ひねくれものとおかしな生きもの








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第二章〜物理の法則を無視した奴ら
自己紹介と変な人間〜東 恵
食事も終わり、さっきの人間が洗い物を始めたのを横目に再び心での話し合いが始まった。

『でさ、もう言う形の話し方、やめようぜ』

『確かに、だってもうバレてるんでしょ。しかもめんどいし』

『それでもって、あの人間と話そうって言っておいて話したのはリーフィアだけだったし』

『じゃあ返す。あんた達も何で調子に乗ってもう一枚とかやってんの』

特に何も疑いもせず、欲望に素直になっていた三匹、話した順にサンダース、ブースター、グレイシアが痛い事を突いてきたが、さっきの事を盾にすぐに反撃してきた。しかし、ここで引き下がる訳でもなく、

『別になんも問題がなかったから、良いんじゃね?美味しく頂いたんだし。じゃあ俺、腹を決めて話してくる』

『じゃあ自分も便乗しよ』

『こんな所でウジウジしてても何も進展も無いしね』

と、挑発して対抗することにした。内、二匹は本当に話すかどうかは別にして。その事を読んで、

『じゃあそうすれば。どうなっても知らないわよ。勝手にどうぞ』

と、乗った振りをして、様子を伺う事にした。しかし、グレイシアは意外にもすぐに行動を起こした。

「あの、そこの人間さん」

「何か用?」

恵は六枚目の皿を洗いながら答えた。グレイシアはやや声を張り上げて、ちゃんと届くように言った。

「何て言うんですか?」

「何が?主語が抜けてるぞ」

「名前です」

「そういや言って無かったな。てか言う必要でもあるのか?」

「必要がなかったら聞きませんよ」

「ああ、分かった。恵だ、東 恵。みんなからはよくめぐって呼ばれてる」

アズマ メグム。それがあの人間の名前。性別上、人間の男ではあまり聞きなれない名前だった。

「女の子みたいな名前ですね。呼ばれ方も」

「確かによく言われるな、その事」

本人は自覚しているらしい。その横でエーフィから、

『何(しゃく)にさわりそうなこと言ってんの』

と、外野で喚く声が。エーフィのようだ。

『だったらあんたが話をすればいいじゃない。そうじゃないならちょっとは黙ってて。こっちも大事だから』

と、すぐに完封する。すると今度は人間〜メグムから、

「じゃあ、こっちからも一個聞きたいことがあるんだが、聞かさせてもらっていいか?」

「はい、いいですけど」

「何で耳を四つも付けてるんだ?答えられたら、だけど」

何の前触れも無く、いきなり吹っ飛んだ質問が飛んできた。まずは思っていた事を率直に言う。

「普通にわかるでしょう!これは耳じゃないです。下の二つは別で、上の二つが耳です」

自分にとっては言うのも馬鹿らしいようなことを当たり前を言った。ふうん、と恵も感心しながら、

「じゃあ、耳じゃ無かったら何だ?」

と普通に思う疑問を言った。グレイシア自身はこの事は正直、当たり前すぎて余り気にしていなかった。これにどんな意味があるのか、と言われると、

「何だろう・・・、わからないです・・・」

こうなってしまう。そう、と洗った皿の泡を水で洗い流しながら答えた。少し落ち込み気味の声を下の調子に戻し、

「私達って自己紹介した方がいいでしょうか?」

「したけりゃ勝手にしてろ。あと普通の喋り方でいい。自分もそんな(かしこ)まられる人間じゃないし」

勝手にすれば、って何?。なんか凄い嫌な気がするんですけど。その言葉については心の中にしまって置き、

『順番的に一番端のエーフィから始めたら?』

『そう?言い出したグレイシアからでいいと思うけど』

『別に平気じゃない。さっきの一言で、こうゆう事にあまりくどくない柄だと思うけど』

そうね、と納得してくれたのか、ついでにサンダースもうなずいてくれた。恵は丁度、全ての皿のすすぎ洗いが終わったので、そいつらに目を向けると、その何かアイコンタクトをしている様子を黙って見ていた。内緒話みたいな動作が終わってもこちらを見ているだけで、どうやらその場に立っていても話を始めてくれないようである。

台所の流しから離れて、そのポケモン達がいる場に来て床にあぐらをかいて座った。右端のやつから、話が始まった。ちなみに今の状態だと、目線はポケモン達の方が高い位置にある。

