03
「さあ、始めるぞアキト君」
「はい、負けませんよキナリさん!」
「アキト、頑張って!」
キナリと呼ばれた赤い上着の男性は、このハクジタウンにあるハクジジムのジムリーダーだ。
「よし、行け! ゴンベ!」
「ゆけっ! ハーデリア!」
アキトは今日生まれたばかりでシッコク団とも戦ったゴンベを出したが、キナリのハーデリアが出て来ていきなり威嚇をし、ゴンベはやや怯んでいる。
「特性はいかくか、戻れゴンベ! 行け、ポッポ! でんこうせっか!」
「ハーデリア、かわしてかみつく!」
ポッポは素早く突進するが、ハーデリアはそれをかわして翼にかみついた。
「まずい、振り落とせ!」
ポッポはじたばたするが、ハーデリアは放すまいと翼を掴んで必死に食らいついている。
「なら地面にぶつけろ、でんこうせっか!」
「急いで放せ!」
しかしハーデリアが放すよりも先に地面に叩きつける。
「よし、ブレイブバード!」
そして先程同様翼を折りたたみ突進する。
今度はかわされずに直撃し、ポッポは攻撃の反動でダメージを受けた。
「とっしんだ!」
「もう一度ブレイブバード!」
ハーデリアはすぐに立ち上がり攻撃に移ろうとするが、ポッポは先に攻撃を決め、ハーデリアは倒れた。ポッポは攻撃の反動を受けた。
「ハーデリア、戦闘不能!」
「よし、いいぞポッポ! ……ん?」
アキトがガッツポーズをしてポッポに言った直後、ポッポは突然身体から光を発した。
「まさか、進化か!?」
「わたし、初めて見た!」
「すげえ!」
皆が見守る中、光に包まれたポッポはどんどん形を変えていく。そして光が収まった頃には見違えた姿になっていて、アキトはポケモン図鑑を取り出した。
「ピジョン。とりポケモン。
足のツメが発達している。エサのタマタマを掴んで100キロ先の巣まで運ぶ」
「すごいぞ、やったなピジョン!」
「ピジョン、かっけえな! 良かったなアキト!」
「おめでとう!」
「ゆけっ! オドシシ!」
アキト達が喜んでいる中、キナリは二匹目を出す。
「よし、行け! ピジョン、ブレイブバード!」
「受け止めるんだ、かたきうち!」
ピジョンの突進を、オドシシは頭で受け止める。なかなか効いたはずだが、オドシシは足に力を込めてハーデリアの敵討ちと言わんばかりに思い切り強烈な攻撃を食らわせた。ピジョンは、その一撃で倒れてしまった。
「ピジョン、戦闘不能!」
「……ありがとうピジョン、ゆっくり休んでくれ。行け、ゴンベ!」
アキトが続けて繰り出したのはゴンベ。
ゴンベは一体どこまで戦えるのだろうか。
「オドシシ、にどげり!」
「かわせ!」
オドシシは素早く接近してゴンベに背を向け、後ろ足で2連続の蹴りを出す。だがゴンベは、左右に動いてなんとかそれを避ける。
「よし、のしかかり!」
そして体ごとオドシシにのしかかる「もう1度にどげりだ!」
オドシシは再び蹴りを出そうとしたが、見るからに先ほどより動きが鈍っていて、更ににどげりも失敗していた。
「これは……。のしかかりの追効果、麻痺か……!」
「いいぞゴンベ、のしかかりだ!」
その隙を突いてゴンベは再びのしかかる。
オドシシはそれに耐えきれず、その場に倒れた。
「オドシシ、戦闘不能!」
「戻れオドシシ。ゆけっ、ザングース!」
彼はオドシシを戻して、最後の一匹を繰り出した。
「ザングース、ブレイククロー!」
「ゴンベ、ジャンプだ!」
ザングースは接近し硬く鋭い爪を振り下ろすが、それより先にゴンベは高く跳び上がる。
「よし、のしかかり!」
「ブレイククロー!」
そしてゴンベは上空からのしかかろうとしたが、ザングースは落ちてくるゴンベの脇腹に爪をぶつけて逆にゴンベがやられてしまった。
「もう一度ブレイククロー!」
「くっ、ほのおのパンチ!」
ザングースはゴンベに向かって爪を振り上げ、ゴンベは体勢を立て直し拳に炎を纏わせる。
しかしゴンベが拳を振り上げた直後、お腹に爪がめり込んだ。
「ゴンベ!?」
ゴンベはそれを食らい後方に飛ばされ、そのまま倒れてしまった。
「ゴンベ、戦闘不能!」
「……ありがとうゴンベ、ゆっくり休んでくれ。行け! ガーディ!」
彼はゴンベをモンスターボールに戻し、3匹目、ガーディのボールを取り出し軽く上に放り、キャッチして勢い良くそれを投げた。
「ザングース、ブレイククロー!」
「ガーディ、かわせ!」
ザングースは爪を振り下ろすが、ガーディは後ろにピョンと跳んでかわした。
「もう1度だ!」
「ジャンプしてアイアンテール!」
2撃目が振り下ろされるが、ガーディは跳んでそれをかわし、さらに腕に硬いしっぽを叩きつける。
「ひのこ!」
「振り払え!」
続けて小さな炎で攻撃をするが、ザングースは爪でそれをかき消した。
「ブレイククロー!」
「しゃがんで腕にかみつくだ!」
そして三度爪が迫るがそれはガーディの頭上をかすめるだけで、ガーディはその頭上を通った腕に噛みついた。
「ブレイククロー!」
しかし噛みついているガーディに、ザングースのもう片方の腕が襲いかかる。
ガーディは避ける間もなく食らってしまい、宙に投げ出されてしまった。
「……へへ。決めるぜ、ガーディ! かえんぐるま!」
だがアキトもガーディも、転んでもただでは起きない。彼はニッと口角を上げてから指示を出した。
ガーディは空中にいることを利用して、そこから炎を纏った突進をする。ザングースは防御しようとしたが間に合わず、直撃して崩れ落ちた。
「ザングース、戦闘不能! よって勝者、コキヒタウンのアキト!」
「よし! やったぜガーディ!」
アキトはガーディに駆け寄り抱き上げ、ガーディを撫で回す。
「おめでとう!」
「やったなアキト!」
観客席の2人も喜んでいる。
「おめでとう、アキト君」
そうしているとキナリがアキトに歩み寄り、バッジを差し出した。
「これはマイティバッジ、このハクジジムで勝った証だ」
「ありがとうございます! よし! マイティバッジ、ゲットだぜ!」
アキトはそれを受け取り高く掲げ、足元のガーディも、それに合わせジャンプした。