01
「おーし着いた、カイハクタウン!」
「……」
「アキト?」
街の入り口をくぐって思いきり伸びをするように両手を上げるダイスケ。
しかしアキトは後ろを見ながら歩いていて、カナエがとりあえず名前を読んでみる。
「ん? ああ」
「どうしたんだ、後ろなんて見て。……なんもいねーぞ?」
ダイスケも後ろを見てみるが、草むらが広がり、脇に木が連なっているだけだ。
「……ああ。誰も、いないよな」
「ホントどうしたんだよ」
「……なんか、すごく誰かから見られてる気がするんだ。けど、誰もいないよな……?」
アキトは向き直って少しうつむき、口元に手を当てて言う。
「おう。じゃあさっさと行くぞ!」
「ああ、だな」
きっと気のせいだ、そう思おうとしたが、背中にまとわりつく違和感はやはり拭えなかった。