「私の名前はエーフィ、メスよ。あと、フタマタじゃないから」

「ま性別までご丁寧に。でも、なんとも言いにくい名前だな。エビっぽいな」

「エビじゃないし、恵、あんたが付けた変でセンスが無いあだ名よりはマシよ」

エーフィは相手の名前をきちんと呼んで、嫌々でも自覚させようとしたが、すぐにそのもくろみは崩れた。

「はいはい分かりました。ええと、エビ?」

「だから、エビじゃなくて、エーフィだから。ちゃんと覚えて」

なぜこんなにも物覚えが悪いのか、今までの武勇伝みたいな物は一体なんだったのか、まるでコント、そんな感じでなんかとても残念で、幻滅した。

「はいはい、分かったから次のやつを出してくれ。自己紹介なんだろ」

「なら俺の出番だな」

「サンダースとか言ってなかったっけ」

何でそこだけすんなりと正しく言えるの?そんなに私の名前は発音しにくい訳?エーフィそう言いかけたぐらいに、猛烈に疑問に思っていた。

「やっぱりなんだ。俺とブラッキーの名前だけはなぜか知っているのは。まあいい、その通り、サンダースだ。あと、分かっていると思うけど、オスだからな」

「ああ、でもやっぱりよくわからない名前だな。どこからどうやって36、三ダースなんてなるんだ?」

『は?そう解釈してたの』

この時、見事に心の言葉が共鳴した。その中で半ば呆れ気味にサンダースが、

「あのさ、これって親父ギャグじゃないんだからさ、そんなことな訳ないだろ・・・」

次に出たのはため息だった。その様子をよそに、

「じゃあ、何と?」

「普通にわからんか、“サン”、ダースじゃなくて、“サンダー”、スな。これでもわからないんじゃ、致命的だな」

「あ、そういうことか、稲妻ってことか」

やっとわかってくれた様だ。だが、

「でさ、あそこでさっきから痙攣しているやつは何だ?そんなにおかしいか?」

腹を抱えるシャワーズを見て、恵は不思議そうに見ていた。

『どんだけ笑っているのよ、ちょっとは落ち着きなさいよ。あの恵とかと言う人間に変な目で見られているわよ』

『・・・はあ、久しぶりに本気で笑った。あんた達は良く笑わずにいられるよね。エーフィは元からだと思うけど』

『あんたが笑い上戸なだけでしょうに。そもそも面白いとかじゃなくて、みんな呆れ返っている位なのよ』

『もうどうでもいいっしょ、次は結構飛ばすけど私みたいだし。それじゃ』

テレパシーの会話を終え、現実での会話に切り替えた。

「おかしいよ、そりゃあ。漫才師みたいに発想がおもしろいからいいけど」

先程の恵の声に答えた。

「いや、わざとだと思われているけれど、普通に自分の考えを言っているだけだ」

「それぐらいわかっている。で、私の名前、何だと思う?特徴から察して。あと、さっきまで思っていた“魚”は無しだから」

やや挑発的な口調の質問に、少し長く考え込み、その中で出した答えが、

「ラッパヒレセグロイヌウオ、とか。基本、思い付いた特徴をただ並べて繋げただけだけどな」

まあ、何とも長い。

「ラッパナントカカントカ、随分と長いね。ま、もちろん違うけど。正解の私の名前、シャワーズって言うの。こう見えてもメスだから、お見知り置きを、ね」

「へえ、今度は師走みたいだな」

「シワス、って何?シラス、とかじゃないの」

この瞬間、シャワーズ以外は、こいつのバカがついに移ったか、と思っていた。

「ワとラの違いしかないけど違う。十二月の別名。ただ単に古い言い方にしただけ」

ふうん、と納得した様だ。いや、やっぱりバカが移ったようで、頭では何一つ分かっていなかった。伝染しないように早くここから離れなくては。今度はシャワーズから会話を始めた。

