第1章 ポケモンになっちゃった
第1話 全ての始まり
昨日までの天気とは打って変わって、晴天の青空が広がる昼下がり。とあるギルドの前に、三匹のポケモン達がいた。そのうちの一匹は、ギルドに入門したくてやってきたのだが?ー

空には晴天の青が広がり、穏やかな波は寄せては引くを繰り返していた。
ここはトレジャータウン。数々の探検隊が集い、一時期の休息に身を委ね、また旅立っていく出会いと別れの街。そこにはとある有名なギルドがあり、そこを拠点として活動する探検隊が数多くいた。今日は珍しくそのギルドの戸を叩くポケモンがいた。

〜トレジャータウン プクリンのギルド〜

「よーし、今日こそはやるぞ!」
大きく息を吸い込んで意気込みを口に出すポケモン、アチャモ。
トレジャータウンに存在する大きく長い階段を上ると、そこにはプクリンと言うポケモンの腹部に入り口がある、なんとも言えないギルドがある。両脇には他のポケモンを模したトーテムポールが設置されている。入り口は頑丈そうな鉄格子でガッチリと塞がれており、その前には木製の格子で出来た落とし穴っぽいものがある。何も知らなければここがギルドであることすら気付くのは難しいだろう。彼等は、そこに弟子入りしたくてやって来たらしい。
「がんばって、フラム!今日は絶対できるよ!」
少し離れたところで応援するのは、チコリータ。その隣には、本を小脇に抱えたまま別の本を読むポケモンがいる。
「…そろそろ本気でクリアして欲しいの。あなたの遊びに何度も付き合わされるほど私も暇じゃないの」
「クオンひどくない!?わたしだって毎回本気で挑んでるんだからね!」
本から目も離さずに悪態を吐くクオンと呼ばれたラルトスに噛み付くフラム。噛み付かれた方は何事も無かったかのように本を読み続けているが。
どうやらギルドに入りたいのはフラムと呼ばれたアチャモだけのようで、他はその付き添いというところらしい。しかもこれは何度目かも分からない挑戦らしく、彼らの口ぶりから何度も挫折しているのがわかる。
「スゥー、ハァー…大丈夫、今日はお守りも持ってきたし………よし………行くよ!」
フラムが一歩前に進み出て、木製の格子の上に乗った。

「ポケモン発見!ポケモン発見!」

「誰の足型だ!?」

「きゃわわああ!!」
格子の下から聞こえた大きな声に驚き、悲鳴をあげて飛び退くフラム。格子の下からは、ため息交じりの声が聞こえてきた。
「あっ…足跡消えました」
「なに?またか………。毎日なんなんだ全く!こうも何回もやられるとバカにされてるようにしか思えないな」
何度も失敗したことを言われ、またも飛びのいてしまった自分と合わせてフラムは大いに落ち込んでしまった。
「えっと…大丈夫?フラム」
「うん、ありがとう。またダメだったよ、チェル」
「ふぅ…やれやれなの。今日も失敗して気は済んだ?済んだなら早く行くの」
「失敗する前提な上にそのドライな態度やめて!」
フラムは涙目で地団駄を踏むが、クオンには全く効果がない。
ギルド入門に失敗した彼等はじゃれ合いながらどこかに行くようだ。
「………見てたか?オイ」
「見てたねえ、全く。あの首から下げた布袋。なんかありそうじゃねえか」
「…盗っちまうか?」
「金になりそうだな、ヘッヘッ…」



夕方の海岸線には赤く色を変えた太陽が沈もうとしていた。波が寄せては返す浜辺には三匹のポケモンがその太陽を見つめるように座っている。
「もうそろそろかな?早く見たいなあ」
「…太陽沈んじゃうなあ。バイバイ、太陽。また明日」
その時、どこからかシャボン玉が現れた。それはすぐに数を増し、次々に太陽を映し出した。
「やっぱり今日であってたんだ。何度見ても綺麗だなあ…」
今日はクラブたちが海に向かって泡を吹く日。理由はわからないが、時々やっているようだ。
幾つものシャボン玉が空を舞い、太陽を映し出してはその身に赤い閃光を宿した。太陽が増えては減り、幻想的な光景がひろがる。
「あーあ…今日こそは、と思ったんだけどなー。………?どしたの、クオン」
座った状態から寝転び、自分の上を通るシャボン玉を見ていると、海とはまた違う方向に顔を向けているクオンに気づいた。
「あそこ…誰か倒れてるの」
「え?あー…あ!本当だ!って、のんびりしてる場合じゃないでしょ!」
倒れているポケモンはピクリとも動かず、潮にその体を濡らしている。
「ちょっ、大丈夫ですか!?もしもし!もしもし!!」
フラムが必死に揺り動かすが、反応はない。
「生きてる…よね!?ちょっとアンタ!早く起きなさいよ!」
チェルが頭に生える大きな葉っぱで倒れているポケモンを叩いた。
「心拍数正常、呼吸は整ってるし、目立った外傷もなし。体表温度が少し低いだけなの。だったら力づくで起こしたほうがいいの」
心配する二人を押しのけ、クオンがポケモンに胸に手を当てた。
「目覚めなさい、サイコキネシス」
その言葉とともに強大な衝撃がそのポケモンに襲いかかり、「ごぼぉっ!?」と苦しそうな声が響いた。それを見ていた二人は、もちろん焦る。
「クオンーー!?何してんの!?いきなり攻撃とかバカ!?」
「全てにおいてあなたの方がバカなの。いろいろ省いたけど蘇生法を試しただけ。ほら、目覚めたの」
「それで目覚めなくなったらどうするつもりだったの!?あとしれっとものすごいバカにするのやめて」
目覚めたポケモンそっちのけでぎゃいぎゃいと言い争いをする二人。気づいたポケモンが咳き込もうと知ったことではない。
「げほっ、げほっ、ごほっ…あぁ、しょっぱい…」
「大丈夫?生きててよかったよ。海岸で死体を見つけました、って、シャレにもならないからね」
チェルは咳き込むポケモンの背中を優しくさすると、少しずつ咳き込みが収まり、顔色も良くなっていった。
「あたしはチェルシー。チェルシー・ペルシャっていうんだ。よろしくね」
「チェルシー、さん?」
「ああ、あたしのことはチェルって呼んで。周りからそう呼ばれてるし、そっちの方が気に入ってるから」
馬鹿騒ぎ(主にフラム)しているのも関わらず、自己紹介を終えると、そのポケモンの隣に座った。
「あの、止めなくていいんですか?」
「ああ、あーいうのは飽きるまでやらせていいのよ。そもそも止めらんないし」
チェルシーが言ってるそばから、クオンの"サイコキネシス"で持ち上げられているフラムがいた。



「えっと…初めまして。私はフラム・エニーメって言います」
「………クオン・リッケンドルフ。気軽にクオンって呼んでくれて構わないの」
ボロボロのフラムと傷一つないクオン。勝敗は誰の目にもわかるほど明らかだった。
「初めまして、ボクはレンファ・セタレート。人間です」



■筆者メッセージ
はい、始まりましたセカンドシーズン。北海道在住者です。
新規の人も読めるよう調節してますが、前作から読んでくださる人のためにニヤリとなるネタも仕込もうと思ってます。
不器用な作者にそんなことできるのかとか言っちゃダメ。
北海道在住者 ( 2016/02/12(金) 16:12 )