01
「うう、思ったより暗いなあ……」
ロクショウタウンを出て6番道路も通過したアキト達は現在、次の街へ行くためロクショウの森という所に来ていたのだった。
この森は木々が鬱蒼と生い茂っており暗く、ゴーストタイプのポケモンも出て来るようで、夜になるとそれはもう不気味さが全開らしい。昼の今の時間帯でも雰囲気はバッチリだ。
しかしそれが良いという人も居るらしく、むしタイプやくさタイプのポケモンが多いこの森は、それらのポケモンが好きな人にはたまらないという話も聞く。
そんな森に入って開口一番、カナエは情けない声を出した。
「なんだカナエ、怖いのか? 相変わらず怖がりだなあ」
それを聞いたアキトが、思わず笑みをこぼす。
「だって……。って、相変わらずってどういう意味?」
「ほら、カナエ達が昔家に泊まりに来た時も、お前が夜トイレに行くのが怖いからってオレに一緒に来てって言ってたじゃないか」
「あ……。もう、それは言わないでよ! 大体それは昔の話でしょ?」
「たった2年前じゃないか」
「たったじゃない!」
顔を近づけて怒ってくるカナエに笑いながら返すと、また怒られた。
「なんだ、おれとアキトが9歳だった時か」
「ちなみにカナエは8歳な」
ダイスケに、必要あるかはオレも分からないけど一応補足をしておいた。
「なあアキト、他になんかあんのか?」
同じ幼なじみの自分も知らない思い出話に、ダイスケは面白がって更に聞こうとする。
「ああ、もちろん! 最近だと、確か旅に出る2ヶ月位前に……」
「もう、やめ! ストップ!」
そして便乗して楽しそうに話そうとしたアキトだが、カナエの制止が入る。
口を両手でふさがれてしまった。
「ごめんごめん。まあ、安心しろってカナエ。オレ達もポケモン達もついてるし、何かあっても守ってやるさ。な?」
アキトはそれでしかたなく話を止め、平謝りしつつ彼女の両手を掴んでゆっくり下ろして言った。
「……うん、ありがとう」
「えーっ、なんだよ」
そしてカナエが出来るだけ怖がらないようにと手を握ると、カナエはうつむきながらお礼を言ってきた。
ダイスケは話が聞けずつまらなそうにしているが。