二話
――――――――――
この手紙と一緒に
3匹のポケモンを届けます。
君と君の友達とで仲良く選んでね。
それではよろしく!
後で研究所に来てね。
アララギ
――――――――――
「わぁっ」
ミコトには、 Present box の中のモンスターボールが、眩しい光を放つように輝かしかった。
3つのモンスターボール。ミコトは、そのモンスターボールの中から、ポケモンを放った。
ミコトの部屋に、3匹のポケモンが現れた。
緑色の尾が葉っぱの形をしたポケモン、ツタージャ。
豚のようで鼻から火花を飛び散らせるポケモン、ポカブ。
ラッコのようでお腹にある
貝殻を弄っているポケモン、ミジュマル。
「みんな可愛い!」
待ちきれないとでも言うようにベルが3匹を覗き込んでいる。
「ベル。ミコトが先っていっただろ」
「チェレンだって待ちきれないくせにー」
「……まあ、そうだけど」
2人とも、目が輝いている。早く選ばないと文句を言われそうだ。
ミコトは迷わず、ツタージャを抱え上げた。
悩むまでもなかった。ツタージャを見た瞬間、ミコトに電気が走ったような感覚が訪れたのだ。ほかのポケモンにするなんて考えられなかった。
「ボク、決めた。ツタージャにするよ」
思わず顔をほころばせるミコト。
「じゃ! 私このポケモン! チェレンはこのコね!」
ミコトが決めたとわかると、ベルはミジュマルに飛びついてチェレンのポケモンまでぱっと決めてしまう。
「どうして君が僕のポケモンを決めるのさ……?」
そういうチェレンだが、不満そうには見えない。
「まあ、最初見た時からポカブが欲しかったけど」
珍しく少し嬉しそうな表情まで浮かべるチェレンだった。
* * *
「みんな自分のポケモンを選んだよね」
ベルが唐突にそう言い出す。
「……ということで」
「嫌な予感しかしない」
「右に同じく」
「失礼な!」
全くもう、と頬を膨らませるベル。
「とにかく! ポケモン勝負しようよ!」
「ほら、当たった」
「酷いっ!」
どこか夫婦漫才にも見えてくるチェレンとベルの会話。
「……ていうか、あのね、ベル。まだ弱いポケモンとはいえ、家の中でポケモン勝負はダメだと思う」
チェレンの言うことは最もであった。ポケモンはレベルが低くてもそれなりの力を持っている。ここでバトルなどしようものなら、ミコトの部屋が滅茶苦茶になるのは目に見えていた。
「大丈夫だって。まだこのコたち弱いんでしょ? 戦わせて育ててあげないと」
そんなのはお構いなしといったようにベルが抱えていたミジュマルを床に下ろす。
「というわけでミコト! ポケモン勝負始めようよ!」
「えー……」
ミコトは乗り気ではない様子だ。
「なんでー?」
「だってここ、ボクの部屋だし……買ってもらったばっかりのWiiが壊れるかもしれないし、ベッドもぐちゃぐちゃに……」
「ならないって! 大丈夫って! それじゃあいくよ!」
こうして、やや強引に新人トレーナー・ミコト vs ベルのバトルが始まったのであった。