01
「シノノメシティ大きいな……」
「すごい広いね……」
「家でけえ……」
今までコキヒタウンを出たことが無かったアキト達は、この街の大きさに圧倒されている。
テレビで見たことはあっても、やはり実際に見ると違うものだ。
しかも街の中央には、大きなビルまで建っている。
「こう大きいと、どこからみていいか分からないな……」
「うん……」
「なら、俺が案内してあげるよ」
彼らが見回していると後ろから声を掛けられ、振り返ると1人の青年が立っていた。
「あの……あなたは?」
「俺はリンドウ、ドラゴン使いさ。それより君達、この街に来るのは初めてだろ? 案内するよ」
彼は、そう名乗った。
確かに彼は、ドラゴン使い特有の、ファンタジーの物語などに出てきそうな紺色の服に暗い紫色のマントを羽織り、髪は群青色でとげとげしく、片目は半分ほど隠れている。アキト達から見るとどうみてもおかしな格好だ。
確かに、ドラゴン使いだ……。
3人は同じことを思ったが、口には出さなかった。
「い、いえ、大丈夫ですよ。ありがとうございます」
「はは、遠慮しないでいいよ。俺もグンジョウシティっていう田舎から旅立って、困惑したことがあったからね」
あまり関わらない方がいいと思いやんわり断ろうとしたが、彼はそれに気付いてか気付かずか、笑っている。
「わ、分かりました。ならお願いします……」
これ以上断るのもなぜか悪い気がして、アキトはそれ以上何も言えなかった。
「おい大丈夫なのか? こんな変なやつについていって」
が、ダイスケはきっぱりと言い切った。
「ちょっ、ダイスケ!」
「はは、気にしないでいいよ。確かにこの格好は自分でも変だと思うから。じゃあ、行こうか」
カナエが注意しようとするが、彼は笑ってすませる。アキトとカナエは、自覚があったのか、と思うと同時に、彼にある種の尊敬の念を抱きそうになっていた。