01
「よし、着いたぜ! ツルバミシティ!」
「おう! じゃあアキト!」
「ああ、ダイスケ、ジム戦していいぜ」
「……え?」
ハジゾメシティを出て15番道路を通り、彼らはツルバミシティに到着した。
この街にもジムがある。ダイスケは彼に先を越されないように、とその場で軽く走りながら声をかけたが、予想外の返答にすっとんきょうな声を出してしまう。
「ま、まさか、またあいつとなにかあったのか!?」
あいつ、とはつい昨日会って、共に戦ったばかりのライバル、リョウジのことだろう。
前のこともあってか、オレの両肩を掴んで心配してきた。
「ち、違うよ! オレは、最後のジムはグンジョウジムって決めてるんだ。だから、この街のジムはいいんだ」
「なら良かったけどよ……。お前、勝てなかったらどうするつもりなんだよ!」
彼の両肩を押さえていた手を話して、胸をなで下ろしてからたずねる。
「大丈夫さ、ダイスケ! 絶対勝ってやる!」
「……はあ、その自信はどっから出てくんだよ」
勝てるはずがない。ショウブは、あんなに強かったのだ。
「……まあ、好きにしろよ。お前がポケモンリーグに出れなくなっても、おれは困んねえからな」
……しかしダイスケは、それでもなぜか、彼になら勝てる、そんな気がした。
口では悪態をつくが、それも不思議と彼が勝つと確信出来たからだ。
「ああ、好きにさせてもらうぜ」
アキトもそれが分かっているのか、彼の薄情とも思えなくもない発言に抗議しなかった。
そして3人は、それから談笑しながらツルバミジムへと向かった。