02
「……はあ。けど、ほんとダイスケがなんともなくてよかったよな」
宿泊施設を出て人気のない夜の公園に来たアキトはベンチに腰掛け、ウインディをボールから出して話しかけた。
ウインディは、元気に返事をする。
「……なあ、ウインディ。オレ達は強くなったよな。お前もガーディから進化したし、みんなも最後まで進化した」
アキトは、夜空の星を見上げながら言う。
ウインディは、先ほどと同じく元気に返事をした。
「……けど、勝てるのかな、あいつに」
しかし続けられたのは、彼らしからぬ弱気な言葉だった。
ウインディは、少し驚いたような顔でアキトを見る。
「あいつは……。リョウジは、強い。オレ達が強くなっても、あいつだって強くなってる。
……正直、不安なんだ。本当にあいつに勝てるのか……」
アキトは自身の手に視線を移して言った。ウインディも、その気持ちはよく分かる。エレキッドに、エレブーに何度もやられているのだから。
ウインディは少しの間うつむいていたが、顔を上げて少し大きな声をあげた。
「ウインディ……。……ああ、そうだよな。勝てるか、じゃない、勝つんだ。分かってる」
彼は眺めていた手に力を込めて握りしめ、自分に言い聞かせるようにつぶやいて、立ち上がった。
「次バトルする時に、進化して強くなったオレ達の力を見せてやろうぜ。
よし、悩むよりも特訓だ! あいつに……。リョウジに勝つために! みんな、出てこい!」
アキトは、拳を握りしめつぶやいてから手持ちのポケモンを全て出した。
ピジョットやカビゴンは眠そうにしているが、他は夜行性なのかまだまだ元気そうだ。
「よし! リョウジやシンヤにリベンジするために、みんな、特訓だ!」
「……アキト。……今日も、がんばってるな」
全員で声を揃えておー! と気合いを入れるアキト達。
ついてきたカナエは、隠れてそれを眺めていた。