01
「草むらがあるな。確か、基本的にこれの中で野生のポケモンが飛び出して来るんだよな」
「うん、そうだったはず」
先ほどのバトルの後も歩き続けて十数分、アキト達は膝丈ほどの草むらが目の前に広がる場所にたどり着いた。
「おふくろによく注意されたよな、草むらには入るなって」
「ああ。けど、今のオレ達にはポケモンが居るから大丈夫だな」
アキトは言いながらベルトについたモンスターボールを見た。
そして皆その草むらを感慨深げに見つめた後、とうとう草むらへと足を踏み入れる。
直後はなにも出なかったが、少し歩くとガサガサという音がしてなにかが現れた。
「あ、野生のポッポが飛び出してきた!」
出てきたのはポッポ。ポケモン図鑑を取り出し確認をする。
「ポッポ。ことりポケモン。
戦いは好きではない。草むらの中に隠れて小さい虫などを捉える」
図鑑が説明を読み終えると、アキトはそれをポケットにしまい視線を戻す。
「確かに草むらの中に居るな」
「ちょっと、アキト? 目を離してると逃げられちゃうよ?」
「あ、ごめん。行け! ガーディ!」
アキトが図鑑の通りだ、とうんうんと頷いていると横から注意が飛んできたため、謝ってからボールを上に放り、キャッチして勢い良く投げる。
現れたガーディは勇ましく吠え、構えた。
「ガーディ! ひのこ!」
指示を受けガーディは、口から小さな火を放つ。
ポッポは飛んで避けようとするが食らってしまう。だが、すぐさま体制を立て直しこちらに向かって体当たりをしてきた。
「たいあたりか。ならこっちはかえんぐるまだ!」
アキトの指示でガーディは炎を纏い、向かって来たポッポに突進をする。ポッポが後方へ飛ばされたため急いで後を追い、ポッポを見つけ腰のモンスターボールに手を伸ばし、
「行け! モンスターボール!」
という掛け声とともにそれを投げる。
ボールが命中しポッポに向け赤い光が放たれ、その光とともにたちまちボールに収まってしまった。
三度揺れたが、カチッという音とともに収まりアキトはそれを拾い上げる。
そして高く掲げて声を張り上げ、
「よし! ポッポ、ゲットだぜ!」
と嬉しそうに言った。ガーディも彼の足元に駆け寄り、彼の動きに合わせるようにジャンプをした。