03
「久しぶりだな、シノノメシティ」
「……で、なんでお前はついて来ているんだ?」
2人がシノノメシティに着いたのは、ほぼ同時だった。
リョウジがクロバットを離したのに一呼吸遅れて、アキトも地に足を着いた。
「ついて来たんじゃなくて、たまたまお前の行く先とかぶっただけだ」
「……そうか」
彼はクロバットをモンスターボールに戻し、街の中央のビルを仰ぎ見た。
アキトもピジョットにお礼を言って、モンスターボールに戻す。
「ちっ、本当に面倒な連中だな」
そして一言つぶやいて、走り出した。
「あっ、待ってくれリョウジ!」
「なんだ」
慌てて追いかけて、並んで走る。
「道分からないからさ……。一緒に行かせてくれないか?」
リョウジは隣に来たアキトの顔を一瞬だけ見ると、返事もせずに向き直った。
「……っておい! この……!」
「おい、止まれ」
「え? うわっ!」
アキトは曲がり角を曲がりながらリョウジに無視するな、と言おうとしたが、彼に襟を掴んで止められてしまった。
角を曲がった先を見ると、シッコク団のしたっぱが1人で歩いていた。見回りだろうか。幸い、まだこちらに気付いていないみたいだ。
「なんだ、したっぱ1人か」
「たかがしたっぱでも、連絡をされたら面倒だ。不意打ちでもするか……」
「……おい、こっちに来てるぜ」
話していると、したっぱは今度はUターンしてこちらに向かって来た。
「……しかたない。出て来いエレキブル。あいつに電気を浴びせろ」
モンスターボールから出して指示をする。
エレキブルは曲がり角を飛び出して、したっぱが驚いている間に電気を放った。したっぱは、声にならない悲鳴をあげて倒れた。
エレキブルは頭を打たないように支え、ゆっくり地面に寝かせる。
「お、おい、大丈夫なのか!?」
「加減はしているはずだ」
リョウジの言葉に、エレキブルは頷く。
アキトが慌てて駆け寄り確認すると、確かに気絶しているだけのようだ。
「……なら、いいの、かな……?
……っておい、待てよリョウジ!」
アキトはしたっぱを見ていたが、リョウジがエレキブルは戻して歩き出したのに気付き、急いで追いかけた。