02
「博士! 僕にポケモンを下さい! って……」
研究所で一番広い、最初のポケモンを渡す部屋。
この部屋が一番広いのは、ポケモンを見せる時に万が一暴れてもいいようにだ。
この部屋は、中央に四つのモンスターボールが設置されている機械と、角にはパソコンが置かれている机があるだけだ。
アキトはこの部屋にはアオズリしか居ないと思っていたが、彼のそばにアキトと同じ位の背丈の黒い髪の少年が居ることに気づき、疑問を持つ。
「誰だ……?」
彼が疑問を持ったのには理由があった。
その黒い髪の少年は、紺色のインナーの上に黒い立ち襟のトレーナーを羽織り、灰色の長ズボンに黒い靴を履いている。また、髪は男にしてはやや長めで目つきは鋭い。そして紺色のショルダーバッグを背負っていて、ポケットに両手を突っ込んでいる。そんな少年を、彼はこの町で見たことが無かったからだ。
「アキト君。分かった、じゃあこの4匹の中から……」
アキトの用を知っているアオズリは彼に話しかけるが、彼はアオズリが全て言い終える前に視線を少年から機械に戻し、ガーディ、ナゾノクサ、ニョロモ、エレキッドの入ったモンスターボールのうちの1つを指差した。
「はい! よし、こいつだ! ほのおタイプのガーディ、お前に決めた! 博士、このポケモンを僕に下さい!」
「もちろんだよ。後、このポケモン図鑑も」
と、ガーディのボールを彼に差し出し、懐からポケモン図鑑を取り出しそれも渡す。
「ありがとうございます! よし、えっと……。君、ポケモン持ってる?」
それらを受け取ったアキトは、立ち去ろうとしていた黒い髪の少年に駆け寄り、尋ねた。
「ああ。さっきもらったが、それが?」
少年は愛想の悪い返事をして振り返る。
「そっか、良かった! オレの名前はアキト! 君は?」
「リョウジだ」
彼の名前が分かったところで、本題に入る。
「リョウジ! オレとバトルしようぜ!」
ポケモンバトル。お互いのポケモンを戦わせ、先に相手のポケモンを全て倒したら勝ちという分かりやすいルールだ。
「ああ」
「よし、じゃあ迷惑を掛けちゃいけないし外に行こう!」
返事を聞き、アキトは研究所を飛び出す。
それを見て、リョウジも研究所を出た。