03
「あ、ひいてる!」
「ほ、ほんとか!? オレはまだなのに!」
「手伝うぞカナエ!」
「お、オレも手伝う!」
「それっ!」
カナエの釣竿が反応を見せたため、3人は一気にそれを引っ張る。すると、珊瑚が頭に生えたピンク色のポケモンが姿を現した。
「このポケモンは、サニーゴだな」
「サニーゴ?」
「サニーゴ。さんごポケモン。
どんどん育っては生え替わる頭の先はきれいなので、宝物として人気が高い」
「行って! ラルトス!」
「カナエ、サニーゴはみず・いわタイプ。くさタイプの技が有効だぜ」
「分かった! ラルトス、マジカルリーフ!」
指示を受けたラルトスはサニーゴに向けて葉っぱを飛ばす。
跳んでかわそうとしたサニーゴだが、葉っぱが追跡してきて命中する。
「もう一度マジカルリーフ!」
さらに間髪入れずにもう一度指示を出し、サニーゴに直撃する。
「よし、かなり効いてる!」
効果は抜群。アキトの言うとおり、サニーゴはその2回の攻撃でフラフラしている。
「今よ! 行って、モンスターボール!」
その様子を見た彼女が、外さないように近づいてボールを投げた。
ボールは三度揺れたが、カチッと音が鳴りそれは収まった。
「よし、サニーゴゲット! ラルトス、ありがとね!」
彼女はボールを拾い上げベルトにセットした後、ラルトスを抱き上げる。
「よしよしラルトス……!?」
「お、進化か!?」
カナエが抱き上げたまま撫でていると、ラルトスが身体から光を放った。
ラルトスは包む光は彼女の胸の中でどんどん形を変えていき、光が晴れると見違えた姿になっていた。
「お、重い……。よいしょ」
「キルリア。かんじょうポケモン。
サイコパワーで出来た空間の裂け目から未来の出来事を見る力を持つ。晴れた朝は気分良く踊ると言われる」
彼女は進化して大きくなったキルリアを降ろした後、図鑑を開き説明を聞いた。「よし、オレも負けてられないぜ! 絶対カナエがもう1匹釣り上げるより先にポケモンを釣ってやる!」
「頑張ってね、アキト」
「がんばれよ。おれはそういえばみずタイプならニョロゾが居るし、飽きたから帰る。じゃな」
「え? ああ、じゃあまた後でな」
「またね、ダイスケ」
カナエを見て彼が意気込んだところで、ダイスケはそういって荷物をまとめて立ち去ってしまった。
付き合いが長くもう慣れたとはいえ彼のいきなりの行動に少し驚いたが、手を振られた為2人も振り返して彼を見送った。