02
「よーし、沢山食べていいぞー。うわっ!」
この街にある公園に来て手持ちを全て出した彼らは、皆にポフィンというポケモン用のお菓子を食べさせていた。
ポッポは喜んでそれをついばみ、サンダースは平静を装いながらも嬉しそうにしている。ガーディはアキトに飛びついて、ポフィンを食べずにアキトと遊んでいるが。
「はは、止めろってガーディ!」
彼も口ではそう言っているが、笑顔でそれに付き合っている。
「ふふ、アキトもガーディも楽しそう。どう? ナゾノクサ、メリープ、おいしい?」
カナエはアキト達を見ていたが、視線をナゾノクサ達に戻して尋ねた。
ナゾノクサは飛び跳ね、メリープとともに嬉しそうな声で鳴いた。2匹ともおいしい、ということを伝えようとしているのだろう。
「……かわいい!」
彼女はそれを見て思わず抱きついてしまい、ナゾノクサは今度は驚きで跳ねた。
見ていたメリープも、目を丸くしている。
「沢山食って強くなれよー!」
ダイスケはニョロモ、シママ、ヤンヤンマを笑顔で撫でているが、3匹は親に似たのかそれを気にも留めず夢中でポフィンを食べている。
3人がそれぞれ好きなように過ごしている中で、異変が起こる。
アキト、カナエ、ダイスケ。1カ所に置いた彼らのカバンがいきなり光を発したのだ。
「これは……!?」
「まさかタマゴが!?」
「孵るのか!?」
3人がそれぞれ自分のカバンに駆け寄り、急いでタマゴを取り出した。
やはり光の正体はそれだったようで、どんどんタマゴに亀裂が走っていく。そして彼らが見守る中、光が収まりポケモン達が姿を表した。
1匹はのん気そうな顔で、長くボサボサした緑色の体毛のポケモン。
1匹は赤い角が生えていて、目は緑色のおかっぱ頭のような形のもので隠れているポケモン。
そして1匹は、長い舌が生えたピンク色の身体のポケモンだ。
「オレのは、ゴンベか!」
「ゴンベ。おおぐいポケモン。
ボサボサの体毛の中にに食べ物を隠して持ち歩く。食べる時はゴクリと丸呑み」
「ゴンベ、これからよろしくな!」
「わたしのは……」
「ラルトス。きもちポケモン。
人やポケモンの感情を頭の角でキャッチする力を持つポケモン。敵意を感じとると隠れてしまう」
「あなた、ラルトスって言うんだ。これからよろしくね!」
「おれのはベロリンガだ!」
「ベロリンガ。なめまわしポケモン。
舌が身長の2倍もある。エサを取ったり攻撃をしたりとまるで手のように動かせる」
3人はそれぞれ自分のタマゴから孵ったポケモンを、図鑑を取り出して確認した。
画面には大きさや重さ、覚えている技などの詳細が表示されている。
「あ!」
そこでアキトが声をあげる。
「どうしたの?」
「ゴンベ用の食事買わないと!」
「ゴンベ用の食事?」
「ああ。ゴンベとかカビゴンとかみたいな大食いのポケモンは普通に買うと食費がすごいことになるから、すごいお腹が膨れる専用のやつが出てるんだ」
それがないと……。すぐにおこづかいが底をつく!
「なるほど……。よく知ってるね」
「まあ、ポケモンマスターを目指してるからな。じゃあ買ってくる、みんな戻れ!」
アキトはゴンベも含めて4匹のポケモンをモンスターボールに戻し、ポフィンを片付けてからリュックをからって駆けていった。
「あ、待ってアキト! わたしも行く!」
カナエも、ポケモンを皆ボールに戻し鞄を肩に掛けて、慌てて片付け彼の後を追いかけて行った。
「おい、待てよ!」
そしてダイスケも、ポケモン達をボールに戻して片付けを済ませ、急いで2人を追いかけた。