいて本を読んでいたが、アキトが出て来たことでラフレシアの描かれたしおりを挟んでそれを閉じ、立ち上がった。
「ねえ、アキト」
「ん?」
再び寝返って枕に顔をうずめていた彼だが、彼女に呼ばれて振り返り肩越しに見る。
「ちょっと、外でお話しない?」
「え? ああ、いいけど」
「なんだよ、おれに聞かれちゃまずいのか?」
なんでオレだけ? いや、それはいいとしてなんで外で? ……少し、だけど、期待しながらたずねようとしたが、ダイスケに遮られてしまった。
「そ、そうじゃないけど……」
「ふーん、ならなんの話すんだ?」
「ど、どうだっていいでしょ?」
「いやあ気になるなあ」
ダイスケ……。なにやってるんだ、オレもなに話すか気になってくるだろ。
「もう、ダイスケには関係……。とにかく! 行こう、アキト!」
「え? ああ」
彼女は足早に部屋を出て行ってしまった。オレも慌てて追いかける。
「アキト!」
「ん?」
ドアノブに手をかける時に呼び止められ、振り向くと彼は親指を立てサムズアップしていた。
「……ああ!」
よくわからないけどオレも同じしぐさを返して、部屋から出た。