3‐5
ディグダとの顔合わせから一時間が過ぎようとしていた頃、ようやく仕事の説明が始まった。
「お二人には、見張り番の仕事を頼みたいんです」
「「見張り番?」」
ハルキとリコは二人して首をかしげる。
「ギルド入口の地面に、格子があったのを見ましたか?」
ハルキは記憶をたどるが、とくに引っかかるものはなかった。
「うーん、よく覚えてないな。リコは気絶してたから見てないだろうし」
「そうですか。まあとにかく、見張り番はその格子の下でする仕事なんです。いつもはボクの仕事ですけどね」
別に知らずとも困りはしないと、ディグダは話を続ける。
「ボクが格子の上を通るポケモンの足型を見極め、それを格子の下からドゴームさんに伝え……」
そこまで言って、ドゴームが倒れている方を向き、ディグダはようやく気づいた。
「って、ドゴームさん!? どうしたんですか!?」
「ドゴームさんは気にしなくて大丈夫だよ、多分」
リコがフォロー(?)を入れる。ハルキはそのまま突っ込んでくれ、と願ったが、
「そ、そうですか……わかりました」
ディグダはあっさりと引き下がってしまった。
「まあとにかく、それを受け取ったドゴームさんが門を開け、中にポケモンを通す……といった具合です」
仕事の説明を済ませ、ディグダは自分の頭(?)でドゴームを押して揺らす。
「ドゴームさん、起きてください」
中々起きない。
「……とりあえず」
無視することにしたようだ。
「ボク、今日、お父さんの仕事を手伝わなきゃならないんですよね。なんでも用事があるからできないとかって……なのでお二人に頼みたいんですが、いいですか?」
事情も説明し、答えを求めるディグダ。ここに拒否権というものは存在していないことを、ハルキは知っている。もちろんリコも知っていた。
「いいよ」
リコが頷いて了承する。
「ありがとうございます。じゃあ……方法はどうでもいいので、ドゴームさんを起こしてから、仕事のことを話してください」
――案外適当なんだな、とハルキは苦笑した。
「では」
ぺこりとお辞儀をして、ディグダは去っていった。
「ねえハルキ」
「なんだ」
「どう起こそうか? やっぱ攻撃する?」
「寝起き悪そうじゃね? 流石に怖い」
「えー。でもつついても起きなさそうだよ」
「大声も聞かなさそうだしなあ、どうするか」
結局二人は、攻撃をして起こした。