01
「ラフレシア、はなびらのまい!」
撒き散らした花びらがまっすぐにラッタに襲いかかる。
「ラッタ!」
短パンの少年が叫ぶ。ラッタは、そのダメージに耐えきれず倒れた。
ルールは3対3だったが、カナエが3匹目を倒したことによりバトルは終わった。勝者はカナエだ。
「僕の負けだよ。かわいいからって油断はしなかったのに……」
少年は悲しげにカナエに駆け寄り、手を差し出した。
「あはは、ありがとうございます。けどあなたも強かったですよ」
カナエは笑顔でその手を受け取った。
「やったな、カナエ」
「アキト、ダイスケ。うん!」
2人も駆け寄り、彼女は握っていた手を放して振り向いた。
わたしの勝利に、2人も喜んでくれている。
……ここは16番道路。わたしはつい先ほどまで、これまで毎日……じゃあないけどしてきた特訓の成果を確かめるために、たまたま居た少年に勝負を挑み、そして勝ちました。
バトルに勝ったのはこれが初めてで、勝ったこと自体ももちろん嬉しいのですが、それよりもこれでアキトとダイスケに少しは追いつけたかな、いうことがなによりも嬉しいのです。
「おい、カナエ?」
「え? あ、うん。なに?」
「いや、なにか考えてたのか?」
「あはは。まあね」
少年と別れ歩いていたわたし達。だけどそんなことを考えていると歩くのが少し遅くなっていて、隣のアキトがそれに気付いて声をかけてきた。
少し前を歩いていたダイスケも、彼の声でこちらを振り向いている。
「そうか。悩みがあったら、いつでも相談してくれよ」
アキトはわたしの肩に手を置いて、笑顔で言ってきた。
「うん。ありがとね、アキト」
わたしもやや首を傾げ、笑顔で返す。
「ああ、気にするなよ」
彼はそうして、ダイスケの隣に駆け寄って談笑を始めた。