19 むかーしむかし
あるところに一匹のキュウコンが木によりかかって
寝ていました。あ、これ私(アリサ)ね。
さぁそこにまた一匹のサザンドラが近寄ってきました。
「御嬢さん御嬢さん、そこで寝ていたら風邪が付きますよ...」
「・・・?・・・私、・・・・あれ・・・?」
「泣いてるのか?・・ま、行くところが無いなら泊めてあげますよ」
私はなんかいろいろと混乱していたので言われるがままについていきました。
今思い返せばコイツ(サザンドラ)変態だなとか思うんですが・・・
私の脳内がそれどころじゃなかったんです。
自分のよーーーく知っているキャラクターが今まさに現実になっていることとか
部屋でやられた自分が木の下で眠っていたこととか
自分がそのキャラクターになっていたりとか・・・?
そのうちサザンドラはこう言いました。
「・・・で、どうしてあんなところに?」
「・・・・」
もちろん、答える余裕なんかありませんでしたよ。
それで何かを察したサザンドラが促すように・・
「そうだ、ケーキ食べますか?ここいらのものはとてもおいしいと評判なんですよ!」
「・・・・・!」
その瞬間、私のお腹がぐぅぅと鳴り響き・・・
私は赤面していました。このときの私はまだ何かとナイーブだったので。
カチャカチャ「はい、どーぞ」
「・・・・イタダキマス↓」
テンションが低い私も食べ物を目の前に欲が働き、
それを一口。
「・・・美味しい」
「ははっ、まだおいしいと言ってくれる人がいて安心・・」
「・・・?」
「実は、それうちが作ったケーキなんですよ」
あぁ、そういうことか。
私は合点がいきました。でもそういう評論をするときは・・・
はっきりとするのが私の性。
「・・・・砂糖をもう少し少なく、その分バターとバニラエッセンスを入れれば
もっとおいしくなると思います」
「・・・?砂糖やバニラ・・そのエッセンサーだがなんだかはかろうじてわかるが
そのバター?とかいうものはなんなんだ?」
なるほど、もともといた世界とは完全にものが一緒、というわけではないのだな、
そう確信しました。そこで私は・・
「じゃ私が作りましょうか?」
「・・・お、おう(急に元気になったな・・)」
まぁ作った過程は省くとして、私の作った(手直しした)ケーキを食べさせてみました。
...余談ですが、私は元々パティシエとかも目指してみようかなーとか思ってた時期もありました(自分が食べるため)が、どうも、ね...上手くいかないんですよこれが。
ところで、気になる彼の反応はというと。
「・・!!美味い・・・!」
「フフン、どうですか?」
「すごいな...はっきりいってオドロキだ」
「嬉しいです」
そこでサザンドラがこんなことを持ち上げてきたんです。
「どうだ?行くあてもないないならうちで住まないか?その代りおいしいケーキの
作り方とかいろいろ教えてくれ」
「うーん....すこしぐらいしか知りませんがそれでいいなら....」
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「と、いうわけでそのケーキがこちらです」
「前振りが長すぎて草・・・というかなんで今は一人暮らしなんだ?」
「いろいろあったんですよ!まぁ今度引っ越すんですがね」
「へぇー(パク)」
「....いま食べましたね、それ」
「....嫌な予感がする」
引越しをする...そのあとに俺はブツを食ってしまった。ということは...
「『引越しの手伝い』をおねがいしますね?」
「.....ハメられたあっ!!!!」
アリサ姉さんマジキチ。キュウコンだから妖艶さとか何だかもあったかもしれないが
....ともかく退院まで何かと不幸なことが起こり過ぎである。
気付けば時計の短い針は9を指していた。
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「なぁ」
「はいはいなんですぅ警視総(ケイソー)?」
「言い方...・・・いや、今俺は重大なことに気がついた」
「...重大?欠席遅刻常習犯のわりに警視総官という貴方が重大と?」
「....俺の子全然駐屯してない」
「そういやそうですね...で?」
「えっ」
「はい?」
「いやいやいや、はい?じゃなくてだな」
「いいんじゃないですか?それで回避された事例もありますし、
なによりあそこ一体の事件が減った」
「それもそう...なのか」
「だと思います」
「そうか」
「はい。」
「.....そうだな、そう思うしかない」
以上、ウインディ(36歳)とレントラー(20代)の会話でした