05
「シッコク団、悪事は許さないぜ!」
「この街を襲ったことを後悔するんだな」
シノノメカンパニーに入ると、オフィスにはしたっぱ数人が待ち構えていた。
入り口を取り囲むようにしており、つまり、今アキト達は囲まれている。
数えたら、左右に2人、斜めには4人、目の前に1人、
円形のようになっている。
そして彼らの後ろに、先ほど倒したしたっぱ2人が立っていた。
「あいつら、仲間を呼んだか。フン、だが数を揃えても無駄だ。出て来いゴローニャ!」
鼻を鳴らしながら、ゴローニャを出す。あの時のイシツブテが進化していたようだ。
「前より数が多いんだ、今度こそお前達のポケモンをもらう! ゆけっ!」
したっぱ達は次々にポケモンを出していく。ベトベトンが2匹、マタドガスが2匹、ラッタが3匹だ。
「よし、オレも加勢するぜ! 行け! ピジョット!」
「必要ない。ゴローニャ、じしん!」
「なんだよ、ならこっちはこっちで勝手にやるさ! ピジョット、はがねのつばさだ!」
口論しながら指示を出す。ラッタ達が前歯を立ててゴローニャに襲いかかり、ベトベトンとマタドガスが2匹にヘドロの塊を放つ。
だがピジョットがはがねのつばさでヘドロを全てかき消し、ゴローニャはラッタに構わず跳んで、着地の衝撃で周囲に衝撃波が広がる。
ベトベトン達は倒れ、ラッタ達もダメージを追い、マタドガスも片方ははがねのつばさを食らっている。無傷なのは1匹だけだ。
「お、おれのベトベトンが!」
「余計なことを。ゴローニャ、もう一度じしんだ!」
「うるさい、勝手にやるって言っただろ! とんぼがえり!」
したっぱを無視して、口論を続けながら再度指示を出す。
そしてこの攻撃で残ったラッタは倒れ、マタドガスも片方は体力が半分ほど削れている。
「行け! サンダース!」
戻ったピジョットの代わりに出したのはサンダースだ。
「戻れゴローニャ。出て来いスターミー!」
リョウジも、ポケモンを交替した。
「サンダース、10まんボルト!」
「スターミー、サイコキネシス!」
サンダースが体力の削れたマタドガスに電撃を、スターミーが無傷のマタドガスに強い念力を送り攻撃する。
「強い……!」
「さあ、そこを通してもらうぜ!」
「抵抗するなら、無事は保証しないぞ」
アキトとリョウジの2人に、したっぱ達はポケモンを戻して歯ぎしりしながら後ずさった。
「助かったよ。ありがとな、リョウジ」
「別に、お前を助けたつもりはない」
サンダースをボールに戻しながら言うが、同じくスターミーをボールに戻したリョウジはポケットに手を突っ込んで、歩き出した。
「……まったく」
アキトは腰に右手を当て、左手はボールを持ったまま彼の後をついていく。