04
「あ……! あの真っ黒な服、シッ……コク団だったかな? ……とにかく、また悪さをしてる!」
声が聞こえた方角に歩いていると、とうとう人があまり来ないような街の外れへと来てしまった。
しかしそこには、大きく中身の入った黒い袋が1つ、身体を縛られ口も塞がれた人が数人、シッコク団員数人と、なんだか他のシッコク団員達と違い帽子をかぶっておらず、団服はへそ出しになっている紫色で長い髪の女性が居た。
さらに、その身動きの取れない人達のうちの一人、カナエと同じくらいの歳に見える、黒い長髪で、ワンピースを短くしたような白い服、チュニックに青いハーフパンツの少女をシッコク団員数人が囲っている。
「ど、どうしよう……。アキトを呼びに戻った方がいいかな……? それとも今すぐ行った方が……」
「なに、アナタ?」
カナエはアキトを呼びに行くか迷っていたが、へそ出しの女性に気づかれてしまった。
「……わたしはコキヒタウンのカナエ! その人達を解放しなさい!」
「駄目よ。今解放して誰かにこのことを言われたら、面倒じゃない」
諦めてカナエが威勢良く飛び出すが、その女性はやはり捕まっている人達を自由にする気はないらしい。
「なら……。行って! クサイハナ!」
「うっ……!」
彼女の出したクサイハナの強烈な匂いに、団員や捕まっている人々のほとんどが倒れてしまった。
「あら、良い匂いね。アタシの好みだわ」
「うう……!」
だがへそ出しの女性は涼しげな顔をし、カナエと同じぐらいの少女もかろうじて気を失っていないようだ。
「まだ気を失ってない……。そうだクサイハナ、あの女の子を縛っている紐をはっぱカッターで切って!」
「な、させないわ! 行くのよハブネーク!」
その女性は焦ってポケモンを出すが、間に合わなかった。
クサイハナの放った葉っぱは少女を縛る紐をたやすく切り裂いた。
「君、ポケモンセンターにいるアキトって赤い帽子の男の子にこのことを教えて!」
カナエが言うと、少女は口を塞がれているためコクっと頷き、すぐさま走り出した。
「行かせないわ、ハブネーク!」
「クサイハナ、はっぱカッター!」
ハブネークはその少女を阻止せんと飛びかかるが、クサイハナの放った葉っぱはそれの邪魔をする。
「面倒なガキね! 分かった、この街の人からポケモンを奪うつもりだったけど、作戦変更よ! あなたを倒して、あなたのポケモンをもらうことにするわ!」
「うぅ……。わ、わたしのポケモン達は渡さない!
クサイハナ、はっぱカッター!」