04
「なあリョウジ、ハァ、なんで、シノノメシティを、ハァ、助けようとしてるんだ? お前はこういうの、ハァ、無視、しそうなのに」
「お前には、ハァ、関係、ない」
途中何度かしたっぱに会いながらも、倒して走っていた。
シノノメカンパニーまでもう少し、というところで疑問に思っていたことを息を切らせながらたずねた。
「ここがお前の、ハァ、出身だから、とかか?」
「……」
相変わらず冷たい彼に唯一考えつくことを言ってみるが、彼は答えなかった。
アキトはもう一つ、ショウブとなにかあったのかも聞きたかったが、これ以上話すのは体力的にきついので、それ以上なにも言わなかった。
そしてそれから少し走ると、大きなビルがとうとう目の前に現れた。
「……やはり見張りがいるか」
建物の陰に隠れて様子をうかがう。入り口の両端に1人ずつ待機している。
「どうする、リョウジ」
「どうせ大して変わらないんだ。不意打ちか強行突破、好きな方を選べ」
「なら、強行突破だ!」
アキトは元気に返事をする。その声に気付いて見張りのしたっぱの片方が気付いてこちらに向かって来たため、陰から飛び出す。
「そこを通らせてもらうぜ!」
「痛い目にあいたくなければ、そこをどけ」
「お、お前ら、コクボウタウンの時の……!」
したっぱ2人はアキトとリョウジを見て身じろぎしたが、すぐさまアキト達の前に立ちふさがった。
「ああ、あの時の。ところで、リョウジも知ってるのか?」
「数人で俺にポケモンをよこせ、と言ってきたから返り討ちにしただけだ」
「あー……、あのしたっぱが言ってたの、やっぱりお前だったのか」
そういやコクボウタウンのしたっぱが、黒のトレーナーがどうたらの子どもがどうとか言っててリョウジに似てるな、と思ったけど、ほんとにリョウジだったのか。
「ゆ、ゆけっ! ラッタ!」
「ゆけっ! スリーパー!」
「行け! ウインディ!」
「出て来いエレキブル!」
したっぱが怖じ気づきながらもポケモンを出し、アキトも軽くボールを上に放り、キャッチして勢い良く投げる。
リョウジもボールを投げて、エレキブルを出した。
ウインディとエレキブルはにらみ合ったが、うなずき合って前の敵に目を向けた。
「エレキブル! ラッタにクロスチョップだ!」
「ウインディ! スリーパーにしんそく! 続けてアイアンテールだ!」
エレキブルはラッタに近づき両手を振り下ろし、ウインディは目にも留まらぬ速さで突進し、間髪入れずにしっぽを叩きつけ、反撃する間も与えずにしたっぱの出したポケモンを倒した。
「へへ、どうだ!」
「フン、相手にならないな」
「や、やっぱり強い!」
「逃げるぞ!」
アキトとリョウジに一瞬でポケモンを倒されたしたっぱ2人は、恐れをなしてシノノメカンパニーの中へ駆け込んだ。