03
『うう、思ったよりくらい……』
そうそう、昔から怖がりだったカナエは、その時も怖がってたよな。
『大丈夫だカナエ、オレがついてる!』
アキトは脅えるカナエに、左手を握りしめガッツポーズのようなポーズをしながら言う。
『う、うん……。……ねえ、アキト』
『え?』
『その……、手……』
彼女がうつむいた。
『手? どうかしたのか?』
アキトが不思議そうにたずねる。
『う、ううん、その、こわいから……』
彼女は、顔を赤くしながら言った。
『ああ、わかった! 手をつなぎたい、だな!』
『う、うん! その……、いい?』
『う、うん、もちろん!』
『あ、ありがと、アキト』
『気にしないでよ! さ、さあ、行こう!』
『うん!』
そうしてオレ達は、森の中へと足を踏み入れた。