「にしても、何で私達の事を良く知らないの?逆にサンダースとブラッキーは何でわかったの」

「何でって、そりゃあ知らないから。後のやつは仲間から聞いた」

「そう、じゃあ他の名前は何で聞なかったの」

「聞いた、けど、正直言ってそんな沢山の名前を一日で覚えるのは無理だ。偶然頭ん中に残っていたのがその二匹ってことだろうな」

どうやら根っこから物覚えが悪いようだ。

「でもさ、頑張れば覚えられるんじゃないの?」

「まあ、頑張れば、だけど面倒なんだよな。無駄にエネルギー使いたくないし」

「つまり省エネしたがり屋って所ね。じゃあ手短に終わらせた方がいいかな。じゃあ次どうぞ」

そう言うと、次の奴が出てきた。

「えーと、先程、“耳が四つある”とか言われたんだけど、名前はグレイシアでメスだから。ちゃんと覚えて」

「グ、なんちゃらかんちゃらって、そいうことだったのか。グレイシアってなんか狂気って意味っぽいな」

「あの・・・、あ、やっぱ何でもないです。次、どうぞ」

ついに心が折れた。もう敵わない、無理だ。次のブラッキーは寝ているからその次、

「僕の名前はイーブイです」

「イーブイ?なんかの略称か?別にいいけどな」

そう聞こえなくはないが、Eの文字とVの文字じゃない。

「これが本当に全部の名前」

「そう、なのか。で、今更だけどさ、何で日本語を喋るんだ?なんかどうでもいいと思うけど」

「えっ、じゃあ僕の事は何とも思っていないんですか?」

「まあ、何か違和感が無いって言うか、既視感がある。犬とウサギと狐を足して三で割った様な感じだな。まあ他が個性があり過ぎるから、何も思っていない、って聞かれたら、そういう意味で逆に目立っている、って形になると思っている。あと、あんまり敬語を使わなくてもいいってさっき言ったぞ」

と、今まで通りとは違う反応を見せた恵に、イーブイを含めたポケモン達は言葉を失ってしまった。心の中では、

『それって、特徴が無いところが特徴みたいな感じにになってるよね、酷くない?』

少しショックだった。何か見放なされている様な気がした。その予想も当り、そそくさと次の話題に移ってしまった。

「まあいいや。じゃあ次、師走、じゃなくてシャワーズだっけ、そいつは終わっているからまたその次か、ってお前か。今朝、アスパラでむせてた、キャベ・・・」

「リーフィアだから、変な名前を勝手に付けないで」

恵がちょうどその言葉を言おうとした時に、自分の名前を挙げてすぐに遮った。それを境に、

「さっきの私が喉を詰まらせた時、助けてくれた事には感謝をしている。でも、かけ無しの勇気を振り絞って出した言葉に向かって“何言ってんだ”って言うのは酷くない?確かに今思うとあの話し掛け方は変だと思っている。でも、その一言で私は心臓がつぶれそうな思いをしたの。恵くんは特に何も思っていないし、悪気は無いと分かっている。それでもネーミングセンスにしろ、その無神経さにしろ、本当にどうにかならないの?」

今まで募らせてきた思いが(せき)を切ったように一気に溢れ出てきた。さっきまでの雰囲気とはまるで違う本性に恵は薄い反応だったが少し驚いていた。前もって暗記していたかのように、適切な正論を語る様子は、まさに立て板に水、そんな言葉がぴったり当てはまっていた。しかも動物なのに、である。

「はあ、そうですか」

独り言のように、恵は言った。いや、独り言だったのかもしれない。頭を軽く掻いて間を取ってからまた続けた。

「まあ、その時はすまなかった。開き直りと思うが、元からの性分だ。他人からもちょくちょく言われている。でも、こっち側からも聞きたい。どうしてお前らってそんな名前とか、何も知らない所とか、どうでもいいところに過敏なんだ?」

ずっと思ってきた事だ。カフミみたいに何かしらのコンプレックスを抱えていると思っていたが、帰ってきた言葉は想像とはまた違ったものだった。

「だってさ、変だって思われるかもしれないけど心配なの。自分の名前をしっかり覚えている?って」

元からだと思うが上から目線だと思っている。でも幾つかの矛盾点もあるので一応突っ込んでおこう、と恵は返答をした。

「そりゃあ変だ。まずアスパラの話だが、そのままにして置かなかったのは分かるか?お前達にはアホみたいに見られているけど、弱っている思っていて自分なりに考えてそうやったんだ。まだ朝飯が物足りないって所は長年、って言うけどたかが十年だが、まあその勘でだったけど。それぐらいは考えられるって言うんなら話は別だけど、幾ら何でもそこまでは酷くは無いとは思うが」

そうだ、この恵って言う人は普通の人間じゃないんだ、という事を、今までの茶番ですっかり忘れてしまった。少しだけ不覚であった、とリーフィアを含めたポケモン全員が思い出していた。

「まあ、こんなもんでいいだろうし。次の方、どうぞ」

「ブースター。よく間違えられるけどメスだ」

「そうか。何かどっかで聞いたことがありそうな名前だな。ウジが見てそうなアニメで有ったような気がするけど、多分違うな。まあ人間から見たらほとんど一緒なもんだから、覚えられりゃいいし。でも何で間違えられやすいんだ?」

