01
「よし! ジム戦も終わったし、行くか!」
ジムを出た後、アキトが伸びをしてから言った。
「行くって、どこに?」
「もちろん、博物館だ!」
カナエの問いには、ダイスケが答える。
「そうそう。じゃあ、行こうぜ」
「待った!」
歩きながら話していると、目の前にシノノメシティで会ったドラゴン使いのチャンピオン、リンドウがボーマンダに乗りマントをなびかせ現れた。
「リンドウさん!?」
「はい、この前のお礼。もらってくれ」
彼はボーマンダから降りて、アキト達3人に1つずつ楕円の球体を手渡した。
「なんですか、これ?」
アキトがそれをまじまじと見つめている。
「それはポケモンのタマゴだよ」
「ポケモンのタマゴ?」
「ああ。もうすぐ産まれると思うから、大事に育ててくれ。それじゃあ」
「さようならリンドウさん、ありがとうございました!」
リンドウは用事が済んだのか、再びボーマンダに乗り飛び去ってしまった。
「けど、どんなポケモンが産まれるんだろうな。うわ!」
彼を見送った後アキトがタマゴを撫で回しているとピクッと動き、思わず素っ頓狂な声を出してしまった。
「う、動いたぁ!?」
「わぁ……。ほんとにもうすぐ産まれるんだ!?」
「……いいから早く行かね?」
二人が盛り上がっていると、ダイスケがリュックにしまったのか既に手ぶらで、腰に両手を当てて言ってきた。
「ああ、そうだな。うわ!」
「どうしたの? あっ!」
「……なんなんだよ」
2人の様子に、わけの分からないダイスケは若干不機嫌そうだ。
「またタマゴが動いたんだ!」
「わたしのタマゴも!」
だが彼らは気にせずにダイスケに喜びを伝える。
「ふーん」
「早く産まれてほしいな!
……よし! じゃあ、行くか!」
動きが収まったのを見て2人もタマゴをしまい、彼らは目的地へ歩き出した。