第7話 ポケモン広場
ワニノコを仲間に引き入れ、救助隊レオパルドに新たな戦力が加わった。ただ、どこか怪しくてー
<???>
……ここは…?
ここはどこだ…?
夢の…中なのか?
誰か…いる…
…俺は、知っている?……
……いや…知らない……
思い出せない?……
…どっちなんだ…
…………………………………………
<救助隊基地内>
「……………………」
俺はゆっくりと目を開き、体を起こした。俺の隣にはティーエと甲賀がいる。太陽は燦々と輝いていて、光の一部がティーエの顔を照らしてる。日光直撃を防ぐ為にベットの位置を変えたのだが、どうやら上手くいったようだ。代わりにティーエの顔に日光が直撃しているが。(それでも起きないのが凄い)
何にせよ、寝たままでは何も出来ないから二人を起こすことにした。
「(どうやって起こすか…)」
何か面白い起こし方はないかと考えたが、特になかった。なので普通に起こすことにした。
「起きろ、二人共。朝だ」
二人の体を揺らし起こそうとする。
「……かいと〜…」
「……やめ…て……」
「……………………………」
変な寝言を言って起きてくれなかった。思わず吹き出しかけた。しかも今俺の名前呼ばなかったか?
「…起きろって」
強く体を揺するも一向に起きる気配が無い。
「…かいと、おもしろ〜い…」
「う…うう…は…8ボルトォ…」
「………くっ…………くくくく………………」
意味が分からなさすぎる。そして、夢の中の俺は一体何やってんだ。
とりあえず、このままだと笑い死にしそうなので無理やりにでも起こした。
「悪く思うなよ…静電気ショック」
手に小さい、それでいて強力な電気を作り出した。手の中にある小さな球体からは、時折「パチッ」と聞こえてくる。
「本っ当やれば出来るもんだな…」
俺このままだと
超電磁砲撃てるんじゃないか?
「良し…ふん」
「痛ぁぁぁぁぁあああああああ!!!!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁああああ!!!!」
救助隊基地の屋根が外れるくらいの絶叫が平野に響き渡った…
*
「うう…痛かったよう…」
「もう少し優しく起こしてくださいよ…」
「だったら起きろ。何時まで寝るつもりだったんだ」
静電気を当てた所は微かに赤くなっている。ティーエは毛で埋まってて分からなかったが。
「ティーエ、今日はどうする?」
「どうするって、何が?」
全く状況を理解してないティーエに呆れながら話を進める。
「何がって、仕事だよ。救助依頼が無いって言いたいの」
「え!?ポスト空っぽなの?」
ポスト。すっかり忘れてた。そういえばポストに依頼が届くんだった。
「あ、いや、まだ見てない」
「じゃ、ポスト見てから決めよう」
「僕、どうすれば…って、ちょっと!」
二人はすでに外に出ており、置いて行かれそうになった甲賀は慌てて後を追った。
<救助隊基地前>
「んー、今日も良い天気だね!」
「そうだな」
本当に良い天気だ。いっそのこと仕事なんかしないでピクニックとかに行きたくなる。
「えーと、ポストの中は…」
ティーエはポストを調べた。
………そして見てわかるくらい落ち込んだ。だいたい予想はつく。救助依頼が無いのはいい事だとは思うけど、仕事が無いのはつらい。
「ポスト空っぽだったよ…」
落ち込んだままティーエがこっちに来た。
「どうする?今日は休むのか?」
「しょうがない、もう一回ペリッパー連絡場に行こう」
ティーエは聞き覚えのある名前を言った。
「そこで何が出来るんだ?」
「正確に言えば連絡場の隣に掲示板があって、救助依頼はそこからでも受けられるんだ」
「だったら、早く行きましょう。救助ってどんなものなんでしょうか」
何故か甲賀は一人で盛り上がっている。おまけに喋り方が元に戻ってるし。
「なぁ、その喋り方どうにかならないか?俺達には、そんなかしこまった言葉じゃなくていいって」
そう言うと、甲賀は困った顔をした。
「すいません。こっちの方が話し易いから…」
「そうか。いや、こっちも悪かった。慣れてきてからでいいから、気楽に行こうな?」
「はい」
「話終わった?じゃあ、行こうよ」
ティーエは少し先にいて、俺達を待っていたようだ。
「悪い、今行く」
「待って、置いて行かないでくださ〜い!」
俺達はティーエの後を追って走った。
<ポケモン広場>
「救助♪救助♪救助依頼〜♪」
はしゃぐティーエを横目に見て、この広場の施設を思い出す。昨日ここを通った時、ティーエが説明してくれたから、幾つかは記憶にある。
この道から一番近いのはカクレオン商店。
世界最高ランクの防犯能力で、実際にドロボーを捕まえた事は何回もあるらしい。
ちなみに緑色のカクレオンがセン・ライ。
紫色のカクレオンがキクバ・ヤンと言う名前だ。本人に聞いたから間違いない。
そして向かって下にある店はガルーラおばちゃんの倉庫。
本人曰わく、ガルーラの倉庫ではなく、ガルーラおばちゃんの倉庫なんだとか。
わざわざ言い直す所、ある種のこだわりがあると、俺は思っている。
ついでに言うと、防犯能力はここが最強のお店だ。
またも本人曰わく、「どんな軍隊が攻めて来てもみんなの道具は絶対におばちゃんが守ってやるから安心しな!!」と断言している。
ガルーラおばちゃんの倉庫の隣にはゴクリンの連結店。
何でも、一度に沢山の技を出す事が出来るようになるとのこと。
役に立つだろうし、暇があったら今度行ってみよう。
奥にあるのはペルシアン銀行と友達サークル。
銀行は説明しなくてもわかっている。もう、銀行の時点で。
友達サークルは正直よくわからない、ってティーエが言ってた。最近プクリンも見なくなったって言ってたし。それって事実上の閉店じゃね?
つーか、店主プクリンかよ。今の今までよく潰れなかったな。
広場の下の方にあるのがマクノシタ訓練所。
簡単に言えば、腕試しの為の施設なんだってさ。何でも、ボランティアで参加したポケモン達を倒して行って、奥にいるボス的な奴を倒したら終わり。
と言う至極簡単な事。実際はボス的なのが強すぎて、クリアしただけでちょっとした英雄になれるんだと。
「だいたいこんな感じだな」
自分で自分の説明に納得して、手を打つ。なんか、ポン。て感じに。
「成る程、よくわかりました」
「へ?」
え?おれあくまでも考えてたはずなんだけど、何でわかったって言ってんの?
ナニコレ、コワイ。
「どうしたの?早く行こうよ!」
「わかったわかった。引っ張るなって」
俺達は掲示板に依頼を受ける為、歩いて行った。