「自分で言っちゃなんだけど、口調で分からんか?」

「全然。女だってこの喋り方するやついるぞ、まあ知ってる幼なじみでいたけれど」

「そうなんだ。知らないと思うけど種族柄だと基本、ほとんどがオスなんだ」

「へえ、ポケモンでもそんな事があるんだ」

現実の生物でもオスとメスの比が必ずしも一対一になることはない事を知っているが、少しだけ意外だった。

「そして、先入観で間違われやすいと、なるほど。まあいいや、じゃあ次。これで最後だな」

「私はメスのニンフィアだよ。あとこれはヒモじゃなくてリボンだからちゃんと覚えてね・・・、あれ?」

恒例(?)の“何かしらの変な一言”が返って来なかった。その時首をかしげていた恵は、

『は?なんだあいつ、ニンジャ?とか言ってなかったか?てかリボンだったのか、あれ。いや、全然違う・・・、何だ?』

「すまん、もう一回言ってくれ」

いろんな事を心の中で思ったが、これ以上無駄な議論をされたくないので、長い間を開けてこの一言に凝縮した。

「ニ、ン、フィ、ア。これで分かってくれたかな?」

「ニ、ンフィア?何がどうなってそうなった?」

初めて聞く発音だったのでふと聞き返してしまった。

「さあ、由来って言われても・・・」

内心、“リボン”と名前に違和感があって物凄く気になっていたが、とっとと終わらせたいと言う気持ちが勝って、次に進めることにした。

「まあ、これで一応全員終わったな。じゃあ、お前らに後々色々言われるのは面倒だから、右から再確認するぞ」

そう言うと、一度座り直してから、点呼のような感じで続けた。

「まずは、エビ、じゃなくてエーフィだったな、確か」

「そうよ。でもまだエビって間違える所は止めてくれる?」

「はいはい、分かりました。じゃあ次は、サンダースだよな」

「そうだ。あと、俺の名前の由来、覚えているか?」

「あれな、三ダースじゃなくて、確か雷とか、そんな感じだったな」

「何とか覚えてくれたぜ!」

なぜか自身でもよくわからないぬか喜びをしてしまった。その反動も大きく、

「何だ(よ)?」

恵も一緒になってほぼみんなから言われてしまった。

「いや・・・、何でも無いです・・・」

「サンダースまで、頭がおかしくなった?」

エーフィからだった。その他愛も無い一言で精神が深く沈んだのは言うまでもない。

「まあいいや、次は、クレイジー、じゃなくてグレイシアだったな」

「へい」

「そっか、じゃあ次・・・」

「ちょっとストップ」

「何?」

話してきたのはリーフィアだった。

「何かおかしくない?グレイシアの調子が」

「そうか?知り合ってまだ一時間位のやつの調子がどうかなんてさすがにわからんぞ」

「そうだとしても、女の子があんな返事をする訳がないじゃん。“へえ”とか言わないでしょ」

「普通に言うんじゃね?」

『もういいのよ、この人間に常識なんて通用しないんだから』

『でも・・・』

『諦めも大事、ここは相手のペースに合わせて様子を見るしか無いのよ』

『うん、分かった』

「はい、そうでした、普通に言いますね」

グレイシアからアドバイスを貰って、この事を水に流すことにした。

「じゃあ、次の方、寝てるけどブラッキーで合ってるか?・・・。ならいいや、その隣がイーブイだよな」

夜行性か?と思いつつ、いつまでも寝ているブラッキーが気になっていたが、頷きを見てあまり気にする事はしななった。そして、

「うん」

イーブイに関してはこれで終わった。これではますます影が薄くなってしまうのではないかと、みんな心配していた。

「じゃ、次の方、シャワーズで良いっけ?」

「そう、合ってる。で、“シワス、じゃなくて”が無かったけど、どうなの?」

「そこまで間違えるもんじゃないし。てか何を思って期待した?」

「んー、またなのかなって」

「そうか。じゃあ次が、先程のリーフィアだっけ」

「はい」

ここまでは順調だった。ここまでは。

「じゃ次・・・」

間が長い。まさか、とみんなが思っていたが、

「ええと、どっちだっけ?こいつがニ、ンフィア?」

そのまさかだった。

「おい・・・」

「何で最後の最後で間違えるの?酷いよ、かわいそう」

「かわいそう?ああ、ごめん。そっちがエーフ、ニ、ンフィアだな」

「今一瞬エーフィって言いそうなったでしょ。しかも何でさっきからニ、で区切ってるの?」

「かなり言いにくいからなんかそうなる。エーフィは確かにそう。でも、さすがに細くないか?人間誰でも間違えるし」

かわいそうに疑問符?細かくない?もうこれで、こいつはとんちんかん以上に別の意味でおぞましい存在だと思った。

『もうヤダ、この人。何をするのかって少し怖かったけど、無神経過ぎるわ、屁理屈を言うわ、色々と基準が違うわで今じゃ別の意味で怖い。“うそなき”とかじゃなくて本当に泣きたい』

