01
「よし、絶対勝つぜ! ハクジジム!」
買い物を済ませたアキト達は、現在このハクジタウンのハクジジムへと向かっている。もちろん、ジム戦をするためだ。
「ふふ、燃えてるねアキト」
「戦う前に燃えつきそうだな」
「あはは、確かに」
アキトは張り切っており歩くのがやや速くなっていて、カナエ、ダイスケの二人は彼の少し後ろで話しながら歩いている。
「おい! そこのガキ!」
「え?」
そうして歩いていた3人に後方から怒声が飛んできて、彼らはわけが分からず振り向く。すると、そこには……。
「お前ら確か……」
……なんだったかな。ダイスケは、思い出せず言葉につまってしまう。
「シッコク団!」
すると、かわりにアキトが彼らの名前を叫んだ。
「あ、そうそうそれそれ。よく覚えてたな、アキト」
「え? ああ、まあ」
覚えてなかったのか。って思いながらしたっぱ達を見ると、眉間がピクピクしている。……怒ってる?
「このガキども……!」
あ、やっぱり。とにかく、カワラケシティで悪事を働こうとしていた集団、シッコク団のしたっぱ達が立っていた。
「お前らのせいで作戦が失敗して幹部の方からたんまり説教を受けたんだ!」
「だからお前らのポケモンを無理やり奪ってやる! ゆけっ! サンド!」
「ゆけっ! ウパー!」
「ゆけっ! テッシード!」
「ゆけっ! モグリュー!」
全員でんきタイプに強いポケモンだ。……前にやられたからかな。
「お前たちなんかに絶対に渡すもんか! 行け! サンダース! ゴンベ!」
けど、サンダースが戦いたがってるから、ゴンベと一緒に出すことにした。
「返り討ちにしてやる! 出番だニョロモ!」
「えっと……。とりあえず、行って! ナゾノクサ!」
したっぱ達全員がポケモンを出したため、アキト達も同じ数のポケモンを出した。
「アキト、モグリューは任せろ! ニョロモ! みずでっぽう!」
「ありがとなダイスケ。カナエ、ウパー任せられるか?」
ダイスケは大丈夫だろう。アキトはカナエにたずねた。
「た、タイプは?」
「ウパーはみず・じめんタイプ。くさタイプのナゾノクサはすごい有利だから大丈夫さ。
ちなみに、あの水色でちょっとかわいいやつだぜ」
と言いながら指を差して教える。
「分かった、まかせて! ナゾノクサ、はっぱカッター!」
「ありがとうカナエ。サンダース! サンドにシャドーボール! ゴンベはテッシードにほのおのパンチだ!」
2匹を2人に任せたアキトは、残りの2匹を見て指示を飛ばした。サンダースは黒い影の球をサンドに向けて発射し、ゴンベは拳に炎を纏わせテッシードに接近する。
「サンド! かわしてひっかく!」
「テッシード、アイアンヘッド!」
「サンダース! ひっかくをかわしてテッシードに10まんボルトだ!」
サンドがそれを横に避けて接近し腕を振り上げるが、サンダースは後方に跳んでそれを回避し、電気を放つ。
その攻撃を受けたテッシードには隙が生じ、そこにゴンベが炎の拳を叩き込む。かなり効いたらしく、10まんボルトのダメージもあったテッシードは一撃で倒れた。
「よしっ、次はサンドだ!
戻れ! サンダース、ゴンベ!
行け! ガーディ、ポッポ!」
アキトは2匹を戻し、残りの2匹を繰り出した。
サンダースは不服そうにしていたが、今回は大人しくボールに戻って行く。
「ポッポ、ブレイブバード!
ガーディ! かえんぐるま!」
「くっ、かわせ!」
1匹のサンドに対し、2匹が同時に攻撃をする。
サンドがどこに避けるか迷っている間に2匹の技が決まり、サンドも倒れた。
「どうだ!」
「アキト、やったよ!」
「楽勝だったぞ!」
ガッツポーズをするアキトに、幼なじみの2人が自分の相棒を抱きかかえて言った。
「くそっ、もう戦うポケモンがいない! 仕方ない、ここは撤退だ!」
「また怒られる……!」
「お前ら、覚えとけ!」
どうやら彼らは他に戦うポケモンは居なかったらしく、倒れたポケモン達をボールに戻して前回同様捨てゼリフを吐いて逃げてしまった。
「逃げられたか……。まあいいや、ポケモンセンターに行こうぜ……」
「あはは……。そうだね、アキト。元気だして」
「……そうそう、すぐ終わるって」
早くジム戦をやりたがって燃えていたアキトは、またポケモン達の回復をしなければいけなくなり落ち込んでおり、カナエとダイスケが苦笑いしながら励ました。