02
「よし、じゃあこれから……」
ポケモンセンターを出たアキトが伸びをして言おうとしたが、なにかを見つけ動きがピタリと止まってしまった。
「どうしたの、アキト?」
「あいつは……」
カナエが声を掛けるが、彼は腕を下ろしてそのなにかを見つめ続けている。
あの服装、あの髪、そして両手をポケットに入れている。間違いない!
「あいつがどうしたんだよ?」
2人もその方向を見るが、黒髪の少年1人が居るだけである。
「……アキト、まさかあの男の子が……?」
以前アキトから初めてのバトルの時のことを聞いていた彼女が彼を見ようとするが、すでに彼の姿はそこには無かった。
「リョウジ!」
アキトがその少年、リョウジに駆け寄り声を掛けると、彼は立ち止まり振り向いた。
「聞き覚えのある声だと思ったら、なんだ、お前か」
「オレとバトルだ!」
前のリベンジをして、こいつにオレのことを認めさせてやる!
「フン、少しは強くなったのか?」
「……ああ。バッジだってゲットしたぜ」
……ムッ。彼の相変わらずの挑発的な物言いに少し腹が立ったが、ここは抑えてできるだけ冷静に返す。
「ルールは3対3でいいな?」
今オレの持っているポケモンは3匹、ちょうどいい。
「ああ、今度は負けないぜ!」
ルールを決めて後はバトルフィールドだが、辺りを見渡すとちょうど近くにあった空き地が目に入った。