独りでは無理、限界なので心で助け(ほとんど叫び?)を求めた。

『困ったけど無理な物は無理、このまま付き合って行くしかないんじゃない?あんなんじゃ到底真面目になってくれなさそうだし、シャワーズみたいにこの“おバカ”を楽しむしか方法が無さそうだし』

『グレイシア、よくポジティブに考えられるね。私もそうしようかなあ・・・』

「なんか企みでも?それにまた今更なんだけどいい加減座れば?」

「ええ?いや、じゃあ失礼して」

何でだろう、どうしてこうやって何でもない所でいい感じに洞察力が働くのか。みんな不思議だった。わざとにしか思えない、それこそシャワーズが言っていたような漫才師のコントみたいな発想も、エーフィによれば悪意やわざとでは無く、本当に“唯、純粋に思い付いた事”を言っているだけなのだという。

その一方、恵は、

「で、こっち側がブースターと、わかった。こうなると、まあ左からエビ、じゃなくてエーフィ、サンダース、グレイシア、ブラッキー、イーブイ、シャワーズ、リーフィア、そんでさっきのブースター、ニ、ンフィア、だな」

最後に一通りの名前の確認を終えた。もちろん、

「また間違えてるじゃない!」

「そんなに言いにくいのかなあ」

こうやって、また野次が飛んで来る。

「もう、やめよう。切りが無いから」

グレイシアからだ。それに続けてシャワーズも言う。

「そんなにくどくなっていると、無駄に神経を使うことになるわよ」

「そうかもしれないけど、なんか納得がいかない」

そう返す本人達はやっぱりどこか高いプライドが許さなのだろう。

「あーあ、めんどくせ。もういいだろ、しつこい」

恵も少し参加してきた。しかし、

「もう終わり」

この一言でこの話題を一蹴すると、立ち上がって、

「後は昼寝でもなんでもしろ。別に外の庭で遊びに行っても構わないし、そこら辺は自由にしとけ。こっちは二階で色々作業してる。敢えて言っとくならとにかく昼飯の盗み食いはするな、これだけ・・・、いや、違う、他にも玄関から出て、他の人間に会わないように。もっと面倒なことになるからやめてくれな」

こう、言い付けてきた。ところどころ乱雑さがにじみ出ていたが、食料の事や、揉め事に繋がる事に釘を刺しておいたのは、相変わらずだった。

「じゃあ質問、屋根の上で寝るのは大丈夫?」

リーフィアから質問が出た。

「別に、人目に触れさえしてくれなければどこでもいい。ぶっちゃけ道路の反対側になるけど」

答えを聞くとじゃあ、と言って掛かった布を取り払うと動き出した。私もー、と釣られてニンフィアがベッドから降りようとした、その様子を見てすぐに、

「待て待て待て、前言撤回。お前らさ、体が汚いぞ。そのまま歩き回られても困るから体を洗え。まずは外に出、いや、そこまで運ぶから待っててくれ、一匹ずつ洗うから」

そう言って、そのままベット運び出すと思っていたが、予想に反して恵はまた扉の向こうに消えてしまった。恵がいなくなって、ふと自分の居場所を見てみると、すっかり土色になっていた。

「どう?あの人、一言で表すと?私は中途半端にトンマ」

あの恵についての感想をみんなに聞いてみた。

「・・・、微妙に微妙。また変なこと言ってないよね・・・」

「焼け石に水の得体の知れない奴、こんな感じ」

「僕はグレイシアと同じで」

「んー、通りすがりの芸人。私はこう」

この時、少し無駄に美化されていそうだと思ったのは言うまでもない。こんな普通な評価でも場違いだと思えるのもあの人間の破壊力なのだろう。そしてこのシャワーズもまた、他のとは違う視点で見ているのかもしれない。

「肝心な時“だけ”しか活躍できない思いやり無能」

「みんな凄い事を言ってるね・・・、ええと、覚えが悪い変人かな?」

「随分ストレートだな。自分も、謎めいたアホ、だけど」

さっきと同じ順番で言って行った。この事を聞いて、やっぱりまぐれだったのか?みんな、自分達で言っておいてそう思っていた。

本当に今までに勢いはどこに行ったのだろう。

■筆者メッセージ
何か会話だけで終わっちゃったような・・・、言葉を交わした、ぐらいでしょうか、今回の進展・・・。
ちょっと中途半端に終わってしまいましたが、これからもよろしくお願いします。
からげんき ( 2014/08/09(土) 22:11 )