01
「よし、行くぜガーディ!」
「行くよ、クサイハナ!」
「行くぞ、ニョロゾ!」
アキトの手には炎を閉じ込めたような模様の黄色い石、カナエはの手には草のような模様の灰色の石、ダイスケの手には気泡が入っているような模様の水色の石が、それぞれ握られている。
そして3人の足元にはそれぞれ先ほど名前を呼んだポケモンが座っている。
彼らの背後には、ピッピが進化したピクシー、ムウマが進化したムウマージ、タマタマが進化したナッシーが立っている。
今出ているポケモン達は皆、進化の石を使うことで進化するポケモン達だ。
どうして今まで持っていなかった進化の石を彼らが持っているかというと、シッコク団を退けたお礼にエンジという青年からポケモンセンターへ進化の石一式が2人分送られたのだ。
それを受け取ったアキト達は、今持っているポケモン達を進化させたのだ。
そして後進化の石を使って進化するのは、彼らが最初にもらったポケモン、ガーディ、クサイハナ、ニョロゾだけだ。
「それ!」
アキトはほのおのいしを、カナエはリーフのいしを、ダイスケはみずのいしをそれぞれ空へ向かって投げた。
3匹が跳んでそれに触れた瞬間、体が光に包まれた。
そして光はみるみるうちに形を変えて、光が晴れると見違えた姿が現れた。
「おおお! すごい! でかい! かっこいいぜ! ガー……ウインディ!」
ガーディ、いや、ウインディは、たてがみが立派に生え、体長も約3倍ほどになり、見上げなければならないほどの成長をしている。
「ウインディ。でんせつポケモン。
中国の言い伝えにある伝説のポケモン。ものすごいスピードで走るという。
「おっ、新しい技を覚えてる!」
アキトは見上げながら図鑑をかざし、説明を聞いてから技の欄を見ると、新しくしんそくという技が加わっていた。
それを確認するとポケットにしまって、すごいぞー、などと褒め言葉をいいながら頭をなで始めた。
「花がおっきくなった! 目も開いてる! 前よりかわいい!」
「ラフレシア。フラワーポケモン。
世界一大きい花びらからアレルギーを起こす花粉を鬼のようにばらまく」
「ええ!? も、戻って、ラフレシア!」
大きな花を頭に持っているポケモン、ラフレシアは、花粉をばらまかないようにすぐにモンスターボールに戻された。
「おお! なんか……。うん、心なしかたくましくなった! それに目つきもりりしくなった! 後……。あ! よく見たら腹の白いとこの形が少し違う!」
「ニョロボン。おたまポケモン。
泳ぎが得意でクロールやバタフライができる。オリンピックの選手もかなわないほど速い」
「おお、お……。……おたま?
カエルじゃないのかよ! ……まあいいや、やったぞニョロボン!」
そしてダイスケは、ツッコミを交えつつもニョロボンを褒め、抱きついた。ニョロボンも腰(?)に手を当て目をきりっとさせている。
「おし、新しい技も覚えてる! これなら負ける気がしねえ! ……アキト! うおわ!」
ニョロボンから離れたダイスケがアキト達を見るが、ウインディのあまりの成長ぶりに思わず叫んでしまった。
「でっかくなったなー、ガーディ」
「ウインディだぜ、ダイスケ」
「でっかくなったなー、ウインディ」
「言い直す必要あった?」
「気にすんなって!」
「ひゃあ!」
アキトに言われて言い直したダイスケだが、それを聞いたカナエからもつっこまれたため、彼女の背中を軽く叩いた。
「それより、……アキト! おれと……。おれと、バトルだ! 進化してたくましくなったニョロボンのパワー、見せてやる!」
「……? ……ああ! オレも、進化したウインディの強さを見せてやるぜ!」
彼の様子に少し違和感を感じたが、気のせいだろう、と思い威勢よく返事をした。