1‐11
夜が来た。
日があり、そして沈むこととは、なんて幸せだろう。
昇るところは見れなかった。流石に起きた時間が遅すぎた。
明日は早く起きて日の出を見たい。
今日は……今日も、か。ここから一歩も出られなかった。
オレが持っていた書物によると、ここは『東の森』という場所らしい。本の説明と場所が一致している。
とにかく、事態は一刻を争う。この森は、明日までに出て、目的地『霧の湖』を目指そうと思う。奴には悪いが、黙って出ていくことにしよう。そのほうがいい。
――そんなことよりも、だ。
目が覚めた時から、
アイツがいない。
多分
あの時、離れ離れになったのだろうとは思う。しかし
アイツがどこにいるのかが把握できない。
近くに落ちたのかと今日はこの森を探索してみたが、
アイツは見つからなかった。まあ、今の状態だと、ニンゲンであるあいつがいないほうが好都合かもしれないが……。
まったく、
アイツはどこにいるんだ。
――会いたい。
……違う。そうじゃない。
――会いたい。
違う。
――ひとりは嫌だ。
違う。
――暗い。怖い。辛い。
違うっッッ!! 気がつけば、オレの手には一筋の血が流れていた。――感情を押さえ込むために木を殴っていたらしい。これは悪いことをしてしまった。
「…………すまない」
オレは木に謝ってからゆっくりと座り込み、その木にもたれかかる。
思い出したとは言え、ひとりは心細い。つい弱気になってしまう。
――一人やと悲しなるねん。……一緒におってええか?
――僕、今まで友達も家族もいなくて……だから、こうやっているのが、とても嬉しいんだ。
――一人より、二人。二人より、三人。一緒にいると……
温けぇよな。
なぁ、ユウ。お前は、お前たちは今、どこにいるんだ?
早く会いたい――。